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主な不妊症の原因(女性の機能性不妊編)

更新日:2018/05/09 公開日:2015/09/28

不妊・不妊症

不妊症の中には、検査をしても原因がわからないものがあり、これを指して「機能性不妊」と言います。不妊症のおよそ半分を占めるといわれる機能性不妊ですが、本当に原因はないのでしょうか?ドクター監修のもと、詳しく解説します。

一般的な不妊症の検査では夫婦のどちらにも明らかな原因を見つけられない場合を、「機能性不妊」と言います。この場合、本当に原因はないのでしょうか。不妊のおよそ半数を占めるといわれる機能性不妊について、詳しく解説します。

女性が受ける不妊症検査の種類

不妊の原因は多岐にわたるため、原因を特定するためにまずはさまざまな一般的検査が行われます。クリニックによって原因の特定方法は異なることもありますが、まずは基礎体温から排卵の有無を調べるとともに、内診や経腔超音波検査、子宮卵管造影検査、感染症や生化学の検査などを行います。また、血液検査やホルモン検査は月経期や黄体期など、月経周期に合わせて数回行われます。一般的な検査によって婦人科系疾患などの疑いが見られる、明らかな原因が見つけられない「機能性不妊」の場合は、子宮鏡検査やMRIなどの精密検査が行われます。一部は腹腔鏡検査のように麻酔や手術が必要となるものもあります。

精密検査で特定できるものもある

機能性不妊は「原因不明不妊」と呼ばれることもありますが、この呼称は正確ではなく、実際は「原因が不明」なのではなく、一般的な検査では「原因を見つけられなかった」というのが正解です。事実、より精密な検査を行えば、その原因の多くが特定できる場合も多いといわれています。

たとえば、「子宮内膜症」がそうです。これは、本来は子宮にしか存在しないはずの子宮内膜が、子宮以外の場所で増殖や剥離をくりかえす病気です。子宮卵管造影検査(一般的な検査のひとつ)で異常なしと診断された人のうち、腹腔鏡検査(精密検査のひとつ)を受けた約80%の人に、子宮内膜症や卵管周囲の癒着が認められたとの報告もあります。

また、「子宮内膜ポリープ」が原因となっているケースもあり、これは子宮鏡検査を受ければ特定できるものとされています。発生率は非常に低く自覚症状もほとんどないとされますが、月経時の出血量が多かったり、貧血が起こることが特徴としてあげられます。卵巣から出た卵子を卵管にうまく取り込めない「キャッチアップ障害」も、やはり一般的な不妊症検査では発見しにくいものです。受精は卵管で行われるため、卵管に卵子が運ばれなければ妊娠はできません。

精密検査でも特定できない原因とは

精密検査を受けても原因を特定できない人の割合は、「機能性不妊」と診断された人のおよそ10%にあたるといわれています。しかし、精密検査で原因が特定できなかったとしても、やはり原因は存在します。もっとも大きな原因として考えられているのが、卵子の質の低下です。卵子の元となる原始卵胞は、産まれたときからすでに女性の卵巣に存在しています。そして、年齢を重ねるとともにその数は減少していき、質も低下します。つまり、年を重ねるだけ原子卵胞の母数が減るだけでなく、妊娠するだけの力が備わった卵子も少なくなるというわけです。一生の間に排卵される卵子は、およそ400個といわれています。月経が始まる思春期頃の原子卵胞はおよそ20~30万個といわれていますから、このうちの400個と聞くと、年齢とともに数が減っても特に問題ないように感じてしまいます。しかし、この400個の卵子は、「妊娠する力がある」と認められた「選りすぐりの1個」なのです。つまり、妊娠するだけの力が備わっていない卵子は、排卵のチャンスを得ることはできません。

まだ老化の進んでいない10~20代の卵子でも「選りすぐりの1個」しか排卵を認められないのに、高齢により老化の進んだ質の低い卵子群から選ばれた1個では、妊娠を成功させられるだけの力が備わっているかは難しいところです。そのうえ、選ぶ元となる原子卵胞の母数自体も減少していくため、妊娠できるだけの力を持った卵子の排卵は年を重ねるとともにどんどん難しくなるのです。

2011年度に日本産科婦人科学会が発表したデータによると、高度生殖医療による女性の妊娠率は、30代で26.65%であったのに対し、40代では10%以下と大幅に減っています。これを見ても、加齢が不妊に大きく関わることがわかります。ただし、卵子の質の低下は加齢だけが原因で起こるわけではありません。栄養欠損や活性酸素によるダメージ、免疫の低下による炎症なども、これを助長させる原因と考えられています。特に、栄養欠損は卵巣・子宮の機能低下と萎縮を招くため、質の低下を促進させる大きな原因といわれています。

不妊治療の進め方

不妊症の治療には、「妊娠をさせにくくしている原因を治療する」ことと「妊娠する可能性を高める」ことの2つの柱があります。検査によって不妊症の原因がわかれば、まずその治療を行います。一方で精密検査を受けても原因が特定できなかった場合は、一般的な不妊治療(タイミング法や排卵誘発剤の使用など)を数回行い、それでも妊娠が困難な場合は人工授精、体外受精へと進んでいきます。普段の生活では、食生活や生活習慣の見直しを行い、卵子の質の低下をできるだけ遅らせるよう努めましょう。

健康的な体は、妊娠するためにもっとも大切な要素です。加齢にともなう卵子の老化はどうしようもないものですが、乱れた生活習慣や食生活による質の低下は努力により抑えられるものですし、逆に十分な栄養を摂取することで老化の進行を遅らせることもできるといわれています。機能性不妊と診断された場合はもちろん、そうでない場合も、元気な赤ちゃんを授かるために、妊娠しやすい体づくりを怠らないようにしましょう。妊娠しやすい体をつくる方法については、『妊活の実施方法(1)妊娠しやすい体づくりで大切なポイント』もあわせてご参照ください。

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