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不妊治療(4)漢方療法

更新日:2017/04/14 公開日:2015/10/02

不妊・不妊症

不妊治療にはステップがあり、治療法もさまざまです。そのなかで行われる漢方療法には、どのような特徴やメリットがあるのでしょうか。ドクター監修のもと、不妊治療における漢方療法とおすすめの漢方薬についてご紹介します。

不妊に漢方薬が効果的というイメージはあまりないかもしれません。しかし、普段の生活に漢方をとり入れることで、多くのメリットが期待できるのです。

不妊治療に漢方をとり入れるメリット

漢方で大切にしていることと求めていることは、基本的な体づくりです。不妊治療においては、もともと備わっている体の自然なリズムを整えることで、妊娠しやすい体に導くことを目的としています。

西洋医学における不妊治療には妊娠に直接的に働きかけるものが多く、生殖能力自体を向上させるものはほとんどありません。近年は、幼少期からの生活習慣の乱れや思春期の過度のダイエットなどにより、虚弱体質の人が増えているという事実があります。そのため、西洋医学で行っている検査や治療だけではなく、体全体の調子を整える東洋医学にも目を向け、卵子や精子、子宮の状態を整えて妊娠力を高めることも重要と考えられます。

漢方での不妊治療に対する考え方

漢方では、生体恒常性(=環境の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれる性質)を維持する基本要素を「気」「血」「水」としています。気は、生命活動の根源的なエネルギー、血は、気の働きを担って全身を巡る血液、水は、気の働きを担って生体のうるおいと栄養を保つ液体です。特に、婦人科領域では「血」が重要となり、これが滞ると「瘀血(おけつ)」と言い、月経障害や精神の不安定などが生じやすくなります。このうえで、生殖活動に関係する重要な臓器を、「腎」「肝」「脾」としています。それぞれの具体的な役割は、以下のとおりです。

生殖活動に直接関係する臓器です。思春期以前にもっとも活発に働き、発育や成長にも関わるとされています。

精神活動の安定、血の貯蔵、栄養の供給を行う器官です。思春期以降に働きが活発になり、腎が弱まる(腎虚)と、肝の機能異常にもつながるとされています。

食物の消化吸収による気の産生、血の生成・循環の制御を行うため、生命活動の維持にきわめて重要な器官といわれています。肝の影響を強く受けるといった特徴があります。脾機能が低下(脾虚)すると、気のレベルの低下(気虚)や、血の生成不足(血虚)を招くとされます。

生殖機能に直接関係するのは、泌尿生殖器全般を示す「腎」ですが、「腎」「肝」「脾」の働きは相互に関係しているため、妊娠力を高めるにはすべての機能が正常である必要があります。たとえば、脾虚は結果的に腎虚を招いて排卵障害などの生殖機能障害を引き起こすため、やはり妊娠するためには無視できない器官です。生体恒常性は疲れや睡眠不足などで乱れやすいため、生活習慣の見直しとともに、体のバランスを整える漢方薬の使用もおすすめです。

不妊治療に効果が期待できる代表的な漢方薬

補腎薬

補腎薬は、腎に蓄えられる「腎精(=エネルギーや栄養分)」の不足を補う役割をもっています。

●六味丸(ろくみがん)

補腎薬の基本となる薬です。老化にともなう色々な症状に働きかける、滋養強壮を促す漢方薬です。なかでも成分として含まれている「地黄(ジオウ)」は、血の栄養補給に優れているといわれているため、元気な卵子のためにぜひ取り入れたいものです。

●八味地黄丸(はちみじおうがん)

上記の六味丸に、「桂枝(ケイシ)」「附子(ブシ)」といった体を温める生薬が加わっています。妊活力を低下させる冷えに対して気になる方におすすめです。

●牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

「牛膝(ごしつ)」「車前子(しゃぜんし)」といった利尿作用が加わっています。手足が冷えやすく、むくみや疲れがなかなか取れない方におすすめです。

肝の機能を向上させる代表的な漢方薬

●加味逍遙散(かみしょうようさん)

肝機能異常の補正効果が見込まれます。ストレスが負荷された病態に有効で、主に無排卵周期症の改善に用いられます。冷え性、易疲労、イライラ、不眠などがある方におすすめです。

●柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

肝機能失調の補正効果が見込まれます。ストレスが負荷された病態や、神経症の傾向がある人に有効で、主に卵巣機能不全の改善に用いられます。虚弱体質で冷え性の方、イライラ、不眠などがある方におすすめです。

●芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

肝機能の補正・向上効果が見込まれます。多胞性卵巣症候群を含む、高アンドロゲン血性の無排卵に効果的とされています。月経痛がひどい方におすすめです。

脾の機能を向上させる代表的な漢方薬

●補中益気湯(ほうちゅうえっきとう)

気を補充することで、脾虚の改善効果が見込めます。虚弱体質で全身倦怠のある方、食欲不振、動悸、不安感などがある方におすすめです。

●六君子湯(りっくんしとう)

脾虚と気虚の改善効果が見込めます。胃腸虚弱、易疲労、貧血、冷え性がある方におすすめです。

その他、代表的な駆瘀血剤である「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や、排卵や妊娠率の向上効果が見込める「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」なども、不妊治療に多く用いられる漢方薬です。

不妊治療に漢方をとり入れる際の注意点

漢方薬は天然の植物を原料としていることが多く、飲食物と同じような感覚で服用できるというメリットがあります。しかし、食べ物でも体質によってはアレルギー反応が見られるように、漢方薬も人によっては合う・合わないがあります。また、漢方薬のなかには西洋薬との併用に注意が必要なものもあり、また、複数の漢方薬を服用したため生薬成分が重複し、副作用を起こすケースもまれにあります。もちろん、こうした副作用の頻度は低く、過度に心配する必要はありませんが、体調や他の治療と合わせて漢方薬を効果的にとり入れるためにも、医師としっかり相談することをおすすめします。

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