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不妊治療(6)人工授精

更新日:2016/12/09 公開日:2015/09/28

不妊・不妊症

不妊治療の種類のひとつに人工授精があります。「名前はよく聞くが、どんな治療なのか知らない」という方も多いのではないでしょうか。ドクター監修のもと、人工授精の基本知識やメリット・デメリットなどについて解説します。

不妊治療のひとつとして、主にタイミング法の次のステップとして位置づけられている人工授精。名前は有名ですが、治療の内容などについてどのくらいご存知でしょうか。

不妊治療の種類

不妊治療には、そもそもどのようなものがあるのか簡単にご紹介します。

人工授精

あらかじめ採取しておいた精子を、細い管を使って子宮の奥深くに注入し、卵子と精子の出会う確率を高める治療法です。人工といっても最初の出会いに少し人の手が加わるだけで、その後の受精・着床は自然妊娠と同じなのです。

タイミング法

タイミング法とは、排卵日を予測して、妊娠しやすいとされる日時に合わせて性行為を行うことです。タイミング法には、自然の周期に合わせる方法と、排卵誘発剤によって周期に合わせる方法があります。

排卵誘発剤を使う方法

排卵誘発剤は、卵巣を刺激して卵胞の発育を促します。通常、1回の月経のサイクルで排卵される卵子は1個です。この1個の卵子は、もっとも発育の進んだ卵胞であり、主席卵胞と呼ばれます。しかし、主席卵胞以外にも存在したいくつもの卵胞は栄養分として吸収されてしまいます。

排卵誘発による不妊治療は、卵巣を刺激してよりよい排卵をひき起こさせ、卵巣機能を高める方法です。卵巣機能の不調のために排卵しにくい人に排卵を起こさせる目的で使用されます。また、体外受精において良好な卵子を多数得る目的でも使われます。

排卵誘発剤は、自力で卵胞が育たない方、たまにしか育たない方、育つまで日数がかかる方におすすめの治療法です。一方で、きちんと排卵ができている方でも、不妊治療のステップやタイミング法のひとつとして使われます。

ホルモン療法

ホルモンのサイクルは、本来ならば自然な流れに任されていますが、ホルモン療法ではこれを薬によって疑似的に操ります。ホルモン療法が適しているタイプは、生理不順や生理痛で悩んでいる方や、高齢の方、ホルモン異常症のために黄体機能不全になっている、子宮内膜の増殖が弱いといった方です。ホルモンの分泌を整えることで妊娠する可能性を高めていきます。

漢方療法

漢方では、基本的な体づくりに重点をおいた不妊治療をします。もともと備わっている体の自然なリズムを整えることで、妊娠しやすい体に導くことを目的とした治療になります。

西洋医学との大きな違いは、西洋医学が妊娠に直接的に働きかけるものが多く、生殖能力自体を向上させるものはほとんどないことに対し、漢方などの東洋医学では体全体の調子を整えることを重視しているという点です。卵子や精子、子宮の状態を整えて妊娠力を根本から高めるといった方針です

プラセンタ療法

プラセンタ療法は不妊治療への直接的な効果を期待して用いられるものではありません。妊娠しやすい体をつくることで、間接的に効果を高めるものとして活用します。そのため、「すぐに妊娠したい」と思っている方にとっては物足りない可能性もあります。

また、プラセンタ注射は時間とともに体内に吸収されてしまうため、持続的な投与が必要です。期間は、最低でも3~6か月は必要とされています。そして、現在は不妊治療におけるプラセンタ注射は、保険適用が認められていません。不妊治療のメインとして使うのではなく、あくまで補助的な役割で検討しましょう。

人工授精について

今回は、不妊治療の中でも有名な人工授精について詳しく説明していきます。

人工授精が適しているパターン

人工授精に適している例として、精子の運動や数に問題があって自然妊娠が難しいケース、子宮頸管のトラブルなどから精子が通過しにくいケース、精子を異物として感知してしまう抗精子抗体が陽性のケースなどがあげられます。

不妊治療をしている方の中で卵管通過障害のない方が、タイミング療法で妊娠しなかったときに人工授精を選択するパターンが一般的です。

人工授精と体外受精の違い

人工授精と体外受精は、よく混同されやすいです。体外受精は、卵子と精子が受精するまでは体の外で人工的に行い、受精卵を子宮に戻します。卵子と精子の出会いをサポートするだけの人工授精とは大きく異なるのです。

人工授精の流れ

まずは事前に基礎体温、血液検査、超音波検査などで排卵日の予測を行います。自宅やクリニックで精液を採取し、さらに病院でコンピュータを用いた検査を行い、元気のよい精子を高い濃度で人工的に集めます。

排卵の予測日に、細いカテーテルを介して精子を子宮腔内に注入します。この時間はわずか1~2分ほどで、基本的に痛みはありません。人工授精を行った2日後くらいに排卵が行われたかどうかをチェックしたうえで、着床を高めるために黄体ホルモンを数回に渡って補充します。それからは判定を待つのみです。次の生理の有無で判定します。

人工授精のメリット・デメリット

メリット

一番のメリットは、体への負担が少なく、痛みなどのストレスも少なくスピーディーに行える点です。人工授精を行った当日も、30分ほど安静にした後にすぐ帰宅でき、生活の制限もありません。

子宮内は細菌の侵入を防ぐため、弱酸性になっており、弱い精子は卵管まで到達できません。しかし、人工授精では子宮の奥に精子を直接注入するため、より高い受精率が期待できる利点もあるのです。

デメリット

妊娠の成功率は、患者の状況やクリニックによってばらつきがあるのがデメリットです。人工授精における成功率の平均は10~15%程度といわれています。人工授精で妊娠しなかった場合、次のステップとしては体外受精が一般的です。人工授精を何回おこなったら体外受精に移行するかは、クリニックの判断によります。1~2回で移行することもあれば、13~14回おこなった場合でも妊娠率は変わらなかったという報告もあります。疑問や不安がある場合は、医師にしっかり相談しましょう。

また、人工授精で排卵誘発剤を使った場合は、多胎や卵巣の腫れ、胸水・腹水などを招く卵巣過剰刺激症候群(OHSS)へのリスクが高まってしまいます。他にも、カテーテルによる出血や感染のリスクもゼロではありません。さらに、現在の日本で人工授精は保険診療の対象ではないこともデメリットのひとつです。

人工授精にかぎらず、不妊治療については悩みも深くなりがちで、情報もさまざまなものがあります。不安な点に関しては、医師に確認・相談して不安を取り除き、万全な状態で治療にのぞみましょう。

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