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痔の種類別に見る手術方法

更新日:2016/12/15 公開日:2015/10/30

痔の検査・治療

「痔ろう」や薬物療法や生活習慣の改善で治らない「イボ痔」や「切れ痔」は、手術を行うことで完治を目指します。ここでは痔の症状に対する治療法についてドクター監修のもと手術の方法を中心に、解説します。

痔の症状

・痔ろう 

肛門の奥にあるくぼみ(肛門陰窩/こうもんいんか)に細菌が入り込んで膿が溜まると、肛門の周辺が化膿して腫れ、強い痛みが起こります。この状態を「肛門周囲膿瘍」と呼びます。さらに症状が進行すると、溜まった膿が皮膚を破って穴が開き、細菌の侵入口である肛門陰窩と膿の排出口をつなぐトンネルのような通り道が残ることがあります。この症状が痔ろうで、「あな痔」とも呼ばれています。

・イボ痔

イボ痔は、医学用語で「痔核(じかく)」と呼ばれます。イボ痔は、肛門部の血液の流れが悪くなって血管が腫れ、肛門にイボのような腫れができる状態です。立ちっぱなしや座りっぱなしの状態が多いと、肛門部の血流が悪くなるため発症しやすくなります。また、排便時に強くいきんだり、便秘や下痢によって肛門のクッション部分(血液の流れによって膨らんだり萎んだりする直腸末端部の組織)に負担がかかることでも起こります。5分以上トイレで座っていきんでいる人も、肛門に負担がかかりイボ痔になりやすいと言えます。

・切れ痔

切れ痔の主な症状として、排便時に激しい痛みを感じたり、トイレットペーパーに付着するくらいの少量の出血があげられます。イボ痔や痔ろうと比べて痛みが非常に激しいのが特徴です。また、痛みによって。肛門の両わきにある内肛門括約筋がけいれんを起こすため、さらに痛みが持続します。

薬物療法や食事や排便といった生活習慣の改善を試みても、痔の症状がよくならない場合は、手術を行います。痔の種類によって手術方法は異なります。実際、どのような手術が行われるのか、見ていきましょう。

種類別にみる痔の手術方法

痔の手術は、痔の種類によって次のような方法があります。

イボ痔の場合

・結紮(けっさつ)切除術

痔核に血液を送っている血管を糸で縛り、痔核を切除します。内痔核でも外痔核でも根元から切り取ることができるため、根治が期待できます。施術により、日帰り手術から入院(4~10日前後)が必要な場合もあります。

・ジオン注射療法

肛門の内側にできる内痔核に、薬剤を直接注射することで痔核が小さく硬化し、脱肛(イボが肛門の外に出てくること)しなくなります。肛門にメスを入れないため、手術後の痛みもほとんどなく、日帰りもしくは、短期入院で手術を受けることができます。ただし、外痔核には行えません。

切れ痔の場合

・用手肛門拡張術

肛門を広げて括約筋の緊張を取り除く手術です。肛門に指を挿入して行い、切開はしません。しかし、この手術は加減が難しく、今では特別な場合を除きあまり行われていません。

・裂肛切除術

肛門がそれほど狭くなっていない裂肛の場合に行う手術です。慢性の裂肛は深いポケットのようで治りにくい形になっているため、裂肛を切除して、治りやすい形に整えます。

・側方内括約筋切開術(LSIS)

括約筋の一部を切開し、狭くなっている肛門を少し拡げる手術方法です。この手術によって、裂肛がくり返される原因である内肛門括約筋の緊張の強ばりを解消し、裂肛をくり返さないようにします。この手術は、日帰りできる手術で、裂肛切除術と一緒に行うことも多いです。

痔ろうの場合

軽度のイボ痔や切れ痔と違い、痔ろうを治すためには、手術が必要になります。痔ろうの手術は「痔瘻根治手術」と呼ばれていますが、多くの術式を含んでいるため、ここでは代表的な手術方法を紹介します。

・開放術式

痔ろうのろう管の部分(トンネル)を完全に切開開放する手術方法です。背中側にある浅くて単純な痔ろうに行われることが多いと言えます。再発率が1~2%と低いものの、手術後に肛門の変形が起こることがあります。

・くりぬき法(括約筋温存術式)

痔ろうの部分を切開することなく、くり抜いて閉じ合わせる手術方法です。背中側以外の痔ろうで行われることが多いです。術後に肛門の変形が起こる可能性が低いものの、再発率が15%と高いうえ、手術の難度も高い手術です。

・シートン法

膿が通るトンネルに輪ゴムを通して圧迫し、時間をかけてトンネルを一部切開する手術方法です。複雑な痔ろうの場合にで行われ、傷も痛みも小さく、筋肉の障害が少ないというメリットがあります。技術的に難しく、輪ゴムの調整などで、治るまでの期間がほかの方法よりも長くかかります。

手術前後の過ごし方

手術時間は手術内容によって異なりますが、どの手術も30分程度で終わります。手術前後は、次のように過ごすのが一般的です。

手術前

尿検査、血液検査、レントゲン、心電図、血圧測定、大腸内視鏡検査など、手術に必要な検査を行います。当日は、手術までに排便をすませ、食事は控えます。詳しい検査方法と流れは、『痔の検査方法と流れ』で解説していますのでご覧ください。

手術後

手術後、麻酔が切れると痛みを感じることがあります。痛みが強い場合は、我慢しないで痛み止めを使用するとよいでしょう。横向きに寝て、肛門に力を入れないようにすることで多少楽になるはずです。麻酔方法によっては、その影響で頭痛が起こることもあるため、できるだけ安静に過ごしましょう。

痔の状態と、それぞれの手術のメリット・デメリットを考えたうえで検討し、手術方法を決めましょう。

痔は手術後どれくらいで治るの?

痔の治療による入院はケースにもよります。重度の痔ろうの場合は入院が必要になることもありますが、軽度な痔ろうは日帰り手術が可能です。内痔核は、薬や生活習慣の改善など保存療法を用いることで、患者の9割近くが手術なしで完治可能とされています。しかし、中には外科的治療が必要になるほど悪化する人もいます。手術後は、排便が良好か、出血や再発の兆候はないかを確認します。内痔核の個数や状態にもよりますが、ほとんどの方が1週間程度で退院可能です。また、生活スタイルに応じて日帰り手術も対応可能な施設もありますので、受診前にインターネットなどで検索されることをおすすめします。

この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科

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