スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

急性の怪我によるひざの痛み(1):半月板損傷

更新日:2016/12/09 公開日:2015/10/30

加齢・習慣・怪我による膝の痛み

ひざ関節にある半月板にはどのような役割があり、損傷するとどのような支障があるのでしょうか?そのひざの痛みの原因となる半月板損傷と合併症について、ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

急性の怪我によるひざの痛みの原因のひとつに、半月板の損傷があります。原因と主な症状、治療方法について解説します。

半月板損傷の原因

半月板とは、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)からなるひざ関節にある、アルファベットのCの形をした軟骨様の板で、大腿骨の軟骨と脛骨の軟骨との間に介在しています。ひざ内部の内側(内側半月板)と外側(外側半月板)に1枚ずつあり、それぞれ丸まっている部分を外側に向け、部分は靭帯により緊張を保ちながら存在しています。関節軟骨が硝子軟骨でできているのに対して半月板は線維軟骨でできており、曲げ伸ばしなどの動きをスムーズにできるようにするとともに捻り動作でのひざ関節を安定させたり、関節軟骨とともにジャンプなどの衝撃から大腿骨や脛骨を守るクッションの役割を担っています。

この半月板に亀裂が入ったり断裂するのが、半月板損傷です。ひざを過度にひねったときに起こりやすいですが、主にはひざが曲がっている状態でひねりが加わった際に起こります。たとえば、バスケットやバレー、体操でジャンプの着地時にひざをひねったとき、サッカーで脚を曲げたまま強くひねるインサイドキックをしたとき、ラグビーでひざに横からタックルされたときなどに多くみられます。くり返しひねりの力が加わる水泳の平泳ぎや、徐々に半月板が摩耗していくランニングなどで起こることもあります。また、半月板は加齢にともないもろくなっていくため、40歳以上になると日常生活のちょっとした動作でも損傷しやすくなるとされます。

外圧の強さや受け方によっては、靭帯損傷と半月板損傷が同時に起こることもあります。また、靭帯が断裂することで、それにともない半月板が損傷してしまうケースや、以前に十字靭帯損傷を経験したことでひざの不安定感が続き、これにより徐々に半月板が損傷するケースもあります。なお、損傷しやすいのは内側半月板で、外側半月板に比べて5倍も多いとされます。これに対して、外側円板状半月と呼ばれる生下時からの形態異常がある場合には小児期から外側半月板を損傷して障害をおこすことがあります。

半月板損傷の症状

半月板が損傷すると、その度合いによって以下のような症状が現れます。

急性の症状

  • ひねった際に、ボキッと音がする(しない場合もある)とともに疼痛を感じる。
  • ひざに体重をかけたり曲げ伸ばしすると、ひざの奥になにか挟まったような痛みを感じる。
  • ひざを伸ばすときに、ひっかかるような違和感がある(キャッチングと呼ぶ)。
  • ひざがピンと伸ばせなくなる(ロッキングと呼ぶ。断裂した半月板の断片が関節内に挟まった場合に起こる)。
  • ロッキング症状にともない、激痛や可動域制限が生じる(歩けなくなることもある)。
  • 階段を下りる際にがくんとひざが崩れる(ギビングウエイと呼ぶ)。

慢性の症状

  • 関節炎が起こり、関節内に水(関節液)や血が溜まって腫れる。
  • 長期化すると大腿四頭筋の萎縮を招く。
  • 重症化する(半月板がめくれる)と、関節軟骨を傷つけ、変形性膝関節症(へんけいひざかんせつしょう)を招くことも。

※変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)について、詳しくは『ひざの痛みの大半はこれが原因?変形性膝関節症とは』をご覧ください。

合併症の症状

若い頃の怪我がひざの打撲や捻挫などの軽症なものなら、その影響が後々まで残ることはほとんどありません。ただし、半月板を損傷すると加齢によってひざ関節の機能が衰えてきた際に影響が出ることがあります。

半月板損傷の治療法

まずは、保存療法で症状の改善を図ります。

半月板には神経がないため、損傷しても痛みを感じることがないこともあります。ある報告では、60歳以上で特に自覚症状がない人の約40%に半月板損傷が認められたとされています。ひざ痛は、半月板の損傷により周辺組織(腱や筋肉)に影響が出た場合に起こります。

保存療法では、影響を受けている周辺組織の症状を和らげるため、主に以下のような治療を行います。

  • 急性期の症状が治まるまでテーピングやサポーターなどの装具でひざに負担がかからないようにし、安静にする。
  • 痛み、炎症に対しては、消炎鎮痛剤(内服薬)や、湿布・軟膏などの外用薬を使用する。場合によっては、関節内に直接ステロイド剤を注射する。炎症を抑えるとともに、関節の動きをスムーズにする効果も見込めるヒアルロン酸注射を行うことも。
  • 大量に水(関節液)が溜まっている場合は、注射器で吸引する。
  • ひざを動かさないことによる筋萎縮(筋肉がやせること)や、ひざをかばうことで起こる周辺組織の痛みを軽減するために、電気療法などを行うこともある。

保存療法で症状が改善しない、ロッキングによって歩行が困難である、半月板損傷をくり返して症状が慢性化しているといった場合には、手術療法が必要となります。

半月板損傷の手術

手術の方法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術があります。どちらも関節視鏡下で行われることが多いため、傷跡が小さく、患部への負担も最小限ですみます。

ただし、半月板の場合は手術をしたからといって100%治るとは限りません。それは、半月板の内側2/3には血液の供給がないため、縫合しても半月板同士がくっついて治ることが難しいからです。ただし、外側縁(全体の外側1/3)の部分は血行がよいため、損傷がこの部分であれば縫合することで治る可能性が高くなります。切除術を行った場合は、切除した部分は再生されません。

手術では、たとえばロッキングを起こしている部分を極力小さ目に切除して、健常な部分はできるだけ温存するというように、症状を起こしている部分のみ治療することがほとんどです。あとは、周辺筋肉を強化してひざの負担を軽くする運動療法や、ひざに負担をかけない動作の指導などにより、損傷を起こした部分と上手に付き合っていくようにします。

早い段階で適切に治療すれば、慢性化による半月板損傷のくり返しや、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)への移行を避けることもできるので、早めに整形外科を受診しましょう。

この病気・症状の初診に向いている科 整形外科

ヘルスケア本