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急性のケガによる膝の痛み(2):靭帯損傷

更新日:2017/08/23 公開日:2015/10/30

加齢・習慣・怪我による膝の痛み

スポーツや交通事故で膝を強く打ったときなどに起こる靭帯損傷。靭帯損傷には4つの種類があり、それぞれの症状は異なります。また、症状により治療法も変わります。こうしたポイントをドクター監修の記事で解説します。

ケガによる急性の膝痛(しっつう)のひとつに、膝(ひざ)の靭帯損傷があります。靭帯損傷には4つの種類があります。靭帯損傷の原因と主な症状、治療法について解説します。

靭帯損傷とは?

膝関節は、内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯という4つの靭帯により安定が保たれています。これらの靭帯が部分的に切れたり、完全に断裂してしまった状態が、膝の靭帯損傷です。

  • 内側側副靭帯:外反にひねると損傷しやすいです
  • 外側側副靭帯;内反にひねると損傷しやすいです
  • 前十字靭帯:膝にねじるなどの力が加わると損傷しやすいです
  • 後十字靭帯:膝を前方から打撲した際の後方への力で損傷しやすいです

いちばん損傷しやすいのが内側側副靭帯で、その次に多いのが前十字靭帯です。ほとんどがこれらの損傷によるものですが、まれに後十字靭帯損傷のケースも見られます。外側側副靭帯の単独損傷は、ほかと比べると頻度は低いといえます。

原因は「膝に大きな力が加わる」こと

靭帯が損傷する主な原因は、スポーツや交通事故など、膝に大きな力が加わることによるケガです。転倒で固い地面に膝を強打した、交通事故でダッシュボードに膝を打ちつけたといった直接的なものと、ジャンプの着地時やフェイント動作、コンタクトプレー(激しく相手に接触すること)の際に膝をねじったといった間接的なものがあります。

事故などで大きな損傷を負ったときには、外側側副靭帯を含む複数の靭帯を同時に損傷・断裂することもあります。また、前十字靭帯の損傷は、比較的筋力が弱く、関節の弛緩性の高い女性に多い傾向があります。

靭帯を損傷した場合の症状

主な症状は損傷した靭帯によって変わってきます。

内側側副靭帯を損傷した場合

膝の痛みと、動かしづらいといった可動域の制限、膝の不安定性が見られます。なお、損傷の度合いにより、重症度は以下の3つに分けられます。軽度(I度)の場合は、単なる膝の捻挫として扱われることもあります。

  • I度…わずかな線維が損傷した状態。痛みはあるが膝の不安定感はない。
  • II度…一部が断裂した状態。膝を少し(30度ほど)曲げた際に不安定感が認められる。
  • III度…完全に断裂した状態。膝をまっすぐ伸ばしたときにも不安定感がある。前十字靭帯の損傷を合併しているケースもある。

前十字靭帯を損傷した場合

強い痛みにともない、関節内の出血による腫れが生じます。なお、切れた瞬間は「バシッ」という音がすることやガクッと膝がはずれた感覚にもなります。損傷を長期わたって放置した場合では、小さなひずみにより関節水腫(かんせつすいしゅ:膝に水や血がたまった状態)が起こりやすくなったり、活動性の高い人が前十字靭帯断裂を放置すると、くりかえす膝くずれの症状とともに、二次的に半月板損傷、軟骨損傷が起こります。

後十字靭帯を損傷した場合

転倒や打撲によりほとんどの損傷が起こります。損傷直後には脛骨粗面(けいこつそめん:膝の皿の約3cm下にある骨の出っ張り。すねの骨の上部で、膝蓋靭帯がくっついている部分)には、打撲のあとのような傷が見られます。また、受傷当初は膝を曲げた際に、痛みを感じることが多いです。重症度が高くなるほど、膝を90度に曲げた状態で側方から左右を比べると、先ほどの脛骨粗面がけがしている側で後方に落ち込んで見えます。ただし、後十字靭帯単独での損傷では、普段の生活や、スポーツ活動にも影響を及ぼさないケースが非常に多いです。

靭帯損傷の検査

靭帯損傷は医師が患部を触って確かめる触診や、MRI検査などが行われます。レントゲン撮影では靭帯が映りません。MRI検査をすることで靭帯の損傷具合を図ることができます。また、MRIでは靭帯の損傷具合だけでなく、半月板損傷などの合併損傷を見分けることが出来ます。

靭帯損傷の治療法

損傷頻度の高い3種類の靭帯別に、主な治療法をご紹介します。

内側側副靭帯損傷の治療法

I度の軽い損傷であれば、受傷直後のRICE療法(応急処置のことで、安静・冷却・圧迫・挙上※を指す)によって痛み・出血・腫れ・炎症などを最低限に抑え、自然治癒を目指します。

※(挙上:きょじょう)~持ち上げること。

II~III度では、単独の損傷の場合はテーピングや内側側副靭帯用サポーター、場合によってはギプスで固定し、鎮痛消炎剤で痛みや炎症を緩和させます。3週間以上経って痛みが軽減してきたら、装具をつけてリハビリを行います。これで、ほとんどの場合は完治します。前十字靭帯損傷などの合併がある場合は、外科手術による靭帯再建術が検討されます。

前十字靭帯損傷の治療法

前十字靭帯は他の靭帯と違って膝関節内にあることから、栄養が行き届きにくく、自然治癒が難しいという特徴があります。損傷が靭帯の上端のみであり(軽度であり)、受傷後すぐに治療を開始でき、かつ治療中の角度制限をしっかり守った場合には、装具療法で治癒することもありますが、多くの場合は手術による靭帯再建術が必要になります。

後十字靭帯損傷の治療法

後十字靭帯は、損傷してもスポーツ活動などに支障をきたさないことが多いことから、局所の固定と筋力トレーニングによる保存療法で治療を試みることがほとんどです。ただし、ほかの靭帯も損傷していたり、保存療法を行っても不安定さが治まらない場合は、手術による靭帯再建術が検討されます。

靭帯損傷は早い段階で治療をしましょう

状態の悪化を防いで早期の完治を目指すには、早い段階での正しい治療が必要となります。中には症状が和らいだことで治療をしない人もいます。靭帯損傷が疑われる場合は放置せず、整形外科を受診しましょう。