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使い過ぎによる膝の痛み(1):オスグッド・シュラッター病

更新日:2016/12/09 公開日:2015/10/30

加齢・習慣・怪我による膝の痛み

膝の使いすぎによって起こる膝痛の原因のひとつに「オスグッド・シュラッター病」(通称、オスグッド)があります。スポーツをしている子どもがなることが多いというこの病気について、ドクター監修の記事にてお伝えします。

使い過ぎによる膝の痛み(1):オスグッド・シュラッター病

「オスグッド・シュラッター病」は、サッカーなどのスポーツをしている子どもに見られることの多い、成長期の代表的な膝(ひざ)疾患です。原因と症状、対処法について見ていきましょう。

オスグッド・シュラッター病とは

成長期に膝を使いすぎることで起こるスポーツ障害のひとつです。太ももの主な筋肉である大腿四頭筋の引っ張る力が強すぎることで、脛骨粗面(膝蓋靱帯がついているすねの上半部)にある成長軟骨帯(膝関節付近にある軟骨)が阻害されることで起こります。

1903年にこの病気を発見したふたりのドクター、ロバート・ベイリー・オスグッド(ボストンの整形外科医)とカール・シュラッター(チューリッヒの外科医)の名前をとって、このように名付けられました。一般的に、略して「オスグッド(病)」と呼ばれます。

オスグッド・シュラッター病の原因と、成長期に起こりやすい理由

膝関節は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間にあります。大腿四頭筋は膝蓋骨(しつがいこつ:膝の皿)にくっつき、膝蓋靭帯を通って脛骨粗面までつながっています。そのため、膝を曲げ伸ばしする際、大腿四頭筋の強い力は脛骨まで伝わります。

通常であればなんの問題もありませんが、主に10~15歳の成長期にある子どもがジャンプやダッシュなどくり返すと、大腿四頭筋のけん引力に脛骨結節部が耐えられず、炎症を起こすことがあります。また、骨や軟骨の一部が浮いたり、はがれてしまうこともあります。これが、オスグッド・シュラッター病が起こるメカニズムです。

成長期に起こりやすいのには、骨と筋・腱の成長が関係しています。成長期には身長が著しく伸びることから、骨が急速に成長します。しかし、筋や腱などの軟部組織は同じように成長できないため、骨の成長速度に追いつけません。そのため、成長期には柔軟性が低下し、体(筋肉)が硬くなります。大腿四頭筋も例外ではないため、この時期はジャンプやダッシュなどのくり返しの動作による影響が、脛骨粗面により強く加わります。成長期の脛骨粗面には成長軟骨があり、この中には骨の成長に必要となる、丸い豆のような骨端核、いわゆる“骨の芯”があります。大腿四頭筋の強い牽引力が負担になると、この骨端核の発育が阻害されてしまい、オスグッドの症状が起こるのです。

このような理由から、オスグッドは成長期の体が硬い男子に特に多く見られます。また、片方の脚に負担がかかっている(体の使い方やバランスが悪い)、同じ動きをくり返し行う、運動前後にきちんとストレッチなどの準備運動を行っていない場合に起こりやすい傾向があります。

オスグッド・シュラッター病の症状

主な症状には、以下のものがあります。

・脛骨結節部(膝蓋骨の下部)の痛み。押したり圧迫すると痛みが増す。

・脛骨結節部の突出や腫れ、赤身、熱感などをともなうことも。

・脛骨結節部が剥離している場合は、大きく腫れたり、強い痛みがともなう。

この他、ジャンプ力やダッシュタイムの低下など、痛みにより運動能力の衰えも見られます。また、動かさずにいると痛みがなくなり、動き始めると痛みが現れるのも特徴のひとつです。

オスグッド・シュラッター病の対処法

成長期が過ぎると自然に治まることが多いため、症状が出た際には以下のような保存療法を試みて、症状が悪化しないようにしましょう。

・痛みや炎症があるときには、抗炎症鎮痛薬を使用(内服・外用)したり、アイシングを行う(痛みが出た場合の応急処置としては、アイシングがもっとも効果的)。超音波や低周波などの物理療法も効果的。

・痛みがなくなるまではスポーツを休み、安静にする。

痛みがなくなったら、スポーツを再開してもかまいません。ただし、3~6か月間は痛みが再発しやすいため、スポーツ時には膝サポーターやベルトなどを装着し、負担の軽減を図りましょう。スポーツ前後に大腿四頭筋のストレッチやアイスマッサージ(氷を入れた袋を患部に当て、やや圧力をかけて動かしながらアイシングする方法)などを行うのもおすすめです。

予防としては、大腿四頭筋のストレッチが効果的です。柔軟性を高めることで、脛骨結節部にかかる負担をある程度抑えることができます。また、左右を均等に使えるよう、体のバランスを整えることも大切です。

最近は子どもたちが普段の生活の中で正座をする機会が少なくなっていますが、礼儀作法として正座を行う機会の多い武道をする子どもには、オスグット病が少ない傾向にあるそうです。このことから、正座は膝周辺の筋肉や靭帯のストレッチになり、オスグッドの予防によいといった説もあります。

成長期が終わると骨の成長もほとんど終わり、やわらかかった骨も固まるため、症状は出なくなります。ただし、大人になっても、身体を酷使するなどによりふたたび脛骨結節部に強い力が加わると、再発することがあります。これを、オスグッド後遺症と呼びます。

オスグッドはケガではないため、痛くてもスポーツを休まないケースが多いと言います。慢性化や後遺症を防ぐためにも無理はせず、痛みが治まるまでは安静にするよう心がけましょう。

この病気・症状の初診に向いている科 整形外科

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