全身性浮腫の原因でもっとも多いのが腎性浮腫です。腎性浮腫とはどのようなものなのでしょうか。その概要や腎性浮腫の原因となる病気について解説します。
腎性浮腫とは
腎臓浮腫とは、全身性浮腫の原因でもっとも多く、腎臓の病気で生じるむくみです。むくみは腎臓病にとって重要な症状で、腎臓がかなり破壊されないと腎性浮腫は発生しません。むくみが出るとかなり重症ということになります。
腎性浮腫の原因
腎臓は、身体の水分を調節したり、老廃物を尿として排出する役割を持ちます。腎臓が破壊されるとその機能が低下し、余分な水分やナトリウムを排泄できず、体に滞ります。この水分と老廃物がむくみを形成するのです。
さらに、腎臓病になると、水分やナトリウムを排出するために生成されるホルモンも失われるため、むくみがどんどん悪化していきます。
腎性浮腫を引き起こす主な腎臓疾患とは
腎臓浮腫を引き起こす主な腎臓疾患には以下のものがあります。
ネフローゼ症候群
腎臓は老廃物を排泄する臓器です。腎臓の中にある毛細血管のかたまり(糸球体)がろ過装置となり、血液がろ過されて老廃物が取り除かれます。この糸球体に障害が起き、そのために血液中のタンパクが大量に糸球体から尿にろ過され、尿にタンパクがたくさん出て血液中のタンパクが減ること(低タンパク血症)で、むくみなどの症状が出るのがネフローゼ症候群です。低タンパク血症により、血液中のタンパクの濃度が低下すると、浸透圧の作用によって血液中の水分や塩分が血管の外に移動します。その血管外に溜まった水分や塩分がむくみとなって現れるのです。
ネフローゼ症候群にはさまざまな原因があり、その原因やタンパク尿の程度、患者の年齢などによってむくみの現れ方も変わってきます。急に出てくるケースもあれば、徐々に出てくるケースもあります。どの原因によってネフローゼ症候群が発症しているかは、腎生検によって多くの場合判明します。
腎不全
腎臓の働きが、健康な状態から30%以下に低下した状態が腎不全です。腎炎などにより、血液をろ過する糸球体の網目が詰まってしまい、腎機能が落ちてしまうことで、老廃物が十分に排泄できなくなり、腎不全となります。腎不全では尿の出が悪くなったり、全くでなくなったりするため、体内に水分が溜まり、むくみが発生します。慢性腎不全になると、機能の回復は不可能と言えます。
腎臓の病気でむくみが現れている場合は、検尿でなんらかの異常が認められることがほとんどです。長引く、頻繁に起こるなど、不安なむくみがある場合は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
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