スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

肩こりに対する漢方の考え方と効果的な漢方薬

更新日:2017/05/02 公開日:2015/12/08

肩こりの治療

漢方の基本的な考え方「気・血・水(き・けつ・すい)」のうち、肩こりは特に「気」と「血」が滞ることで起こるとされます。ドクター監修のもと漢方医学による肩こりの原因と、肩こりに効く漢方薬を解説します。

漢方の基本的な考え方に「気・血・水(き・けつ・すい)」があります。そこで肩こりはこの「気・血・水(き・けつ・すい)」のうち、何が原因で起こるのでしょうか。また、効果のある漢方薬はあるのでしょうか。ドクター監修のもと確認します。

肩こりの漢方医学的な診方

漢方では「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素で、人間の生命活動が成り立っていると考えられています。それぞれの意味は下記のとおりです。

・「気」:あるゆる生命活動のエネルギーおよび神経機能を指します

・「血」:主に血液のことを指します

・「水」:血液以外の体液を意味しています

肩こりの分類

肩こりはこの3つの要素のうち、肩の筋肉や組織に「気」と「血」というエネルギーや栄養物質が体に行き届かなくなって起こるとされています。気血水の考え方を使うと、さらに下記のように5つのタイプに分類できます。

(1)気滞(きたい)タイプ

気は全身をくまなく巡っていますが、ストレス等によって滞ってしまいます。気滞による肩こりは、項部(うなじ)から肩やわきにかけて、こりや鈍痛、重苦しい感じをともなうことが多いです。腹部の診察では胸脇苦満(きょうきょうくまん:みぞおちから胸のわきにかけて充満した感じで苦しく、肋骨の下を押すと抵抗がある)があり、脈は弦、舌質は淡紅~紅で白~黄色の厚い舌苔をともなう例が多いです。

・処方(1):大柴胡湯(だいさいことう)

高血圧症にともなう肩こりに用いられます。上腹部が強く硬満しています。

・処方(2):柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

胃腸虚弱な人が風邪(かぜ)で肩背がこるとき、あるいはストレス、緊張、疲労などによって肩がこるときに用いられます。腹部診察では胸脇苦満と上腹部直筋の緊張がみられます。

・処方(3):加味逍遥散(かみしょうようさん)

更年期やストレスにより、肩こりやイライラをはじめ多彩不定の症状を呈している場合に用いられます。

(2)瘀血(おけつ)タイプ

血管の微小循環障害が主たる病態です。瘀血があると肩こり、頭痛、便秘、自律神経失調などさまざまな症状が出現します。瘀血は長期のストレス、外傷打撲、更年期障害などさまざまな原因で生じます。瘀血がある人は肩こりとともに、ときに鋭い筋肉痛がみられます。また、静脈の怒張や毛細血管拡張がみられ、下腹部の膨満感と瘀血特有の圧痛があります。舌の暗紅色でしばしば紫斑や舌下の血絡を認めます。

・処方(1):桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

基本的な瘀血の改善薬です。瘀血の諸症状とともに下腹部の下満と、へその斜め下に著明な圧痛を認める方に使います。月経異常や更年期の女性の肩こりにはよく用いられます。

・処方(2):桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

胃腸が強い方に使います。顔色はやや赤黒く、肩こりとともにのぼせ、月経異常、下腹部が張って圧痛があり、便秘傾向の方に使います。

(3)気虚(ききょ)タイプ

加齢、体質虚弱、胃腸機能の低下、栄養不足、過労などはいずれも元気の生成を阻害して気虚を生じます。気が足りなくなると、倦怠感が強く肩が凝りやすくなります。その他、顔面蒼白、動悸、息切れ、声のかすれ、寝汗などがみられます。舌は淡い色でしまりがなくぼてっとしています。脈は弱く、腹部は軟弱でしばしばみぞおちで動悸が触れます。

・処方(1):補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

気が足りなくて疲労感が強く、筋力が低下して、肩こりがある方に用います。

(4)血虚(けっきょ)タイプ

血虚があると血が十分にめぐらず肩がこりやすくなります。皮膚は乾燥傾向で色つやが悪く、肩こりとともにめまい、立ちくらみ、貧血様の症状があります。女性では月経異常をともないやすいです。舌は淡白で、脈は細く沈んでいます。腹壁は薄く、腹直筋はやや緊張し、下腹部に軽い圧痛がみられることが多いです。

・処方(1):当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

肩こり以外に、冷え、浮腫傾向、疲れやすさ、立ちくらみ、腹痛などをともなう例が多いです。色白、なで肩の華奢な女性によく使われます。

(5)気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ

気と血は相互に依存し協力しあって生理機能を営んでいますので、気血いずれかが不足すると遠からず気血両虚の症状を呈するようになります。脈は沈んで細く弱いことが多いです。

・処方(1):十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

貧血性の虚弱体質、大病、手術、出産などの後に消耗し、肩がこるようになった方に用います。

・処方(2):帰脾湯(きひとう)

体質虚弱、貧血傾向に加えて抑うつ傾向があって肩がこる場合に用いられます。

肩こりの症状を改善させる漢方薬

肩こりで処方される漢方薬には、大きく分けると、症状が出ているときに一時的に飲むものと、慢性的な体質改善のために長期間飲み続けるものとの2種類があります。

症状に合わせて一時的に飲む漢方薬の例

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)/防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)/桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)など、痛みやしびれなどの症状を一時的に改善させる目的で使用されます。

慢性的な痛みや、体質改善のための漢方薬の例

一般的に肩こりは慢性的な症状なので、一時的に症状が改善されても再びぶり返すことがあります。そのような場合は、下記の漢方薬による治療をすすめることがあります。

・「気」に問題がある場合

大柴胡湯(だいさいことう)/小柴胡湯(しょうさいことう)/柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)/柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)など、緊張やストレスを和らげ、「気」の状態を整える漢方薬を使用します。

・「血」に問題がある場合

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)/桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

/当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)/加味逍遙散(かみしょうようさん)など、血のめぐりをよくしたり、血を補ったりするような漢方薬を使用します。

漢方医学的な診察と血液検査の大切さ

漢方による治療の成果を出すには、正しい診察や検査が大事になります。それぞれについて確認しておきます。

漢方医学的な検診について

漢方医学的な問診に加えて、脈診、舌診、腹診を行い、ドクターが漢方医学的な判断をします。体質に合わない漢方薬を飲むと、胃腸をこわしたり、体のバランスが崩れて肩こりがひどくなることがあります。

血液検査について

また、定期的に血液検査をしてもらうことによって「副作用が出ていないか」また「今のつらい症状の原因が他にないか」を確認してもらうことが大切です。きちんと診察してもらい、自分の体質にあった漢方薬を専門の医師と一緒に探していくことが「安全」で「近道」です。

正しい漢方の服用方法を知る

漢方は大きく「煎じ薬」と「漢方エキス」とに分類できます。それぞれの正しい飲み方を覚えておきましょう。

煎じ薬

煎じ薬の作り方の手順は以下のとおりです。

(1)1日分の漢方を土瓶に入れます

(2)土瓶にコップ3杯程度(600ml程度)の水を入れます

(3)一度沸騰するまで強火にかけます

(4)沸騰後は弱火にかけて30分~60分程度煎じます

(5)漢方を半分程度にまで煎じ詰めします

(6)火を止めてすぐカスを濾していきます

(7)一日3回、食事と食事の間にコップ半分(100ml)ずつ温めて飲みます

漢方エキス

漢方エキスの場合は空腹時にお湯に溶かして飲むだけです。煎じ薬よりも手間がない分、簡単に飲むことができます。

肩こりは「気」と「血」が原因で生じます

漢方医学によれば肩こりは「気」と「血」に異常が起きることで生じていると考えられます。さらに5つの種類に分類できるので、それぞれのタイプに合わせて正しい漢方療法を行うことが大事になっています。もし、漢方で治そうと考えているのであれば、専門医に相談しながら治療を進めるといいでしょう。

この病気・症状の初診に向いている科 整形外科

ヘルスケア本