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妊娠高血圧症候群の症状と原因、治療法は?胎児への影響はあるの?

更新日:2016/12/09 公開日:2015/12/04

高血圧の種類と対処法

妊娠高血圧症候群は初期の自覚症状が少なく、場合によっては母子ともに大変危険な状態になる恐れがあります。ここでは、妊娠高血圧症候群の症状と原因、胎児への影響、治療法について、ドクター監修の記事で解説します。

妊娠高血圧症候群という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどのような症状かよくわからない、という妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊娠高血圧症候群は初期の自覚症状が少なく、場合によっては母子ともに大変危険な状態になる恐れがあります。ここでは、妊娠高血圧症候群の症状と原因、胎児への影響、治療法について、ドクター監修の記事で解説します。

妊娠高血圧症候群とは

妊娠高血圧症候群の定義

日本産科婦人科学会では、「妊娠高血圧症候群」を「妊娠20週以降~分娩後12週まで高血圧がみられる場合、または、高血圧にタンパク尿をともなう場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものでないもの」として定義しています。妊娠高血圧症候群の中でも、高血圧のみの場合は「妊娠高血圧症」、高血圧とタンパク尿の両方がある場合は「妊娠高血圧腎症」と呼ばれています。

妊娠高血圧症候群と妊娠中毒症の違い

かつては、妊娠中期以降に高血圧、蛋白尿、むくみのいずれか1つ、もしくは2つ以上が現れることを「妊娠中毒症」と呼んでいました。研究が進むにつれ、蛋白尿やむくみだけでは胎児への影響はほとんどなく、直接的な影響を与えるのは高血圧をともなう場合が多いことが分かったため、「妊娠高血圧症候群」と呼ぶようになりました。

現在は、蛋白尿が出ても血圧が正常な場合は「妊娠蛋白尿」、むくみだけの場合は「妊娠浮腫」と呼ばれ、妊娠高血圧症候群とは区別されます。

妊娠高血圧症候群の症状

主な自覚症状はむくみ

妊娠高血圧症候群は自覚症状がほとんどないため、検査をしないとわからないことが多いですが自覚しやすい初期症状に、むくみがあります。むくみを判断しやすいのは、脂肪が少ないスネの部分です。スネを指で押してみたときに、へこんだまますぐに元に戻らない場合は、むくみがあるということになります。ただし、妊娠中は誰でもむくみやすくなるので、高血圧や尿蛋白がなく、一晩寝て治る程度のむくみであれば心配はありません。

重症化すると現れる危険な症状

妊娠高血圧症候群の症状が進むと、胃痛、吐き気、頭痛やめまい、目がチカチカするなどの症状が現れます。さらに重症化すると、肝臓や腎臓の機能障害、肝機能障害、脳出血、溶血(赤血球が破壊される現象)と血小板減少をともない血が止まりにくくなるヘルプ症候群、全身のけいれん発作を起こす子癇発作(しかんほっさ)などを起こす可能性があります。

妊娠高血圧症候群の胎児への影響

妊娠高血圧症候群は胎児にも悪影響を及ぼします。重症の場合は子宮や胎盤の血流が悪くなることで、胎児が子宮内にいるうちに胎盤がはがれ落ちる常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)や、発育不全(十分な栄養や酸素が届かないため)、早産や出生時の仮死状態などが起こることがあります。

妊娠高血圧症候群の原因

妊娠高血圧症候群の原因については、解明されていないことが多く、現在、さまざまな研究が進められています。現在のところ、お母さんと赤ちゃんをつなぐ胎盤がうまく生成されないことが原因と考えられています。具体的には、胎盤によって作られる物質が全身の血管に作用しているのではないかと言われています。

妊娠高血圧症候群になりやすい人とは?

妊娠高血圧症候群を発症する人の割合

妊娠高血圧症候群は、妊婦の約20人に1人の割合で発症し、妊娠32週以降に多く見られることが特徴です。また、以下の人は妊娠高血圧症候群になりやすいとされています。

・もともと糖尿病や高血圧、腎臓などの持病がある

・肥満

・母体の年齢が40歳以上と高い場合

・家族に高血圧の人がいる

・双子などの多胎妊娠

・初めてのお産

・経産婦で以前に妊娠高血圧症候群になったことがある

妊娠高血圧症候群とされる血圧の値

日本妊娠高血圧学会のガイドラインでは、妊娠時の血圧を元に、以下のように軽症と重症を分けています。

・軽症時

血圧…収縮期血圧が140mmHg以上160mmHg未満。もしくは、拡張期血圧が90mmHg以上110mmHg未満。

蛋白尿…正確に測定するときは、原則として24時間尿を用いた定量法で判定し、300mg/日以上で2g/日未満の場合。

・重症時

血圧…収縮期血圧160mmHg以上もしくは、拡張期血圧110mmHg以上。

蛋白尿…2g/日以上(24時間尿を用いて判定)、もしくは、連続して300mg/dl以上(随時尿を用いた複数回の新鮮尿検体で判定)。

妊娠高血圧症候群の治療法

もし妊娠高血圧症候群にかかってしまったら、安静と入院が治療の中心となります。けいれん予防のため、また重症の高血圧に対して投薬治療をすることがありますが、根本的にこの病気を治す方法は知られていません。実際の治療は以下の方法で行われることが多いです。

食事療法

基本的に食事の回数は減らさず、医師の指導のもとカロリー制限をしながら体重や血圧コントロールをします。

安静にする

妊娠高血圧症候群の改善には疲労やストレスを溜めないことが第一であるため、入院しない場合でも、自宅での安静を求められます。改善されない時は、強制入院の指示が出る場合もあります。

薬物療法

食事療法や安静にしていても改善が見られない場合は、胎児への影響がない降圧薬を処方されることがあります。このような処置がとられるのは、薬の投与よりも、高血圧の状態が続く方が母体と胎児にとって危険であるためです。ただし、急激に血圧を下げると赤ちゃんの状態に悪影響が出ることもあるため、降圧薬はドクターの指示にしたがって服用しましょう。

妊娠の中止

どうしても血圧をコントロールできない場合は、最終的に「妊娠の中止」を行うことがあります。妊娠そのものに原因があり、重症で危険と判断された場合は、胎児の成長とは関係なく緊急帝王切開手術が施されます。

妊娠高血圧症候群の予防法

妊娠高血圧症候群の原因が解明されていない現段階では、いまだ確立された予防法はありません。初期の自覚症状もあまりないため、定期検診をきちんと受診し、適切な周産期管理を受けることがもっとも大切です。また、血圧が高くなってきたからと、自己判断による水分摂取制限や利尿剤の使用は、お母さんの血栓症リスクを高めるため、必ずドクターと相談しましょう。

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