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アトピー性咳嗽(がいそう)の原因と治療薬

更新日:2017.11.15
公開日:2015.12.23
ドクター画像
この記事の監修者
くみこアレルギークリニック 院長 向田公美子

乾いた咳が長期にわたり続いている…。アトピー素因を持つ人にそんな症状が出ていたら、それは「アトピー性咳嗽(がいそう)」かもしれません。ここでは、ドクター監修のもと、アトピー咳嗽の症状、原因、治療法について解説します。

アトピー性咳嗽(がいそう)の症状や原因、治療法について解説します。

アトピー性咳嗽(がいそう)の症状

アトピーの素因があり、ちょっとしたことで咳き込んだり、乾いた咳が長引くようであれば、アトピー性咳嗽(がいそう)かもしれません。

アトピー性咳嗽の特徴

アトピー性咳嗽は中年女性に多いとされる病気です。喘鳴や痰のない咳が長引き、以下のような症状をともないます。

  • 乾いた咳が1か月以上続く
  • 喉(のど)にかゆみやイガイガ感がある
  • 喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイといった呼吸音)や呼吸困難がない
  • 咳は夜から早朝にかけて出ることが多い
  • タバコの煙やエアコンの冷気・暖気、会話、運動、ストレスなどによって誘発される
  • アトピー素因がある(血中好酸球の増加、IgE値が高い、アレルギー疾患があるなど)

咳喘息と間違えやすい

アトピー性咳嗽と症状がよく似ているのが咳喘息です。アトピー性咳嗽が「気管」の病気であるのに対し、咳喘息は「気管支」の病気で、初診時でこのふたつの病気を区別することは非常に難しく、ほぼ不可能です。

何科を受診すべき?

咳が長引いたり、上記のようなアトピー性咳嗽の症状があるときは、市販の咳止めをだらだらと服用するのではなく、内科や呼吸器内科、アレルギー科などを受診しましょう。

アトピー性咳嗽の診断

アトピー性咳嗽かどうかは、初診時に処方される薬の効果を見て診断されます。咳喘息には効果を示す「気管支拡張薬」で効果が出なかった場合かつ、「ヒスタミンH1受容体拮抗薬(咳喘息の時に使用する抗アレルギー薬とは異なる種類のもの)」、「吸入ステロイド薬」に効果があった場合はアトピー性咳嗽となります。具体的には、以下の1~4をすべて満たすことが条件となります。

<アトピー性咳嗽の簡易診断基準>

  1. 喘鳴や呼吸困難のない乾性咳嗽が3週間以上続く
  2. 気管支拡張薬が効かない
  3. アトピー素因を示す所見がある、または痰中の好酸球が増加する
  4. ヒスタミンH1受容体拮抗薬または/および吸入ステロイド薬で咳嗽が消失する

アトピー性咳嗽になる原因

喘息を除くアトピー疾患にかかったことがある、アトピー疾患にかかった血縁者がいる、といった、アトピー素因を持つ人はアトピー性咳嗽になりやすいと言えます。

また、閉経後の女性にも多くみられる他、カビが原因でアトピー性咳嗽になるケースも見受けられます。しかし、その多くははっきりとした原因がわからないままです。

アトピー性咳嗽は人にうつるの?

アトピー性咳嗽の人は咳をする感度が高くなりすぎており、ちょっとした刺激にも咳き込んでしまいます。しかし、感染症ではありませんので人にうつすことはありません。

また、咳喘息は喘息の前段階だと考えられていますが、アトピー性咳嗽は喘息に進行することはありません。

アトピー性咳嗽の治療法

アトピー性咳嗽は気管支拡張薬では治らないことが咳喘息とは大きく異なる点です。そのため、以下のような処方薬を使用します。

  • ヒスタミンH1受容体拮抗薬:塩酸フェノキソデナジン(商品名:アレグラ)
  • ヒスタミンH1受容体拮抗薬:塩酸エピナスチン(商品名:アレジオン)
  • 吸入ステロイド薬
  • 経口ステロイド薬

主にヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)が処方されますが、有効率はおよそ60%ほどです。効果が出てこない場合は、ステロイド薬の吸入を行います。咳嗽が強すぎてステロイド薬の吸入が難しい患者の場合は喘息・咳喘息の治療と同じように、経口ステロイド薬を投与するケースもあります。

アトピー咳嗽の治療終了後およそ4年間で、アトピー咳嗽を再発する人は2人に1人というデータもありますので、治療が終わっても十分な注意が必要です。

まとめ

アトピー性咳嗽は痰や呼吸困難をともなわない、乾いた咳が長引く病気です。原因はまだはっきりとはわかっていませんが、以下のような症状や特徴、治療法があります。

  • アトピー素因を持っている人に多い
  • タバコの煙やエアコンなど、ちょっとしたことで誘発される
  • 感染症ではないので、人にうつすことはない
  • 咳喘息と間違えやすいが喘息に進行することはない
  • 治療には抗ヒスタミン薬や、吸入ステロイド薬を用いる

咳が長引く場合は、アトピー性咳嗽のほか、さまざまな病気の可能性が考えられます。漫然と市販の咳止めを飲み続けるのではなく、内科や呼吸器内科、アレルギー科などで正確な診断を受けることが大切です。

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