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RSウイルスが喘息の発症の引き金になる?

更新日:2016/12/15 公開日:2016/01/23

RSウイルス感染症の基礎知識

海外ではRSウイルスが喘息の引き金を引くという研究結果が出ています。RSウイルスから喘息を引き起こしてしまうと、どのような症状が現れるのか、ドクター監修のもと、RSウイルスと喘息の関係について詳しく解説します。

RSウイルスとは

RSウイルスのRSは、respiratory

syncytial=呼吸器の合胞体という意味を略しており、ウイルスが感染した際、呼吸器の細胞が合わさって1つになるため、そういわれています。感染によって、のどや気管など呼吸器の感染症(RSウイルス感染症)を引き起こします。RSウイルスは、日本だけではなく世界中に存在しています。蔓延する地理や気候に偏りはありませんが、全世界の患者に共通するのは、1歳未満の乳幼児が感染すると重症化する可能性があること、毎年都市部を中心に流行していることなどがあげられます。

しかし、RSウイルスは乳幼児のみが感染するものではありません。2歳以上の子供や大人も感染します。ただし、2歳以上の子供や大人が感染しても、風邪のような症状しか出ないことが多いため、自分がRSウイルスに感染していると気がつかない場合もあります。その場合、乳児にうつしてしまう危険性が出てきます。ですから、2歳児未満の子供だけではなく、それ以上の年齢の子供や大人も感染には気をつけなければいけません。

RSウイルスの症状

RSウイルスが体内に入り込むと、肺や気管に感染するため、潜伏期間中から咳や鼻水、高熱(38〜39℃)が出ます。RSウイルス感染症には特効薬はなく、治療は基本的には対症療法です。たいていの場合は、日数が経過すると次第に熱が下がり、咳や鼻水もおさまってきますが、まれに症状が重くなっていくケースがあります。その場合は、咳がひどくなり、呼吸をすると「ゼイゼイする」「ヒュウヒュウする」といった喘鳴や、呼吸困難、痰がつまる、眠れないなどの症状が現れます。

このRSウイルスは、感染してすぐに症状が現れるわけではなく、感染から発症までに潜伏期間があります。潜伏期間はRSウイルスに感染してから2〜8日間、一般的には4〜6日間が多いようです。

RSウイルスの感染する原因

RSウイルス感染症の具体的な感染の仕方は、風邪とよく似ています。咳やくしゃみによって飛散したウイルスを吸い込んでしまったり、ウイルスが付いたおもちゃなどを赤ちゃんがなめてしまったり、ウイルスが付いた手で赤ちゃんを触ってしまったりすることで感染します。おもちゃを舐めたり、よだれが出てしまう0歳児や1歳児の乳幼児がもっとも感染しやすいのです。RSウイルスは、生後1歳までに約半数、2歳までにはほぼ全員が、少なくとも一度は感染します。何度も感染するうちに免疫力がつき、徐々に軽い症状で治まってくるとはいえ、ときに重症化する危険性もあるので、周囲の大人も注意が必要です。咳などの症状が出ている人は、なるべく乳児に近寄らないようにしましょう。

大人がRSウイルスに感染した場合は、ほとんどが風邪に似た咳、痰、鼻水、熱などの症状のみで、数日経過すると自然に治っていきます。このため、症状がおさまるとただの風邪だったと思い過ごしてしまうことも多いでしょう。しかし、RSウイルスは感染後、体外からウイルスが排泄される期間は7〜21日と、体外に出す時間が長い特徴があるため、周囲にウイルスを撒き散らし、感染が広がる恐れがあります。また、呼吸器などに病気がある人、免疫力が弱い人などは、RSウイルスに感染することで肺炎などを引き起こし、重症化してしまう危険性もあるので軽視しないようにしましょう。

RSウイルス感染症の対策

RSウイルスはインフルエンザなどと異なり、ワクチンなどで予防することができません。さらに、ウイルスを撃退する特別な治療もなく対処療法が一般的となっています。多くの場合はRSウイルスに感染しても風邪に似た症状でおさまりますが、まれにRSウイルスの感染がきっかけになり、もともと持っていた病気が悪化してしまうこともあります。特に、タバコの吸い過ぎなどが原因で肺気腫を患っている人は要注意です。RSウイルスが呼吸器に感染して、肺炎が発症すると、肺気腫を悪化させてしまい、肺炎が治ってももとの状態には戻らないケースもあるのです。症状が悪化した場合は我慢せずすぐにドクターに相談するようにしましょう。

RSウイルスの予防

非常に強力な感染力を持つRSウイルスですが、消毒剤に対する抵抗力が弱いという弱点もあります。そのため、家族が共有するものや赤ちゃんがよく手や口にするものなどをこまめに消毒するのは、RSウイルスを殺菌するのに有効的な手段です。消毒に使用するものには、消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨードなどがおすすめです。

万が一、家族のひとりが感染してしまった場合は、赤ちゃんに極力近づかないようにしましょう。また、外出の後や調理・食事の前には必ずうがいと石けんで手を洗い、RSウイルスが流行する秋から冬にかけては、大人はマスクを着用し、人ごみに赤ちゃんを連れていかないようにしましょう。赤ちゃんに触れるときは、事前にうがいと手洗いをしてから触れるようにすると安心でしょう。

喘息におけるRSウイルスの関与

肺や気管などの呼吸器に感染するRSウイルスが、喘息の引き金をひくというレポートが海外で報告されているそうです。その一例を紹介すると、スウェーデンでは、3歳までにRSウイルスがきっかけによる細気管支炎が発症した場合、7歳半までに喘息になる可能性は、発症しなかった子供の10倍以上になると報告されています。また、遺伝も深く関係があり、3等親以内にアレルギーがあるとその傾向が強くなるようです。子供は喘息に比較的かかりやすい特徴があります。小児喘息の発症は、3歳まで70%、5歳までが90%を占めています。しかし、小児喘息は治癒しやすいという特徴もあり、7歳までは約50%が治るといわれています。年齢を重ねると治癒の可能性は高くなり、成人までには約70%が治る病気なのです。

喘息(ぜんそく)とRSウイルス感染症の見分け方

RSウイルスに感染すると、咳が止まらなくなり、ときには呼吸をする度に「ヒュウヒュウ」、「ゼイゼイ」といった喘鳴が聞こえるなどの症状も現れるため、喘息と間違えやすい傾向にあります。喘息の場合には、朝や夜、また、はしゃいだ時だけに咳きこむなどの症状が出る場合があります。喘息の人の気管は、アレルギー物質の影響で炎症状態にあります。このとき、乾いた空気や冷たい空気、もしくは運動などによって、さらに気管が刺激を受けると、咳きこむなどの症状が出ます。

診断も「喘息性気管支炎」「喘息様気管支炎」といった喘息に近い名前で治療されます。さらに、将来本当に喘息を発症する方もいるため、子供の時点でその区別がつきにくいという点もやっかいです。ただし、将来的に喘息を持つ可能性のある人がRSウイルスに感染すると、ひどい発作が起こるケースが多く見られます。また、RSウイルスに感染している子供は、中耳炎を合併していることが多いので、この症状で喘息との違いを見極められる場合もあります。

しかし、今のところ喘息かそうでないかをはっきり区別する手段はありません。血液検査を行っても2歳までだと反応が出にくいため、3歳以上で陽性と判断されてから喘息とされるケースが多いようです。とはいえ、今の病院では迅速な診断と治療で苦しい思いをさせないようにする、というのがコンセンサスにもなっており、赤ちゃんに咳や喘鳴などの症状が現れたら、すぐにドクターに相談し、適切な処置を施していくことをおすすめします。

RSウイルス感染症のまとめ

RSウイルスの流行している時期や呼吸器に問題がある際は、必ずマスクをして子供に接し、外出から帰宅した際には、手洗いとうがいを必ず行ってください。とくに日常的に赤ちゃんと接する親などは注意しましょう。

また、RSウイルス感染の症状によって、体内が脱水気味になってしまうと、痰が粘性を増し、吐き出すのが難しくなってしまいます。のどや気管の通りをよくするためにも、水分の補給はこまめに行いましょう。

RSウイルス感染症は風邪の症状とよく似ているため、症状が悪化する前にドクターに相談することをおすすめします。

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