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母子感染で起こる「先天性梅毒」とは

更新日:2018/03/06 公開日:2016/02/29

梅毒の基礎知識

梅毒は性行為がもっとも多い感染ルートですが、子供が母親のお腹の中にいるときに母子感染して起こる「先天性梅毒(先天梅毒)」もあります。先天性梅毒の原因や症状、予防方法などをドクター監修の記事で紹介します。

母子感染で起こる梅毒

「梅毒」は、主に性行為によって、感染部位と粘膜や皮膚が直接触れることでうつります。しかし、感染している女性が妊娠すると、胎盤を通して母子感染し、生まれてくる子が「先天性梅毒」になることがあります。

梅毒は、第1期〜第4期と病気のステージが進んでいきますが、胎児に感染するのは、妊婦が第1期〜第2期という早い段階の梅毒にかかっているときです。治療を受けていなければ、胎児に胎盤を通して感染する可能性は100%近く、40%は死亡に至ります[1][2][3][4]。

ただし、現在では、妊娠初期の妊婦健診に、梅毒の検査(梅毒血清反応)が含まれており、必要に応じて治療が行われるので、胎児に感染する例はほとんどありません。

症状の出方で早発型と遅発型に分けられる

先天性梅毒は、症状の内容や症状が現れる時期がさまざまですが、大きく分けると「早発型」と「遅発型」に分類できます。

早期先天梅毒

生後3か月以内に発症し、水疱性発疹や斑状発疹、発育不全、口周囲の割れ目、鼻づまりなどの症状が現れます[1]。

晩期先天梅毒

乳幼児のうちは症状が出ず、学童期以降に発症します。「ハッチンソン3徴候」と呼ばれる実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯(上前歯の変形)などの症状が現れます。手足の骨の炎症、肝臓や膵臓の腫れ、口の周りにかさぶた(瘡蓋)も見られます[1]。

先天性梅毒の治療には、梅毒の病原体を死滅させる効果がある抗生物質の「ペニシリン」が用いられます。

先天性梅毒を予防するために

妊娠中には、定期的な妊婦健診があり、妊娠初期の妊婦健診では、梅毒検査も行います。母子感染を防ぐために、母子保健法で義務付けられた検査ですから、必ず受けるようにしましょう。

梅毒の検査法には大きく、STS法とTP法があり、それぞれ血液中の抗体と呼ばれるたんぱく質を検出するのですが、タイプが異なります。いずれの方法も感染から日が浅いと陽性反応は出ません。感染直後は、検査で陰性でも梅毒に感染していることもあります[5]。

検査の結果、梅毒と診断された場合もペニシリンを投与して治療を行います。妊娠中に適切な治療を受ければ、98%の割合で、先天性梅毒を予防することができます[6]。

参考文献

  1. [1]池ノ上克ほか編, NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 第3版. 医歯薬出版, 2015; 434
  2. [2]MedlinePlus. "Congenital syphilis" NIH. https://medlineplus.gov/ency/article/001344.htm (参照2017-10-25)
  3. [3]Pregnancy Wellness. "Syphilis During Pregnancy" American Pregnancy Association. http://americanpregnancy.org/pregnancy-complications/syphilis-during-pregnancy/ (参照2017-10-25)
  4. [4]Woods CR et al, "Congenital Syphilis" American Journal of orthpedics. http://www.mdedge.com/amjorthopedics/dsm/9342/neonatal-medicine/congenital-syphilis (参照2017-10-25)
  5. [5]山根誠久. ONE POINT MEMO. モダンメディア 2010; 56(2): 32-35
  6. [6]産婦人科診療ガイドライン─産科編2014. 日本産科婦人科学会. 日本産婦人科医会. 2014

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