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酢酸サプリメントが貧血の新たな治療法になる?

更新日:2016/12/09 公開日:2016/03/28

貧血の改善方法

貧血には、原因に応じたさまざまな治療法があります。そこに、酢酸のサプリメントが新たな治療法に加わるかもしれません。ここでは、そんな可能性を示唆したアメリカの研究について、ドクター監修の記事で解説します。

だるさや息切れ、めまいなど、さまざまな症状があらわれる貧血。治療には、不足している栄養素の補給など、貧血の原因に応じた方法がとられます。ここでは、体内で赤血球の産生が誘導されるしくみの解明にせまり、貧血の新たな治療法の可能性を示した、アメリカの研究を紹介します。

鉄分では改善しない貧血に新しい治療の可能性

貧血とは、全身に酸素を運ぶはたらきをする赤血球や、赤血球の構成要素の一つであるヘモグロビンが体内で十分に作られず、体が酸素不足の状態になってしまうことです。貧血には鉄分を補給すればよいといわれますが、赤血球の産生を促進する「エリスロポエチン」というホルモンの減少が原因で起こる貧血の場合、鉄剤だけでは症状は改善しません。エリスロポエチンが減少して起こる貧血については『腎性貧血とは』で詳しく解説していますので、ご覧ください。

このような貧血では、不足しているエリスロポエチンを注射によって補う治療が行われます。しかし、この治療法には、高血圧や心筋梗塞などの血栓症のリスクがともなうことが知られています。

アメリカ・テキサス大学サウスウエスタン医療センターの研究チームは、体内でエリスロポエチンが作り出されるカギが「酢酸(さくさん)」にあることを突き止めました。そして、エリスロポエチンそのものを投与する治療法とは異なる、新たな治療法の可能性を示しました。

酢酸は赤血球を増やす“発火剤”

貧血によって体が慢性的な低酸素状態に陥ると、体内でエリスロポエチンの産生が促進されます。研究チームは、このエリスロポエチン産生の過程にAcss2(acetate-dependentacetyl CoA synthetase2;酢酸依存性アセチルCoA合成酵素2)という酵素が必要であることをマウス実験によって明らかにしました。

低酸素状態や急性貧血の状態のマウスでは、エリスロポエチンが作られる腎臓や肝臓における酢酸濃度が上昇していることがわかり、この酢酸がAcss2を活性化することでエリスロポエチンの産生が促され、最終的に赤血球が増加するのではないかと考えられます。実際に、慢性的な貧血状態のマウスに酢酸を投与したところ、エリスロポエチンが増加し、血液中に占める赤血球の割合を示すヘマトクリット値が改善するという結果が得られました。

酢酸が貧血治療の新たな一手になるかも?

今回の研究結果はマウス実験によるものですが、低酸素状態を体が感知してエリスロポエチンの産生が促されるというメカニズムは哺乳類で共通しており、貧血の新たな治療法開発の手がかりになる可能性があります。

研究を行ったジョセフ・ガルシア准教授は、「酢酸のサプリメントによって貧血患者を治療できるようになり、輸血やエリスロポエチン投与の必要性を減らせるかもしれない」と将来の展望を語っています。