生理痛のときこそお風呂に入ろう
生理のときは、お風呂に入ることに抵抗を感じる人がいるかもしれませんが、生理痛でつらいときこそ、シャワーだけで済ませたりせず、しっかり湯船に浸かることをおすすめします。
生理痛の原因として、冷えやストレスなどによる血行不良で、骨盤内がうっ血していることがあげられます。湯船にゆっくり浸かることで、体が芯から温まり心身の緊張がほぐれるため、骨盤内の血流がよくなり生理痛がやわらいでいく場合があります[1]。
また、生理中は清潔にしておくことが大切なので、お風呂は一番風呂をおすすめします。というのも、生理中のデリケートゾーンは、ナプキンによる擦れやかぶれなど、ストレスを受けやすい状態が続くうえに、この時期は体の免疫力が低下しているため、清潔にしておかなければ細菌が繁殖しやすいのです。
しかし、きれいに洗おうと考え、お風呂でゴシゴシ洗いすぎるのもNGです。洗いすぎると膣の浄化作用が低下し、「細菌性膣炎」や「膣カンジダ症」などの原因になってしまいます。
38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かる
生理痛があるときにお風呂に入る場合は、お湯の温度を38~40℃くらいの少しぬるめにするのがポイントです。それは、ぬるめのお湯にゆっくりつかることで、「自律神経」の副交感神経が優位になるからです[2]。
自律神経とは、刺激や情報に応じて体の機能を自動的にコントロールしている神経で、「交感神経」と「副交感神経」があります。
・交感神経…活動しているとき、興奮・ストレスを感じているときに優位に作用し、体をアクティブな状態にする神経です。
・副交感神経…リラックスしているとき、睡眠時に優位に作用し、緊張をほぐし体を休ませる神経です。
熱いお風呂に入ると、交感神経が優位に働いてしまうため、リラックス効果が得られなくなります。
出血量が多い・頭痛のときはシャワーや足湯を
「生理のときは、お風呂に入ったほうがよい」とお話してきましたが、生理周期にともない排卵や生理が始まる頃に、ズキズキ脈打つような頭痛がする場合は少し異なります。この頭痛の原因には、女性ホルモンの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」の急激な減少による血管の拡張が関係しています。お風呂で体を温めると、血管がさらに拡張し、頭痛が悪化してしまう可能性があるため、このような頭痛がするときはシャワーだけで済ませましょう。
また、経血の量が多くて、湯船に浸かりづらい日もシャワーだけで構いません。しかし、体を冷やさないために熱めのシャワーを腰回りにかけることや、足湯をするなどの工夫をしましょう。
大浴場や温泉は避ける
生理中に入浴をすると、お風呂から上がるときに、経血が流れ出てしまうことがあるため、大浴場や温泉など外出先での入浴は避けたほうが無難です。自宅のお風呂でゆっくりくつろぎ、つらい生理痛を乗り切りましょう。
参考文献
- [1]池ノ上克ほか編. NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 第3版. 医歯薬出版 2015
- [2]デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学 第5版. 福井次矢ほか監修 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2016
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