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歯周病が心筋梗塞を引き起こすって本当?

更新日:2017/08/28 公開日:2016/04/20

口腔ケアのよくある疑問

歯周病は、歯茎の炎症だけでなく全身の健康にも害を与え、命にかかわる心筋梗塞などの原因になることもあります。歯周病菌が心筋梗塞を引き起こす理由や、その他の歯周病が招く病気について、ドクター監修の記事で解説します。

歯周病(ししゅうびょう)と心筋梗塞(しんきんこうそく)は一見、まったく関係がないように見えますが、意外な関係性がある可能性が指摘されています。

歯周病と心筋梗塞の関係

心筋梗塞とは

心筋梗塞とは、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈という血管が詰まり、心臓が壊死してしまう病気です。血管が詰まる原因は、時間をかけて進行する動脈硬化によって血管が狭くなること、そして、血栓と呼ばれる血の塊が作られ血流に乗って冠動脈に送られることであると考えられます。なぜ、歯周病が心筋梗塞の発症に影響を与えるのかというと、歯周病によって血栓が作られやすくなる可能性があるためです。

歯周病(ししゅうびょう)とは

歯の周囲にある歯肉(歯ぐき)や骨などの組織が壊されていく病気を歯周病と呼びます。原因は、歯の周囲の「プラーク(歯垢)」というネバネバした物質です。歯周病は、進行の度合いにより、歯肉炎(しにくえん)と歯周炎(ししゅうえん)に分けられます。

プラーク内の細菌が出す毒素によって歯肉が炎症を起こすと歯肉炎に、さらに、歯と歯茎の間に歯周ポケットという溝ができて細菌が繁殖し、歯ぐきの下の骨が溶け始めると「歯周炎」へと進行します。やがて、歯周ポケットから膿が出たり口臭がひどくなったり、歯を支えている骨(歯槽骨)がすべて溶けて歯を失ってしまう可能性もあります。

歯周病菌は血液中へ入り込む

歯周病が進行して悪化すると、一部の歯周病菌が血管内に侵入して血液と混ざることがあります。通常、歯周病菌が血管に入ると、白血球によってその大部分は退治されますが、一部の歯周病菌は血液中の血小板に入り込むことで白血球から逃れることができます。これらの歯周病菌の周りには血小板が集まり、容易に血栓が作られます。

このようにして作られた血栓が体内で増加し、動脈硬化で狭くなった血管に付着すると血管が詰まる原因になります。血栓が心臓に送られて冠動脈が詰まってしまうと心筋梗塞を引き起こしてしまいます。

あくまで可能性であり、歯周病が直接、心筋梗塞のリスクとなる決定的な証拠はありません。しかし、歯周病の人は、生活習慣があまりよくない方の方が多いため、結果的に心筋梗塞の患者となる可能性が高くなります。

心筋梗塞だけじゃない!歯周病が及ぼす全身への影響

歯周病が原因となって発病するのは、心筋梗塞だけではありません。糖尿病、誤嚥性肺炎、低体重児出産への影響も指摘されています。

糖尿病への影響

歯周病と糖尿病は相互に影響しあうことが分かってきました。以前から、糖尿病患者は歯周病に罹りやすい傾向があることが知られていました。反対に、歯周病の人は糖尿病の症状が悪化しやすいことも指摘されています。歯周病の適切な治療は糖尿病の改善にも役立ちます。また、糖尿病は動脈硬化を引き起こすため、心筋梗塞のリスクにもなります。

誤嚥性肺炎への影響

誤嚥性肺炎は高齢者の死因になり得るもので、細菌を含んだ食べ物や唾液が誤って肺に入ってしまうことで発症します。歯周病菌は、他の口腔内細菌と同じく誤嚥性肺炎を引き起こす細菌です。高齢者の口腔ケアが重視されるのも、口の中を清潔に保つことで歯周病菌などの細菌の増殖を防ぎ、誤嚥性肺炎を防ぐ狙いがあるからです。

低体重児出産への影響

妊娠中の女性の歯周病が原因で生まれてくる赤ちゃんが低体重児になる可能性が指摘されています。歯周病菌が血液中に入り、胎盤を通じて胎児に感染するためではないかと考えられています。歯周病の影響はタバコやアルコールよりも大きいそうです。

このような疾患リスクを避けるには、歯周病の予防と治療が大切です。歯周ポケットが3mm程度になると炎症が起きて初期の歯周病になります。そして、5mmを超える中程度の歯周病に進行すると、歯を支えている骨が溶け始め、歯周病菌が血液中に入る危険性があると考えられています。毎日の正しいブラッシングは歯周病予防に役立ちます。ある程度、進行してしまった歯周病に対しては歯科衛生士による専門的なクリーニングや、歯科医師による痛んだ歯肉や骨の治療が必要です。歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった、ブラッシングで出血するといった気になる症状が現れたら、歯科医院を受診することをおすすめします。

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