美肌に必要なのは、必要な成分を肌に高浸透させることだといわれています。「高浸透」とはいったいどのような状態なのでしょうか。「高浸透」の意味を解説した後、肌に浸透しやすい成分のタイプや、成分を浸透させやすい肌質について説明します。
化粧品が肌に「浸透する」とは
化粧水や乳液、美容液などスキンケア製品を選ぶとき、製品の紹介文に「肌に吸収されやすい」「成分が肌に浸透しやすい」「なじみがよい」などといった表現がよく使われますが、「吸収」「浸透」「なじむ」には、どのような違いがあるのでしょうか。
「吸収」は、化粧品の成分が血管に入って、全身を巡る状態のことを指します。「浸透」は「吸収」までいかず、成分が角質層を通って表皮や真皮まで届いた状態です。「なじむ」は「浸透」よりも浅く、成分が肌の一番外側にある角質層に届いて効果を発揮する状態です。
美肌を作るには、有効成分が皮膚の組織に留まっていることが大切です。そのため、成分が表皮や真皮に届いて効果を発揮する「浸透」レベルが適切だと言えます。
分子量が小さく脂溶性のものが高浸透しやすい
化粧品の有効成分が、皮膚の表皮や真皮までよく浸透することを「高浸透」と呼びますが、高浸透する成分には、2つの特徴があげられます。まず1つは、分子量が小さいこと。もう1つは、脂溶性であることです。
成分の分子量が小さいほど、皮膚に浸透しやすくなります。分子量は、ダルトンと呼ばれる単位で表し具体的には500ダルトン以下であると浸透しやすいと言われます。超低分子コラーゲンは、最近の開発で500~1000ダルトンまで、ヒアルロン酸は100~200万ダルトンまで小さくなりました。分子量が大きなコラーゲンやヒアルロンは、肌になじみ、皮膚の表面を保湿すると考えましょう。
また、有効成分を高浸透させるためには、成分が脂溶性の物質かどうかというところもポイントになります。皮膚の表面は皮脂に覆われていますが、油に溶ける脂溶性の物質は皮脂になじみやすいため、皮膚の内側まで浸透しやすくなるのです。
化粧品に含まれる化学物質には、脂溶性で分子量が小さいものが多く存在します。そのため、皮膚に浸透しやすい分、逆にアレルギーなどの皮膚トラブルが発生することもあります。化粧品を使って湿疹が出るなどの症状が現れたら、皮膚科を受診しましょう。
肌に高浸透させるためのセルフケア
肌を温めて保湿すると、血行がよくなって化粧品の有効成分を肌に高浸透させることができます。自宅で簡単に行える保湿ケアとして、蒸しタオルを使った方法を紹介します。
蒸しタオルの作り方
- ハンドタオルを水に濡らして、軽く絞る
- タオルを半分に折って、おしぼり状にくるりと巻く
- タオルをラップで包むか、レンジでも使える袋などに入れて、電子レンジで30秒~1分ほど温める。
腕の内側にあてて「熱いが気持ちいい」と感じるぐらいがちょうどよい温度です。タオルが熱かった場合は、ちょうどよい温度まで冷ましてください。
蒸しタオルの使い方
- タオルで顔全体を覆い、3分ほどおく
- タオルをはずし、化粧水や美容液をたっぷりつかって保湿する。シートマスクなどでパックをした上にタオルをのせてもよい。
肌に高浸透させるための美容皮膚科の治療
皮膚科では、皮膚への浸透力を高めるために、光や電気や音波、微小注射針、ケミカルピーリングなど、さまざまな方法で治療を行っています。施術後の肌は、水分をキープする力がアップしているため、化粧品の有効成分が肌に高浸透しやすい状態になります。
化粧品に含まれる有効成分の浸透力は、肌の状態によってずいぶん異なります。保湿ケアを行ってから化粧品を使い、美容成分を肌に高浸透させましょう。
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