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耳管のしくみと耳管機能不全

更新日:2018/06/07 公開日:2016/06/25

耳管機能不全の基礎知識

耳管(じかん)は中耳と上咽頭をつなぐ管で、耳の中と外の気圧の調整を行います。飛行機に乗ったり、スキューバダイビングなどで「耳抜き」をしたりするときに働く器官です。ここでは、耳管のしくみと主な役割、耳管機能不全(耳管開放症・耳管狭窄症)について解説します。

中耳とのどの上部をつなぐ管である「耳管(じかん)」には、どのような役割があるのでしょうか。また、耳管がうまく機能しなくなると、どんな症状が出るのでしょうか。

耳管とは?

耳管とは、あまり聞き慣れないかもしれませんが、耳の中耳と鼻の奥でのどの上のほうにある「上咽頭」をつなぐ管のことです。成人ですと3.5cmほどの長さがあります。耳管の役割としては主に「換気」「排泄」「防御」の3つがあります。

換気
鼻から中耳に空気を送り込むことで、中耳腔と外気との圧力差をなくし、バランスをとる
排泄
浸出液など、液体を中耳から鼻へと出す
防御
鼻から中耳へと侵入するウイルスや細菌などから防御する。また、中耳に自分の声や呼吸する音が入らないようにするという音からの防御がある。

耳管は中耳を外気とつなぎ、中耳機能を左右する重要な役割を担った気管であると言えるでしょう。

耳管機能不全とは?

耳が詰まったように感じると、私たちは唾を飲み込んだりあくびをしたりして、耳管を介して中耳と外気の圧力を調整しています。しかし、時としてそれがうまくいかなくなる場合があり、これを「耳管機能不全」または「耳管機能異常症」と言います。風邪を引いたときに鼻水がたくさん出ると耳も詰まったように感じるケースや、飛行機に乗ったりスキューバダイビングで海に潜ったりするときに耳抜きがうまくできないと感じるケースなどは耳管機能不全の身近な例です。

耳管機能不全は2タイプ

耳管機能不全には「耳管開放症(じかんかいほうしょう)」と「耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)」の2つのタイプがあります。

耳抜きがうまくできない状態が続いたり、自分の声が耳の中で響いていたりする場合には、耳管機能不全の可能性があります。

以下で、耳管開放症と耳管狭窄症について詳しく説明します。

耳管開放症は、耳管が開いたままの状態になること

耳管開放症は、耳管が開いたままの状態になり、耳が詰まった感じのする「耳閉感(じへいかん)」や、自分の声が耳にこもって響く「自声強聴(じせいきょうちょう)」などの症状が現れる病気です。以前は発症率が低く、まれな病気であると考えられていましたが、実際は耳管開放症の発生頻度はかなり高く、近年、注視されるようになってきました。発症の特徴としては男女差があり、女性の発症がやや多い傾向にあります。

症状

耳管開放症の主な症状には、以下のものがあります。

  • 耳閉感(じへいかん)
  • 自声強聴(じせいきょうちょう)で会話が辛くなる

自声強聴は自分の声だけでなく、呼吸音がゴーゴーと耳の中で鳴り響くことに悩まされるケースもみられます。また、これ以外にもフワフワとした目まいを感じたり、低い音が聞き取りにくかったりすることもあります。

症状についての詳細は、『耳管開放症の症状とは』をご覧ください。

原因

耳管開放症の主要な原因の一つとして、急激な体重減少があります。無理なダイエットなどで体重を減らした場合や、高齢者であれば心臓の病気や癌治療にともなう場合などがあります。というのも、耳管には周りを取り囲み、管の中を適度に締める働きをもつ小さな脂肪組織が存在します。急激に体重が減少すると、これらの脂肪細胞が痩せてしまい、耳管が開いた状態となります。

その他にも耳管開放症を引き起こす原因には、疲労、睡眠不足、妊娠、ストレスなど、さまざまなものが考えられます。妊婦さんの発症もみられます。

原因についての詳細は、『耳管開放症の原因とは?』をご覧ください。

治療法

耳管開放症は、初期段階や軽度な症状であれば、自然治癒を促される場合が多いです。一方で、重症の場合は手術が必要になるケースが考えられます。

軽症の場合
急激な体重減少が原因であれば、適正な数値へ戻すための体重コントロールを行い、やせたことによって広がった耳管を狭めるようにします。
また、セルフケアの一つとして鼻から耳管の入り口に生理食塩水をたらし、一時的な症状改善を期待する方法もあります。
加味帰脾湯(カミキヒトウ)や補中益気湯(ホチュウエッキトウ)という漢方薬を服用して治療する場合もあるようです。
中等度以上の場合
耳管にルゴール液を注入または噴霧したり、鼓膜チューブを入れたりすることで耳管開放症の症状緩和を図ります。
重症、難治性の場合
重症の場合や難治性の耳管開放症を治療するには、経鼓膜的にシリコンを挿入する方法や耳管周辺へ脂肪注入などの手術が行われます。

治療法についての詳細は、『耳管開放症の治療法』をご覧ください。

耳管の換気機能が低下する耳管狭窄症

耳管狭窄症は、耳の詰まった感じが唾を飲み込んだりあくびをしたりしても元に戻らないまま続いている状態です。耳管には「換気」、「排泄」、「防御」といった主な役割がありますが、耳管狭窄症はそのうちの換気機能が低下する病気です。

症状

耳管狭窄症の主な自覚症状は、以下のものがあげられます。

  • 耳閉感(じへいかん)
  • 自声強聴(じせいきょうちょう)
  • 難聴

耳閉感とは、よく耳がボワッとする、または耳が詰まっているように感じるなどの表現をされることがあります。登山中や、飛行機またはエレベーターに乗っているときなど、耳に違和感が生じてなかなか消えないという経験をした人は耳管狭窄症を疑う必要があります。

また、自分の声が耳の中で響いて聞こえる症状を自声強聴といい、自分自身の呼吸の音がゴーゴーと絶えず聞こえるという症状もよく知られています。この自声強聴や耳鳴り、さらには耳管のつまりによって鼓膜の動きが制限されて起こる軽度の難聴も耳管狭窄症の症状としてあげられます。

症状についての詳細は、『耳管狭窄症の症状』をご覧ください。

原因

耳管狭窄症を起こすきっかけは、鼻炎や副鼻腔炎、上咽頭炎、扁桃炎です。これらが耳管の入り口付近の粘膜に炎症を起こし、耳管狭窄症の発症につながるといわれています。また、上咽頭に腫瘍ができているような場合も症状が出ることがあります。

原因についての詳細は、『耳管狭窄症の原因って?』をご覧ください。

治療法

耳管狭窄症の治療は、基本的に耳管開口部に起こっている炎症を取り除くために行います。

耳管の中を通して内耳に空気を入れる「耳管通気法」が有効だといわれています。乳幼児における耳管狭窄症でアデノイド肥大が原因の場合には、アデノイドを切除することもあります。

原因についての詳細は、『耳管狭窄症の治療法とは?』をご覧ください。