爪のささくれなど、すぐに治るだろうと思っていたら思いの外腫れてしまった…ということはありませんか。爪周りの小さな傷から菌などが侵入し、腫れ上がってしまうのが「ひょうそ」です。ひょうそにかかるとどんな症状が現れ、どのように進行していくのでしょうか。
ひょうその症状の現れ方
ひょうそは、まず手先、あるいは足先の爪まわりから末節部が赤く腫れ、ズキズキと痛むことから始まります。そして、腫れにともない熱を持ち、激しい痛みを感じます。
ここで、たいしたことはないと判断して放置すると、のちのち大変な症状に移行することがあります。たとえば炎症の場所によっては爪が取れてしまうこともあるのです。また、ひどくなると関節に炎症が広がり、関節痛を起こすこともあるので注意が必要です。
爪の周囲から膿がでる場合も
ひょうその正式名称は「化膿性爪囲炎(そういえん)」と言います。ささくれなど爪の周囲のわずかな傷から細菌やカビが侵入することが原因です。
腫れや痛みの他に、爪の周囲が白色になることがあります。これは皮膚や爪の下に膿がたまる膿疱(のうほう)という症状です。炎症が深い場合には関節や骨が侵され、指を曲げることもできなくなります。さらにひどくなると皮膚組織が欠損し潰瘍(かいよう)になることもあります。
医療機関では皮膚に針で穴を開けたり切開し、膿を除去する処置が行われます。決して自分で穴を開けて膿を出そうとせず、医療機関に任せましょう。
悪化するとリンパ管炎に発展するケースも
ひょうそは悪化すると、腕や下腿のリンパ管に沿って炎症が広がり、リンパ管炎に発展することがあります。
リンパ管炎とはリンパ管に細菌が侵入して炎症を起こす病気です。この炎症がリンパ管とリンパ管のつなぎ目である「リンパ節」まで至ると、リンパ節炎になります。リンパ節は首やわきの下、足のつけ根に多く存在するので、このあたりが腫れて痛むことが多いです。ひどくなると寒気や、高熱が出ることもあります。こうなると安静と抗生剤の投与が必要になります。
敗血症の原因となることも
さらに重症化すると、敗血症を併発する可能性もあります。
敗血症とは、血液中に病原菌が入り込むことにより、発熱や意識障害などの全身症状を起こす重篤な病気です。敗血症を起こすと治療が非常に難しくなります。
子供や高齢者など身体の抵抗力が弱い人、またはガン治療で抗がん剤を投与中、手術後など、感染を防御する力が低下している人は注意が必要です。
ひょうそは軽いうちであれば簡単な治療で済みますが、慢性化すると治りにくく、完治するまでに時間がかかります。手先のささくれがある周辺の皮膚が赤く腫れることはよくあることですが、なかなか治らずひどくなりそうであれば、できるだけ早く皮膚科を受診するとよいでしょう。
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