美肌に欠かせない成分として、「コラーゲン」に注目している女性も多いのではないでしょうか。コラーゲンは肌だけでなく身体のさまざまな部位に存在しており、加齢によって減少してしまうこともあります。ここでは、
- コラーゲンの構造
- アミノ酸やゼラチンなどとの違い
- コラーゲンを効率よく吸収するための方法
などについて詳しく解説します。
肌に必要なコラーゲンとは
コラーゲンは、身体の弾力やしなやかさを生み出すタンパク質のひとつ。細胞と細胞を結ぶ役割があり、また、肌だけでなく骨や血管、関節などにも含まれています。
体内にあるコラーゲンのうち、その多くは皮膚に存在し、約40%を占めています。そして、約20%は骨や軟骨に、残りは内臓や血管など全身に渡って広く存在しています。ちなみに肌でいうと、コラーゲンは真皮層の約70%を占めています。
また、コラーゲンの構造は、アミノ酸がいくつか結合してできた「ポリペプチド鎖」が3本集まり、らせんを作ることによって構成されています。アミノ酸やポリペプチド鎖の組み合わせによって異なる型が複数存在し、I型、 II型、III型などと名前が付けられています。
コラーゲンの種類と代表例
私たちの体内で確認されているコラーゲンは、なんと29種類にものぼります。そのなかでも代表的なのが、I型コラーゲンとII型コラーゲンです。
I型コラーゲンは皮膚や骨、腱などにもっとも多く含まれており、内側から支える柱のような働きをしています。また、II型コラーゲンは、関節の軟骨などに多く含まれ、水分を溜め込む作用があることからクッションのような役割をもっています。
このほかにも臓器や皮膚、血管壁の柔軟性を支えるIII型や、皮膚の真皮と表皮をつなぐ働きを持つIV型、血管や平滑筋、胎盤などに存在するV型などがあります。珍しいところでは、不足することで毛包幹細胞や色素幹細胞が維持できなくなり、白髪や薄毛を悪化させる17型というコラーゲンも注目されています。
肌に必要なコラーゲンの役割
コラーゲンの役割は幅広く、肌のハリや弾力をつくる、関節をスムーズに動かす、骨を丈夫にする、そして、血管のしなやかさを保つなど、さまざまな働きがあります。肌とそれ以外に分けて見ていきましょう。
美肌におけるコラーゲンの役割
まず、肌では真皮層に網目のようにコラーゲンが張り巡らされ、バネやベッドのスプリングのような役割をもち、肌のハリと弾力をキープしています。コラーゲンは引っ張られる力にも強く、肌をきゅっと引き締める働きをしています。
美肌に関連する他の成分として、真皮層でたっぷりと水を抱えこむ役割を担う「ヒアルロン酸」がありますが、コラーゲンは自らの隙間にヒアルロン酸を集めることにより、肌の乾燥を防ぎ、うるおいをキープするのを助けています。
このように真皮に必要不可欠なコラーゲンは、常に古いものを分解しては新しいものに作り替えることで、肌の健康を保っています。このコラーゲン合成によって表皮の新陳代謝もスムーズに行われ、すこやかで美しい肌が維持されるのです。
また、コラーゲンはエラスチンやヒアルロン酸と同じように線維芽細胞でつくられていますが、年齢とともにその機能が弱まってしまうと、シワやたるみなどの症状が現れます。真皮においては特にⅠ型とIII型コラーゲンが加齢によって減少することが知られています。
コラーゲンの肌以外での役割
年齢とともに関節の痛みを訴える方が増える傾向にありますが、これはコラーゲンの生成が少なくなることで関節の軟骨がすり減ってしまうことが原因です。コラーゲンがあることで、関節の軟骨が弾力性を保つことができ、スムーズに動かすことができるのです。
さらに、骨においては、コラーゲンが支えとなってその周囲にカルシウムなどのミネラルが付着することで丈夫な骨がつくられます。血管をつくっているのもコラーゲン線維。血管の強さや弾性を保って、血管が傷ついた時には修復をサポートしています。
その他にも、コラーゲンは丈夫な爪や髪、筋肉、傷に対する治癒力、血圧や血糖値を調整するなど重要な役割を担っており、身体のすみずみにおいて必要性の高い物質であるといえるでしょう。
コラーゲンはどう摂取すべき?化粧品や食べ物、・飲み物は?
以上で見てきたとおり、肌や身体でさまざまな働きを担っているコラーゲン。年齢とともに減少してしまう成分だけに、効率よく補いたいものです。美肌に役立つコラーゲンは、どのように摂取するのがよいのか見てみましょう。
化粧品でコラーゲンは補えるの?
角質層に浸透しやすい成分は、一般的に分子量500ダルトン(分子の質量を表す単位)以下といわれています。コラーゲンには「動物性」や「海洋性」などの種類があり、動物性コラーゲンで約30~40万ダルトン、海洋性コラーゲンで約10万ダルトンと分子がケタ違いに大きいため、残念ながら一般的な化粧品のコラーゲン成分が肌の角質層や真皮層に浸透することはありません。
しかし、コラーゲンには肌に高分子の膜を張って水分を保つ働きがあるため、肌表面のうるおいをキープする効果はあります。また、近年は角質層まで浸透する低分子コラーゲンを配合した化粧品や、コラーゲン補給ではなく、真皮幹細胞にアプローチすることでコラーゲンの生成を助ける化粧品の研究なども行われています。
ちなみに最近は「植物性コラーゲン配合」とうたう化粧品も登場しています。これらは大豆由来の発酵エキスなどを使用しており、保湿力の高さが特徴ですが、コラーゲンは本来、動物の皮やうろこ、肉や骨にしか存在していません。植物成分のなかで「コラーゲンに似た働きをするもの」を便宜上そう呼んでいるだけですので気をつけましょう。
食べ物から効果的にコラーゲンを摂取するには
コラーゲンといえば、フカヒレや煮こごりなどのプルプルとした食べ物を思い浮かべる人も多いと思います。コラーゲンは肉や内臓などの動物性タンパク質に多く、
- 鶏の皮
- 軟骨
- 牛すじ
- モツやレバー
- サケ
- うなぎ
などにも含まれています。
ただし、こうした食材ばかりを食べていればいいということではないので注意が必要です。コラーゲンはタンパク質の一種なので、食べた後は体内で消化酵素によってアミノ酸やペプチドに分解されてから吸収されます。吸収されたアミノ酸やペプチドが、コラーゲンに再合成されるとは限りません。
より高い効果を得るためには、コラーゲンの合成をサポートする「ビタミンC」を一緒に摂るのがおすすめです。また、必須アミノ酸でありつつも体内では合成されない「トリプトファン」を含んでいる魚や卵、真皮層でコラーゲンを繋ぐ役割を担う「エラスチン」を含む食べ物やサプリメントを一緒に摂るのもよいでしょう。
一方で、高脂肪食のとり過ぎはコラーゲンの合成を妨げます。糖分のとり過ぎも「糖化」といってコラーゲンを変性させてしまうので注意しましょう。
コラーゲンとゼラチンの違いは?
プルプルとした触感の食べ物といえば、ゼリーやマシュマロ、グミなどに含まれるゼラチンも有名です。これらはコラーゲンと違いがあるのでしょうか。
実はゼラチンは、牛骨や牛皮、豚皮などの動物性コラーゲンを加熱抽出して作られたものです。コラーゲンの状態では水に溶けませんが、加熱によって「ポリペプチド鎖」のらせん構造が壊れると、水に溶けやすくなります。
コラーゲンそのものよりも構造や分子として吸収されやすい状態になっているゼラチンですが、人によってはアレルギー症状を起こすこともありますので注意が必要です。また、コラーゲン同様に偏食を避け、ビタミンや必須アミノ酸を一緒に摂るなどしてバランスのよい栄養摂取を心がけましょう。
コラーゲンドリンクを活用する方法も
現在、多くのメーカーからさまざまなコラーゲンドリンクが発売されています。これらドリンクの多くにはコラーゲンそのものではなく「コラーゲンペプチド」が配合されているのが特徴です。
コラーゲン分子の大きさや吸収の過程については先にご紹介しましたが、コラーゲンペプチドとは肉や魚の骨や皮に含まれているコラーゲンに熱を加えてゼラチン状に変化させたのち、酵素分解によって分子をさらに小さくしたものです。水に溶けやすく、身体への吸収性が高いという性質を持つコラーゲンペプチドは、1日5gを30歳以上の人に4週間に渡って摂取させる研究において、肌の角質の水分量上昇が見られたとの報告があります。
また、最近の研究では、コラーゲンペプチドの一部はペプチドのまま血液中に吸収されて体内をめぐり、組織の弾力を保つ命令を出しているらしい、ということもわかってきています。とり入れた分がすべて体内のコラーゲンになるわけではありませんが、細胞の活動を高めることで、肌や身体にさまざまな働きが期待できそうです。
まとめ
肌に必要なコラーゲンの構造や種類、肌や身体への役割、効果的な摂取法などを見てきました。コラーゲンの多くは皮膚に存在し、
- 真皮層で肌のハリや弾力を生み出す
- ヒアルロン酸を抱えて肌のうるおいをキープする
- 関節や骨の生成
- 傷の治癒
- 血圧や血糖値のコントロール
など、多くの働きを担っています。
加齢によって減少してしまうコラーゲンを効率よく摂取するためには、コラーゲンペプチドなどできるだけ低分子のものを選ぶこと、コラーゲン生成に必要なビタミンCなどの成分と一緒に摂ることなどが大切です。毎日の生活に上手に取り入れて、健康で美しい肌をキープしましょう。
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