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肩関節に近い上腕骨近位端骨折

更新日:2016/12/09 公開日:2016/10/22

腕の骨折

上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)骨折とは、上腕骨の肩関節に近い部分の骨折です。高齢者に多い骨折の1つで、転倒などが原因となります。上腕骨近位端骨折の特徴や治療、合併症についてドクター監修の記事で詳しく解説します。

肩とひじをつなぐ上腕骨の、肩関節に近い部分での骨折を、上腕骨近位端(じょうわんこつきんいたん)骨折といいます。若い人の場合は、スポーツ外傷や交通事故など、大きな力によって起きる他、成長期の子供にも起こります。しかし、高齢者の場合は、歩行中の転倒などのような比較的軽い力でも起きやすい骨折の1つとして知られています。上腕骨近位端骨折にはどのような特徴があり、どのような治療法や合併症があるのかを見ていきましょう。

上腕骨近位端骨折の特徴

上腕骨近位端骨折は、股関節に起きる大腿骨近位部骨折、手関節に起きる橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折と並んで、特に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の高齢女性に発生しやすい骨折といえます。受傷直後から疼痛(とうつう)を感じ、動かそうとするとさらに痛んで、腕を上げることができなくなります。骨折部のズレが少ないと押して痛みが出る程度の場合もありますが、2~3日すると肩から胸、上腕にかけて皮下出血が広がってきます。

上腕骨近位端骨折の診断

上腕骨近位端骨折の診断は、単純X線撮影で行うことができます。しかし、治療方法を決定するためにはより多くの情報を得る必要があり、その場合はCT検査が有効です。

上腕骨近位端骨折の治療法

上腕骨近位端骨折の治療法としては、骨折部にズレがなければ手術せずに固定する保存療法となります。骨折部のズレの程度によっては手術が行われます。

保存療法

骨折部にズレがなければ、三角巾などで固定する保存療法を行います。特に、寝たり起きたりする動作の際に肩関節を安定させることが重要なため、バストバンドなどで体幹に固定します。3週間は固定を行いますが、固定期間中も手や指の運動は積極的に行います。痛みや手指の腫れが軽くなれば、可動域訓練を始めることができます。

上腕骨近位端骨折の手術

骨折部のズレの程度によっては、手術による治療を行います。骨折部を安定させることで早期に痛みを軽減させること、整復した位置で骨が繋がること、骨折する前の肩関節機能を取り戻すことが上腕骨近位端骨折手術の目的です。上腕骨近位端骨折の手術としては、鋼線(こうせん)などを用いる方法があります。手術の方法には、鋼線を入れて固定する髄内釘固定(ずいないていこてい)や、金属の板を当ててねじで固定するプレート固定などがあります。骨折と同時に脱臼を起している場合は、人工骨頭置換術が行われる場合があります。

上腕骨近位端骨折の合併症と後遺症

すべての骨折にいえることですが、上腕骨近位端骨折でも、骨が結合する期間が遅れる骨癒合遅延(ほねゆごうちえん)、骨が結合しない偽関節(ぎかんせつ)という合併症を起こすことがあります。この場合は再手術を行うことになります。上腕骨近位端骨折の後遺症としては、骨折前と比較して関節の動きが制限されることがあります。また、脱臼骨折や特殊な骨折型の場合には、血行障害による上腕骨頭無腐性壊死(じょうわんこつとうむふせいえし)が起こることがあります。上腕骨頭無腐性壊死になると、関節が変形したり、著しい機能障害が起こります。腕立て伏せなどのような体重が強くかかる動作が困難だったり、日常生活においても背中に手を回したり、電車の吊り革につかまることができなくなったりします。

四十肩、五十肩といった病気も知られているように、肩関節は固まりやすく、動かなくなりがちな関節です。上腕骨近位端の骨折では、保存療法か手術による治療で骨折部の安定化をはかり、早期に可動域訓練を始めることが大切です。

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