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痔に対する漢方薬

更新日:2018/06/18 公開日:2016/09/26

痔の検査・治療

人には相談しにくい、つらい痔の症状。痔に関する基本的な知識をはじめ、痔の治療に使われる漢方薬について、痔の病態や一般的な治療法とともに東洋医学に詳しいドクターの監修記事で詳しく解説します。

痔の病態

痔は肛門疾患の総称で、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、肛門周囲膿瘍、痔ろうなどがあります。

痔核

いわゆるいぼ痔を指します。逆流弁を欠く痔静脈のうっ血によって、排便時の違和感、疼痛、出血、脱肛などの症状をきたす病気です。

裂肛

肛門皮膚の慢性裂傷です。切れ痔ともいいます。

肛門周囲膿瘍

肛門腺から感染した細菌により引き起こされる肛門周囲の膿瘍(のうよう)です。肛門腺に限らず、便の通り道に傷やポケット状のくぼみなどの細菌の進入路があれば、そこに膿(うみ)がたまり、肛門周囲膿瘍が発生します。

痔ろう

肛門周囲膿瘍がつぶれ、開いたものです。

肛門腺とは、直腸と肛門の境目の凸凹した部分である歯状線(しじょうせん)にある肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれるくぼみの中にあり、粘液を出す部分です。

痔の一般的な治療法

一般的な治療として痔核や裂肛には、便秘・下痢の防止、いきみ方などの排便習慣の改善、坐薬や軟膏などによる保存的な治療を行ないます。日常生活に支障をきたすような疼痛や出血が多い場合、脱肛に対しては手術療法が適応になります。

肛門周囲膿瘍は切開が基本になりますが、肛門腺が感染源となっている場合には、同部も切開し、膿を出します。痔ろうに対しては、細菌の進入経路の処置と患部の切除、膿を出すドレナージからなる根治術が行なわれます。

痔の漢方治療

一般的に痔の漢方薬には、痔核と裂肛に適応があります。痔核に関しては血流の悪い状態、瘀血(おけつ)と捉えられ、血液循環をよくする駆瘀血(くおけつ)剤を多く使用されています。また、気虚(ききょ:エネルギーが不足している状態)や中気下陥(ちゅうきげかん:身体虚弱あるいは肛門を引き上げる提肛筋をはじめとする筋力低下による脱肛や内臓の下垂のこと)の場合には、体力を補う補剤形の漢方薬が使用されています。

痔の治療に使用される漢方薬

・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)

日本人にもっとも多い弛緩性(しかんせい)便秘に使用します。

比較的体力のある方で、右下腹部に「自発痛」、押すと不快感を感じる「抵抗」、圧迫した際に痛みを感じる「圧痛」があることがポイントです。便秘や腹満、月経異常のある場合や、下半身に炎症や化膿があり、発熱、腫脹、疼痛がある場合も使用します。便秘傾向のものに使用します。

・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

体格がよく、体力もある方が、暑がり、のぼせ気味で顔面が紅潮し、みぞおちのつかえや便秘を訴える場合に使用します。特に黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、大黄(だいおう)を配合していることで強く便を排出する瀉下(しゃげ)作用、炎症を消す消炎(しょうえん)作用、解熱作用が増強されており、熱を持った症状を取り除く漢方薬です。

・乙字湯(おつじとう)

平均的な体力の方に使用します。痔の症状はあまり激しくなく、便秘、肛門または陰部の疼痛や掻痒、出血をともなう場合に使用します。生薬は柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)による炎症を抑える抗炎症作用、大黄(だいおう)のやさしく便を排出する緩下作用、升麻(しょうま)の止血作用、当帰(とうき)の血行改善を組み合わせた漢方薬です。体質や症状に合わせて血流改善の漢方薬を併用するなどして痔の治療に使用します。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰のつけ根である腰仙部(ようせんぶ)の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁(内臓が入っている腹腔を取り囲む壁)の緊張が強いものに使われます。牡丹皮(ぼたんぴ)を配合しているため少し冷たい性質が加わっておりますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため温める性質もあります。

・芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)

比較的体力のない方に使用します。痔の出血や貧血、手足の冷えなどに使用します。血分(血液)不足を改善する四物湯(しもつとう)ベースの漢方薬で、貧血傾向の方の出血防止を目的とした漢方薬です。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

比較的体力のない方に使用します。主に胃腸虚弱な方の体力回復剤です。全身倦怠感(特に四肢)や食欲不振、気力の低下、顔色不良、飲食は温かいものを好む方に使用します。虚弱体質で咳、微熱、動悸などの症状のある方に適応となります。内臓下垂などに使用されます。

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