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原因はさまざま?失神の原因やその後の治療方法とは

更新日:2016/12/19 公開日:2016/12/08

失神の基礎知識

一時的に脳全体の血流量が低下して引き起こされる失神は、再発をくり返すケースもあり、必要であれば適切な治療を受けることが大切です。ここでは、ドクター監修の記事で、失神の種類や原因疾患、対処法について解説します。

失神とは「一過性の意識消失の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること」と定義されています。統計では、1年間のうち1,000人の人口に対して約6人が発症するとされています。

失神を来たす病態はさまざまですが、共通する病態生理としては「脳全体の一過性低灌流」によって生じる、とされています。このため、脳への血流低下が生じないてんかんや低血糖による意識消失・意識障害などは、区別して考えられます。数十秒から数分以内に回復することが多いものの、脳血流の低下の程度や低下の原因によっては早急な対応・治療が必要な場合もあります。ここでは、ドクター監修のもと、失神の種類や原因や予防方法、注意が必要な失神について解説します。

失神の種類と原因

失神の原因としては、大きくは以下の3種類に大別されます。

  • 起立性低血圧による失神
  • 反射性(神経調節性)失神
  • 心原性(心血管性)失神
  • 脳血管性失神

起立性低血圧による失神

人が寝ている状態から立ち上がると、重力に従って血液が下半身に移動しますが、人体には、それによって脳への血液供給が滞らないようにするさまざまな仕組みが何重にも備わっています。その仕組みがなんらかの原因によってうまく機能しないと、失神という現象に至ります。その原因としては、自律神経の機能障害や薬剤によるものの他、出血や下痢・嘔吐などによる体液量減少によるものなどがあげられます。

自律神経の機能障害は、なんらかの原因で自律神経自体が障害を受けている特発性のものや、加齢や自己免疫性疾患・代謝疾患、糖尿病やアルコール中毒、腎不全やアミロイドーシスなどによって二次的に自律神経が障害を受けて、満足に機能しなくなっているものに大別されます。

反射性(神経調節性)失神

反射性(神経調節性)失神は、血管迷走神経性失神(vasovagal syncope)、頸動脈洞症候群、状況失神(situational syncope)の3つのタイプに大別されます。このうち血管迷走神経性失神は、失神の発生に自律神経反射が密接に関係しています。このため、前述の起立性低血圧による失神と混同されやすいですが、前述のものは自律神経自体がうまく機能していないことによって起きるのに対し、血管迷走神経性失神は、自律神経の調整がうまく出来ないことによって失神を生じるものです。

血管迷走神経性失神について、詳しくは『反射性失神の1つである血管迷走神経性失神とは』の記事をご覧ください。

状況失神とは、ある特定の状況または日常動作で誘発される失神です。排尿・排便・嚥下・咳嗽・息こらえ・嘔吐などが、その代表的なものです。

咳による失神については、詳しくは『激しい咳には注意!咳による失神の症状と対処法』の記事をご参照ください。

心原性(心血管性)失神

失神の中でも特に注意が必要なのが、心原性の失神です。不整脈や心臓の弁膜症など、心臓のさまざまな病気で発症することがあり、安静にしていても失神が起きる場合があります。他のタイプと比べて失神をくり返すことも多く、急性心筋梗塞や致死的不整脈など、命に関わる重篤な疾患が潜んでいる可能性もあります。適切な治療を行わないと命に危険を及ぼす可能性もあるので、早期に診断・治療へとつなげることが大切です。

原因となる疾患は例をあげるとキリがありませんが、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、重症虚血性心疾患、大動脈解離、心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症など)、心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄症、感染性心内膜炎など)、先天性心疾患、肺高血圧症、肺血栓塞栓症、心タンポナーデ、などが代表的な原因疾患です。

脳血管性の失神

他の3タイプと比べて数は少ないものの、脳内の血管に問題がある場合に起こるタイプの失神です。脳に血液を送っている血管のうち、意識の保持には椎骨・脳底動脈の血流が重要とされていますが、この領域に動脈硬化などが起きて血流が滞ると、失神にまでは至らないものの、めまいやふらふら感などの自覚症状が起きるようになることがあります。

また、比較的まれな病態ですが、つり革を持った時、手を伸ばした時などの上肢を動かしたりする動作の時や、後を振り向く、下を向くなど、首を強く曲げたりした時など、ある特定の動作・姿勢でめまいや一時的な失神、視力障害などの症状が引き起こされることがあります。これを鎖骨下動脈盗血症候群といいます。原因の多くは特発性や動脈硬化によるものです。若い女性の場合は大動脈炎症候群(脈なし病、高安病とも呼ばれます)が鑑別診断にあげられます。

失神の治療法

突然意識を失う失神は、発症した本人にとっても、家族や身近な人にとっても不安が大きいものです。すぐに意識が戻り、なんの後遺症も残さないため、結局そのままにしてしまっているケースも多いようですが、心原性や脳血管性の失神の場合、重篤な症状に至る可能性もあるので、きちんと失神の原因を明らかにして、必要に応じて適切な対処・治療を受けることが重要です。

起立性低血圧の治療

起立性低血圧自体が危険であることはまれですが、失神を含む症状の重症度も考慮した治療が必要です。まずは失神が起きた時の状況や原因を把握し、失神を起こすような生活習慣を見直すことが治療の中心となります。急激な体位変換・起立するような動作を避けること、脱水や過食、飲酒などがきっかけになっている場合はそういった状況を回避することなども有効です。その他、原因となる薬剤の使用低減や中止、適切な水分・塩分摂取、腹帯・弾性ストッキングの着用、薬物治療などが考慮される場合もあります。

反射性(神経調節性)失神の治療

反射性(神経調節性)失神の場合も、起立性低血圧の場合と同じように日常生活の改善が大切です。失神が起きた時の状況や原因を把握し、失神が起こりやすいシチュエーションをできるだけ避ける対策が治療への第一歩となります。これらの患者指導、増悪因子の除去によっても失神発作をくり返す例や、外傷の危険性が高い例には、薬物治療や、人工ペースメーカ移植を考慮する場合もあります。

心原性(心血管性)失神の治療

心原性(心血管性)失神の場合には、心臓病に対する病態に応じた治療が必要です。詳しい検査や治療のために入院が必要な場合もあります。命に関わる場合もあるので、早期に診察を受け、きちんとした確定診断を付け、適切な治療を開始することが大切です。

失神が起こったら

失神の原因は多岐にわたるため、予防のためには失神の原因を把握することが大切です。しかし、原因となる病気がすぐに診断できない場合もあります。一般的な、健康診断レベルの検査では確定診断にまで至らないことも多いのが現状です。心原性の失神を疑われる場合は循環器内科へ相談するとよいでしょう。脳血管性の失神が疑われる場合は脳神経科で相談するとよいでしょう。また、失神外来という専門ブースを開設している施設もあるようです。どこで相談してよいか分からない、なかなか原因が分からない、などという場合はそういったところで相談してみることも1つの選択肢です。