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透明の痰が出る原因と考えられる病気

更新日:2018/07/17 公開日:2017/02/28

痰の種類

咳をしたときに透明な痰が出る、ネバネバした痰が絡んで気持ち悪い…。どうして痰は出るのでしょうか。また、無色透明の場合でも病気の可能性は考えられるのでしょうか。ここでは、透明な痰が出る理由と考えられる病気についてドクター監修のもと解説します。

◎短くポイントをまとめると
「痰が出る=気道からの分泌物が増えている」ということ。気道に何らかの病的な状態があるサイン
透明な痰が出る代表的な病気には、急性上気道炎や気管支喘息、COPDといった呼吸器疾患がある
痰に加えて息苦しさがある、痰の量が多すぎる、1週間ほど経っても改善しない場合は呼吸器科や内科を受診する

痰と咳に悩む高齢男性

咳やくしゃみをしたときに、不意に透明な痰が出てビックリした経験はありませんか? また、ネバネバした痰が喉の奥や気管に絡むと不快な感覚が起こります。どうして痰は出るのでしょうか。また、無色透明の場合でも病気の可能性は考えられるのでしょうか。ここでは、ドクター監修のもと透明な痰が出る理由と考えられる病気について解説します。

痰が出る理由

痰が出るということは、気道からの分泌物が増えているということであり、何らかの病的な状態があることを示しています。増えた気道分泌物を出すために、咳が出るようになります。

もともと、健康な状態でも気道からは分泌物が1日あたり50~100mL出ています。この分泌物の97%は水分で、残りはムチンなどの固形成分です。これらのほとんどは呼吸によって蒸発、再吸収されますが、一部(10mLほど)はのど(咽頭)まで上がってきて、無意識のうちに飲み込んでいます。

つまり、気道が健康な状態であるなら、気道の分泌物の量は増えませんし、痰が出ることもありません。痰が出ているということは、気管で何かが起こっているサインと捉えることができます。痰を引き起こす病態として、気道の炎症や過敏症、肺うっ血、腫瘍などがあります。

透明の痰が出る理由

痰は、そこに含まれるものの種類や量によって、色や性状が変化します。

痰の約8~9割は水分であり、気道から分泌された粘性成分(ムチン)、剥がれた上皮細胞や白血球、血管から漏れ出したタンパク質(アルブミンなど)、気管を感染から守る物質(抗体、ラクトフェリンなど)、肺胞を広げるための物質(肺サーファクタント)、細菌やウイルス、ホコリなどが含まれています。

これら痰の成分によって、例えば痰に血液が混じれば赤くなりますし、泡状のピンク色になるときもあります。サラサラしていたり(漿液性)、粘り気があったり(粘稠性)、固い塊やつぶつぶのようになったり、白色、黄色、緑色などに着色することもあります。もちろん、色のついていない透明の痰もあります。

痰の色や性状は、どんな病気の可能性があるのかの検討を付けるためのヒントになります。病院に行ったときは、どのような痰がいつ出たのかを医師に伝えると、診療の参考になります。

痰にはどんな種類があるのかについては『痰(たん)にはどのような種類があるの?』をご覧ください。また、痰の色から考えられる病気については『痰の色が白や茶、黄緑などに変化する理由は?どんな病気が考えられる?』をご覧ください。

透明の痰が出るときに考えられる病気

痰が出ているということから、気道で何らかのトラブルが起きていることは分かりますが、何の病気なのかは痰以外の症状を組み合わせて検討しないと判断できません。ここでは、透明~白い痰が出やすいことが知られている代表的な病気を紹介します。

急性上気道炎

気道のなかでも、口に近い部分である上気道に炎症が起こると、気道の分泌物の量が増え、痰が作られるようになります。急性上気道炎を引き起こす最も多い原因が風邪のウイルスで、気道粘膜に感染して炎症を起こします。特に上気道炎の初期の頃はサラサラで透明な痰が出やすいと考えられます。

また、ハウスダストやダニ、花粉といったアレルゲンに免疫システムが過剰に反応してアレルギーが起こった場合も上気道炎が起こり、透明な痰の出る原因となります。

炎症が悪化したり、炎症で傷ついた粘膜に細菌も感染したりするようになると、痰は粘り気のある性状になり、色も白、黄、緑などに変化していきます。

気管支喘息

気管支喘息は、アレルゲン曝露や免疫細胞の異常などによって気管支に慢性的な炎症が起こる病気です。気道が狭くなり、空気が通りにくくなるので、呼吸困難が生じます。ヒューヒュー、ゼイゼイといった呼吸の音が特徴的です。発作時にドロッとした粘性の高い透明の痰をともなう咳が続きます。夜間から早朝にかけて咳や痰が止まらないのも喘息の特徴的な症状です。

炎症が長期間にわたり続いていると、次第に気管の壁が分厚くなり、発作が起きていない状態でも内腔が狭くなってきます。この状態で発作を起こすと、気管はさらに狭くなるとともに、大量の痰が出て気管内が閉塞してしまうおそれがあります。気管が閉塞するということは、呼吸ができなくなるということですので、命の危険があります。

喘息の可能性がある場合は、早めに呼吸器科に行きましょう。気管支の炎症を抑え、気管を拡げておく治療を行うことで症状をコントロールすることができます。

喘息の発作が起きたときの対処法については『喘息の発作が起きたときの対処法とは?薬がないときはどうする?』をご覧ください。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は俗に「タバコ病」と呼ばれているほど、喫煙者に多い病気です。

長年のタバコ煙や大気汚染物質の吸入により、気道粘膜が慢性的に刺激されているので、分泌物を出す腺や細胞が増えてしまっています。分泌量も多くなり、ネバネバした痰が大量に出てきます。出しにくい痰なので、それを何とか出そうとして咳もたくさん出ますし、息切れもしやすくなります。

気道には必要以上の分泌物が出ているにもかかわらず、それを押し流す役目を持つ線毛の働きも鈍っており、古い分泌液が滞りやすくなります。そのため、分泌液の中で細菌などが増殖してしまいやすく、肺炎や気管支炎を引き起こしやすい状況になっています。

COPDになると狭くなった気道そのものを元に戻すことはなかなか難しいですが、いまは良い治療法が次々と出てきているところです。痰による不快な症状を軽減するためには、禁煙はもちろんのこと、呼吸器を専門とする医師による治療を続けることが必要です。

この他にも、痰が出る呼吸器の病気は数多くあります。痰が出る症状に加えて息苦しさがある場合、痰の量が多すぎる場合、1週間経っても症状が自然に改善しない場合は一度お近くの呼吸器科や内科クリニックを受診するようにしましょう。

COPD患者でもラクにできる痰の出し方については『ラクに行える痰の出し方と危険な痰の見分け方』をご覧ください。

痰が出たときの対処法

痰が絡んだままだと不快ですが、無理に出そうとすると喉を痛めてしまう可能性があります。次のような方法で痰を出しやすくできますので、セルフケアとして試してみてください。

のどをうるおす

のどが乾燥すると痰が貼りついてしまうので、水分でうるおいを与えて痰がのどからはがれやすくなる状態にしましょう。温かいお湯やお茶をゆっくりと飲むと、痰がやわらかくなります。特に口呼吸のクセがついている人はのどが乾きやすいので気をつけてください。同様に、部屋も乾燥しないように加湿器などを利用して湿度を保つことが大切です。マスクを着用してもよいでしょう。

のどをうるおす方法については『喉を乾燥から守るには?』をご覧ください。

薬を服用する

痰が治まらない場合には、痰を出しやすくする去痰薬を服用してもよいでしょう。薬局やドラッグストアで売っている薬の主な成分を紹介します。咳止めの成分と一緒に配合されていることが多く、錠剤、顆粒、シロップ、ドロップなどのさまざまな種類があります。薬剤師や登録販売者に相談しながら選びましょう。

市販薬に配合されている痰を出しやすくする成分
カルボシステイン
グアイフェネシン
グアヤコール
クレゾール
ブロムヘキシン

なお、市販薬はあくまで一時的な対応で使用するものです。1週間使用しても痰が治まらないようなら、市販薬を使用して様子を見続けるのではなく、病院に行って原因を調べてもらいましょう。

参考文献

  1. ・近藤光子ほか. 気道分泌の管理と治療. 日本内科学会雑誌 2012; 101(12): 3525-3532

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