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がんや膠原病が原因で生じることもある環状紅斑とは

更新日:2017/04/24 公開日:2017/04/07

紅斑症

皮膚に輪のようなまるく赤い発疹が現れるのが環状紅斑です。どのような原因で生じるのでしょうか。ここではドクター監修のもと、環状紅斑の原因や症状、検査・治療法などについてわかりやすく解説します。

環状紅斑は、さまざまな病気にともなって現れるといわれています。環状紅斑を生じる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。環状紅斑の原因や症状、検査・治療法などについて、詳しく解説します。

環状紅斑とは

環状紅斑は症状の名前

環状紅斑とは、その名のとおり、輪のようなまるい形の赤い皮疹のことです。輪状紅斑と呼ばれることもあります。環状紅斑は症状の名前であり、病名ではありません。ただ、環状紅斑の原因が判明するまで、暫定的な診断名として使用されることもあります。

蕁麻疹(じんましん)とはどう違う?

環状紅斑は、さまざまな病気にともなって生じます。病気によって症状は異なり、かゆみもある場合とない場合があります。かゆみをともなう環状の赤い皮疹として、環状紅斑とよく似ているのが蕁麻疹です。

蕁麻疹の場合、真円に近い皮疹は少なく、数時間で形が変わるという特徴があります。また、蕁麻疹は出現後数十分から数時間で跡形もなく消えてしまいます。一方、環状紅斑の場合は、紅斑が外側に向かって拡大したり、皮膚の表面にフケのようにポロポロとはげ落ちる落屑(らくせつ)をともなったりします。紅斑の持続時間や形状、かゆみの有無、落屑の有無などが蕁麻疹と環状紅斑を区別するポイントです。

環状紅斑の原因・症状

環状紅斑が現れる病気には、以下のようなものが知られています。原因不明のものから、悪性腫瘍(がん)や膠原病、感染症によるものまで、原因はさまざまです。

遠心性環状紅斑

体幹や手足の近辺に生じ、数週間から数か月かけて地図のような形に拡大したあと、自然に消えます。縁が堤防のように隆起するものと、落屑をともなうものとがあります。原因はほとんどの場合不明です。

膠原病にみられる環状紅斑

環状紅斑が生じる膠原病には、亜急性皮膚エリテマトーデスやシェーグレン症候群、新生児エリテマトーデスが知られています。亜急性皮膚エリテマトーデスの紅斑には、縁に鱗屑(りんせつ:フケのような皮膚の粉)をともなう環状紅斑と、皮膚が隆起し鱗屑をともなう乾癬のような紅斑とがあります。シェーグレン症候群の環状紅斑は、小さな紅斑が徐々に外側に拡大していくのが特徴で、鱗屑をともなうことはほとんどありません。疲労やストレス、妊娠などがきっかけで現れ、発熱などの全身症状が一緒に現れる場合が多いとされています。新生児エリテマトーデスでは、生後1か月頃から顔や手足などに鱗屑をともなった環状紅斑が現れますが、通常、生後6か月頃までに自然と消えていきます。

壊死性遊走性紅斑

膵臓に生じるグルカゴノーマ(グルカゴンを過剰に産生する腫瘍)によって生じます。中には、肝硬変や消化管の悪性腫瘍などで生じる場合もあります。紅斑は口の周りや皮膚がこすれて摩擦を受けやすい場所にできやすく、環状や地図状に拡大し、水疱(水ぶくれ)や膿疱(水ぶくれの中に膿がたまったもの)、びらん(ただれ)などをともないます。

匍行性迂回状(ほこうせいうかいじょう)紅斑

体幹や手足に同心円状に拡大する環状紅斑が多発し、木の年輪のような模様を描くまれな病気です。強いかゆみをともないます。内臓の悪性腫瘍に合併し、特に肺がんで現れることが多いといわれています。

慢性遊走性紅斑

スピロヘータという細菌による感染症(ライム病)の皮膚症状です。スピロヘータはマダニ類に寄生しており、マダニに刺されることで感染します。マダニに刺されてから数日~1か月後、刺された部位を中心に急速に拡大する環状紅斑が現れます。環状紅斑のほかに、発熱や全身倦怠感、筋肉痛などの症状が現れます。

リウマチ性環状紅斑

A群溶血性連鎖球菌による咽頭炎の2~3週間後に続発するリウマチ熱の症状として、環状紅斑が現れることがあります。環状紅斑は心臓の病変にともなって出現することが多いとされており、体幹や手足に小さい紅斑として生じ、急速に拡大して環状や地図状の紅斑になります。現在、日本ではリウマチ熱はまれな病気になっています。

血管神経性環状紅斑

若い女性の手足に突然生じる、細い線状の環状紅斑です。かゆみや鱗屑はなく、数日で消失します。原因はよくわかっていません。

環状紅斑の検査と診断

膠原病による環状紅斑が疑われる場合は、採血し、自己抗体(抗SS-A抗体、抗SS-B抗体など)を調べる検査を行います。新生児エリテマトーデスの場合、母親由来の自己抗体が発症に関与しているため、母親の検査も必要です。

壊死性遊走性紅斑の場合は、グルカゴノーマが原因かどうかを確かめるため、CTなどの画像検査や血液検査(血中のグルカゴンや耐糖能などを調べる検査)を行います。グルカゴノーマでない場合は、肝硬変や消化管の悪性腫瘍の有無を調べます。匍行性迂回状紅斑の場合も、内臓の悪性腫瘍の有無を調べる検査を行う必要があります。

環状紅斑の治療

発疹に対する治療よりも、環状紅斑の原因となっている病気を治療することが重要です。悪性腫瘍やグルカゴノーマが原因の場合は、外科手術などの治療を行います。ライム病による環状紅斑に対しては、ペニシリン系またはテトラサイクリン系の抗菌薬を2~3週間、経口投与します。

原因不明の遠心性環状紅斑に対しては、ステロイド外用薬を使用することで紅斑の拡大が抑えられます。かゆみがある場合、それを軽減するのにも有効です。亜急性皮膚エリテマトーデスやシェーグレン症候群による環状紅斑に対しては、ステロイド薬の内服治療が必要になることもあります。

環状紅斑がみられる場合は皮膚科へ

環状紅斑に気づいたら、皮膚科を受診しましょう。悪性腫瘍など、重大な病気が隠されている可能性もあるので、放置せずに早めに医療機関を受診することが大切です。全身的な病気が疑われる場合は、皮膚科だけでなく複数の診療科で診察を受ける必要が出てきます。医師から適切な診療科を紹介してもらいましょう。

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