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多形滲出性紅斑はうつる?原因や治療法は?

更新日:2018/02/14 公開日:2017/04/15

紅斑症

多形滲出性紅斑では手足に目立つ発疹ができます。原因は何か、治るのか、他人にうつるのか、など心配になりますよね。この記事では、多形滲出性紅斑の原因と発病のメカニズム、症状、治療などについて解説します。

◎短くポイントをまとめると
多形滲出性紅斑そのものが他人にうつることはない
軽症であれば2~4週間で自然治癒するが、重症の場合は命にかかわる
原因を突き止めて、それを回避することで再発予防になる

医師のイメージ写真

「多形滲出性紅斑」(たけいしんしゅつせいこうはん)という病名は、字面から重苦しい感じがして、重い皮膚病かもしれないと不安になる方もいるのではないでしょうか。発疹は蕁麻疹のように赤く盛り上がり、中央がやや凹んで二重の輪っかに見えるという特徴的な見た目で、手足に出るので目立ちやすい病気です。

この多形滲出性紅斑は治るのか、原因は何か、そして周りの人にうつることはないのか、というのが多くの人の心配事ではないでしょうか。この記事では、多形滲出性紅斑の原因と発疹があらわれるメカニズム、症状、治療法などについて解説します。

多形滲出性紅斑はうつるの?

特に皮膚の病気は、本人も周りの人も「うつるかどうか」を気にすることが多いものです。多形滲出性紅斑の原因の一部は感染性のものもありますが、病気そのものが他人にうつることはありません。その理由を解説していきます。

多形滲出性紅斑の原因

多形滲出性紅斑を引き起こす原因は、下記のように多くの種類があります[1]。

  • 病原体(単純ヘルペスウイルスなどのウイルス、レンサ球菌、マイコプラズマ、非結核性抗酸菌などの細菌、白癬、クラミジア、リケッチアなど)
  • 薬剤(抗菌薬、NSAIDs、抗けいれん薬、抗がん薬など多数)
  • 膠原病、アレルギー疾患(昆虫アレルギー、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、クローン病など)
  • その他(寒冷刺激、白血病など)

このうち、病原体は人から人へとうつる可能性がありますが、仮にうつったとしても、多形滲出性紅斑を起こす人はそのうちのごく一部に限られます。また、同じ薬剤を飲んでも、やはり全員が多形滲出性紅斑を起こすというわけではありません。

多形滲出性紅斑の発症メカニズム

その理由は、多形滲出性紅斑はこれらの原因に対する「アレルギー反応」によって起こる病気だからです。何にアレルギーを起こすかは人によって違います。

例えば、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬;アスピリンやロキソプロフェンなど)を飲んでも、ほとんどの人は多形滲出性紅斑になりません。ごくまれにNSAIDsに対するアレルギー反応がある人がおり、その場合は多形滲出性紅斑を発症します。また、夏には虫に刺されることがよくありますが、やはり刺された人の全員が多形滲出性紅斑になることはありません。刺した昆虫に対するアレルギーがある人だけが、多形滲出性紅斑になります。

このように、多形滲出性紅斑の原因の一部にはうつるものもありますが、発病するかは個人のアレルギー反応(体質)が関係しています。そのため、多形滲出性紅斑そのものが他人にうつることはありません。

多形滲出性紅斑の症状は?

何らかの原因に対するアレルギー反応を起こし、多形滲出性紅斑になってしまった場合は、下記のような症状が出ます(これらすべての症状が出るわけではなく、人によって異なります)。

  • 肘、膝、手の甲、足の甲に紅斑ができる
  • 紅斑は左右対称に起こる
  • 赤い小さな盛り上がりができたあと、赤みが1~2cmの大きさに広がって紅斑となる
  • 紅斑と正常な皮膚の境目ははっきりしている
  • 紅斑の中心は陥没している
  • 紅斑の中心に向かって赤みが強くなる
  • 二重の輪っかに見える
  • かゆみは人によってまちまち
  • 紅斑は数日にわたって新しくつくられていく

これらの症状を起こす多形滲出性紅斑は若年~中年の女性がかかることが多く、春や夏に患者数が多いといわれています[1]。

多形滲出性紅斑は治る?

痛々しい見た目の多形滲出性紅斑ですが、通常は2~4週間で自然治癒しますので、心配しすぎる必要はありません。皮膚科で軽症と判断されれば、アレルギー反応(炎症)を抑えるためにステロイド薬の外用と、抗ヒスタミン薬の内服などが行われます。病原体による感染症が原因の場合は、それに対する治療も平行して行います。

再発を予防するためには、何が原因でアレルギー反応が起こったかを突き止めることが最も重要です。原因解明のためには、思い当たることを医師にしっかり伝えることが大事です。もし、薬局で買った市販薬のNSAIDsを飲んだことが原因なら、その後は薬局でも病院でもNSAIDsを使うことは避けるべきです(おくすり手帳にNSAIDsが身体に合わないことを書いておくとよいでしょう)。虫刺されが原因であったなら、虫の多い時期には肌の露出を避け、虫除けスプレーなどを使って対策しましょう。

なお、単純ヘルペスウイルスが原因である場合は、多形滲出性紅斑の再発を繰り返すことがあります。その理由は、単純ヘルペスウイルスはいちど感染すると、その後は体内に潜伏し続けるという特性があるからです。身体の免疫力が下がるとウイルスは再活性化し、増殖を開始します。それに対してアレルギー反応が出てしまうため、再発を繰り返してしまうのです。この場合は、ウイルスを再活性化させないように、免疫力を健全に保てるような生活習慣を続けることが予防法となります。

重症化した場合は入院することも

ここまで、多形滲出性紅斑の軽症例について述べてきました。最後に、重症例について触れます。多形滲出性紅斑が重症化したときは「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」や「中毒性表皮壊死症(TEN)」という別の病名で呼ばれます。それは、命にかかわる可能性がある重要な病気だからです。重症化する場合、原因のほとんどは薬剤によるものです。

重症化しているかどうか見分ける主なポイントは下記です。

  • 紅斑の上に水疱ができている
  • 出血がみられる
  • 皮膚がはがれている
  • 全身に発疹が広がっている
  • 唇や舌、外陰部、目の周りに発疹ができている
  • 結膜炎など目にも症状が出ている
  • 高熱や全身倦怠感、関節痛、胃腸障害などが起こっている

このような状態になる、もしくはなるおそれがある場合は、入院してステロイド薬の全身投与(内服、点滴)を行います。失明の恐れもあるので、皮膚科だけでなく眼科も協力して治療に当たります。早期診断と早期治療がその後の回復に大きく影響します。

まとめ

多形滲出性紅斑はウイルスや薬剤などに対するアレルギー反応の結果として、四肢に特徴的な発疹を起こす病気です。他人にうつることはありません。軽症であれば治療しなくても1か月以内に治りますが、重症化した場合は命にかかわります。原因を突き止めて再発を防ぐためにも、多形滲出性紅斑を疑ったら、皮膚科を受診することをおすすめします。

参考文献

  1. [1]清水宏. あたらしい皮膚科学.第2版. 中山書店. 2011; 129-131.

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