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クラッシュ症候群にならないためにできること

更新日:2017/04/13 公開日:2017/04/13

クラッシュ症候群の基礎知識

震災などで壊れた建物の下敷きになったときに起こるクラッシュ症候群が近年話題になっています。瓦礫などに圧迫されたことによって起こるさまざまな症状を防ぐために必要なことは何か、ドクター監修の記事で解説していきます。

地震などの災害により、建物や瓦礫、土砂などの下敷きになり、身体が挟まれ血流の流れが悪くなってしまうことで起こるとされるクラッシュ症候群とは、どのような症状、治療、予防があるのか解説していきます。まずは、クラッシュ症候群についてみていきます。

クラッシュ症候群とは

地震などで建物が倒壊してそこに身体が挟まれ圧迫を受けると、その圧迫を受けている部分から血流が停滞します。そうすると筋細胞の壊死(えし)が始まるとされています。圧迫された状態から救助されたあと、その壊死した筋細胞から発生した濃度の高いミオグロビンやカリウムなどが身体中をめぐって急性腎不全などの障害を引き起こしてしまいます。

阪神・淡路大震災の時にそういったケースが多発し、それまではなじみの薄かった「クラッシュ・シンドローム」が一般的にも広く認識されるようになりました。瓦礫から無事救助されたにもかかわらず、病院に運ばれたあとに亡くなる原因として一番多くあげられているといわれています。

クラッシュ症候群の具体的な症状

クラッシュ症候群は、救出された直後は問題がないようにみえるなど、気がつきにくいとされています。そのような、クラッシュ症候群の症状や特徴について解説していきます。

症状や特徴について

救出直後は軽傷で意識もはっきりしていてなんの問題もないようにみえるのに、数時間経ったあとで症状があらわれることが多いといわれています。また、救出までも比較的元気に見えるので周りも症状に気づきにくいという特徴があります。

救出後のバイタルサインも安定しており、骨折や切り傷はあるものの触診でも血液検査でも特に異常はないということも少なくないといわれています。ただ挟まれた部分が麻痺していたり、あるいは皮下出血などがおきているなら、これがクラッシュ症候群の危険信号だとされています。

もう一つの特徴としては、何時間も経ってから突然、筋肉が痙攣して心室細動や多臓器機能障害が起こし、最悪死に至ることもあると考えられています。

クラッシュ症候群の原因

基本的に身体の一部が重量物に押しつぶされ続けるのが2時間以上におよぶと危険といわれています。

4時間から6時間ほど圧迫されることで血液循環に影響が出て発症することが多いとされています。しかし、状況によっては、1時間以内なのに症状が出たという報告もあるので時間が短くてもけっして油断はできません。

長時間筋肉が圧迫されることで押しつぶされた部位の筋細胞膜が傷つき、その細胞内に含まれる乳酸やミオグロビンやカリウムが大量に外に出ます。

それらの物質は普段は身体を動かす大事な要素ですが、数百倍の濃度になると身体にとって毒物となるといわれています。圧迫されている間はその場に停滞していますが、圧迫から解放されることで停滞していたその物質が一気に身体中をめぐることになり、それがきっかけで機能障害を起こすことになると考えられています。特にミオグロビンは急性腎不全を起こす引き金になるので、赤褐色の尿が出たら腎臓の障害が疑えるとされています。

また、大量のカリウムが血液に流れると高カリウム血症になり、筋肉のけいれんもそうですが、致死的不整脈を引き起こす可能性があります。乳酸は酵素の働きを阻害し、身体の中が酸性になってしまいます。こうしたメカニズムにより、救出後すぐは一見問題ないようにみえるのに数時間経ってから身体にさまざまな症状が出るのです。

クラッシュ症候群の治療

上記にあげたさまざまな症状を防ぐには症状に適した臨機応変な処置が大切です。

腎不全を防ぐには

腎不全を起こさないようにするには、大量の輸液が必要です。生理食塩水などのカリウムを含まないものが適していますが、救出現場にいつも医師がいて輸液がそろっているわけではありません。むしろいないことの方が多いのではないでしょうか。

そのような時は挟まれていて救出を待つ人に多量の水を飲ませる必要があります。こうして毒性となった成分を薄めつつ、それと同時進行で挟まれている人を救出します。その際、挟まれている部分より心臓に近い部位(腕のつけ根など)を幅広い布で強く縛ることも重要です。

挟まれた状態から救出後の対応

救出したらすぐに麻痺の症状が起こってないか確かめることが一番大事です。患者が圧迫された部位を動かそうと思っても動かすことができず、触っても痛くないならクラッシュ症候群を発症している可能性が高いと考えられます。その場合、救護テントなどではなくすぐに医療機関に搬送しないといけません。

クラッシュ症候群の予防

日本は地震大国ともいわれており、そうした自然災害とは切っても切り離すことができません。十分な備えをしておくことが大切です。クラッシュ症候群は身体が圧迫されはじめてから2~3時間が勝負といわれています。近隣住民による迅速な救出はもとより、正しい知識をもって現場にあった適切な処置をすることが大切です。

そのためには、普段からクラッシュ症候群に対する理解を深め、災害に備えた具体的なレスキュー訓練を行っておくと、ケガ人を救出したときに冷静な対応ができると考えられます。町によっては独自に組織を作り、年4回ほど自主訓練を行っている地域もあるようです。道具の使い方はもとより、どの段階でどう動くといいかなど訓練を積み重ねることがいざというときに役立ちます。

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