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脂肪便の原因は膵炎?

更新日:2018/02/28 公開日:2017/04/25

下痢の症状・原因・対処法

脂肪の消化や吸収がうまくいかないと、白っぽく、油ぎった「脂肪便」になります。脂肪便が続くと、栄養不足になって痩せてしまいます。ここでは、ドクター監修のもと、脂肪便の特徴や脂肪便の原因となる病気について解説します。

◎短くポイントをまとめると
脂肪便になると、白っぽく、油ぎってギラギラとした光沢のある見た目になる
脂肪の消化・吸収に問題があると脂肪便が出る
脂肪便を治すには、原因となっている病気の治療が必要

下痢のイメージ写真画像

食事で摂取した脂肪(脂質)の消化や吸収がうまくいかないと、便が白っぽく、ギラギラと油ぎった感じの「脂肪便」になります。脂肪を含んだ下痢(脂肪性下痢)になることもあります。この状態が続くと、うまく脂肪が体内に吸収されないままなので、栄養不足になって痩せてしまいます。ここでは、ドクター監修のもと、脂肪便の特徴や脂肪便が起こる原因となる病気について詳しく解説します。

脂肪便が起こる原因とその特徴

脂肪便は、食事から摂取した脂肪(主に中性脂肪;トリグリセリド)がうまく消化できなかったり、吸収できなかったりした場合に起こります。

消化に問題がある場合の脂肪便

脂肪の消化(脂肪の分解や可溶化)がうまくいかないと、便には消化できなかった脂質を多く含まれるため、油ぎってギラギラとした光沢のある見た目になります。色は白っぽくなり、白色の脂肪の塊がみられることもあります。便の量も多くなります[1]。

吸収に問題がある場合の脂肪便(脂肪性下痢)

脂肪の吸収(小腸での吸収、リンパ管への移送)がうまくいかないと、下痢になりやすくなります。吸収できなかった脂肪が含まれた下痢便となります。脂肪のみならず水分も多く、腸内細菌の影響もあり、軟らかい泡状の下痢になります[2]。

脂肪便が出るとどうなるの?

食事から摂取した脂肪がうまく体内で利用できないということですから、栄養が不足してしまいます。脂肪に限らず、糖質やタンパク質が消化・吸収できない場合は「吸収不良症候群」という病気として取り扱われます。この吸収不良症候群の多くは脂肪便をともないます(脂肪便の出ない吸収不良症候群もあります)。

脂肪便と診断する基準は、日本人の場合は「脂肪を1日に40~60g摂取して糞便中に5g/日以上出る」ことです。病状が進んで糞便中に脂肪が50g/日に達すると、カロリー喪失量は実に450kcalにもなります[1]。こうなると、ご飯をしっかり食べているのに太らない、痩せてしまうということが起こります。

脂肪便と関連する症状は他にも、下痢、ふらつき、貧血、かゆみ、発疹、顔の知覚過敏、鼻血などがあります。また、子供の場合は成長障害(大きくならない)などが起こります[3]。

脂肪便が出ている場合は、どこが悪くて、何の病気で脂肪が消化・吸収できなくなっているのかを診察や検査で突き止め、それに対する治療を行って原因を解消することが必要となります。もしかして脂肪便かもしれないと思ったら、消化器科や内科を受診しましょう。便の写真を撮っておくと診察に役立ちます。

脂肪便を起こす主な病気

ここまで、脂肪の消化・吸収に問題があると脂肪便が出ることを解説してきました。では、脂肪の消化・吸収ができなくなる病気とはどのようなものがあるでしょうか。脂肪の消化・吸収のメカニズムとともに説明します[4]。

消化における問題を起こす病気

食事に含まれる中性脂肪は、そのままでは腸から吸収できないため、リパーゼという消化酵素が働いて、脂肪を分解します。この脂肪分解は20~30%は胃で行われ、残りは小腸で行われます。リパーゼにはいくつか種類がありますが、膵臓で作られるリパーゼが脂肪の消化に大きな役割を担っています。そのため、膵臓がうまく働かなくなる病気では、脂肪の消化ができずに脂肪便が出ることになります。

  • 慢性膵炎
  • 膵臓がん
  • 嚢胞性線維症 など

脂肪は水に溶けないので、このままでは腸に吸収されません。そのため胆汁が脂肪をミセル化して水に溶けるようにします。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に貯められ、胆道を通って分泌され、腸で回収されます。この胆汁の一連の流れがうまくいかなくなる病気があると、脂肪便になります

  • 肝硬変
  • 胆管がん
  • 空腸憩室症
  • クローン病 など

吸収における問題を起こす病気

ミセル化して小腸の粘膜まで到達した脂質は、小腸上皮細胞に取り込まれてまた中性脂肪に戻ります。これがβリポタンパク質につつまれてカイロミクロンという粒子になり、リンパ管を介して体内に吸収されます。この吸収の過程が障害される病気があると、脂肪便になります

  • 小腸の切除(短腸症候群)
  • 放射線腸炎
  • 熱帯性下痢
  • セリアック病
  • 無βリポタンパク血症
  • 腸リンパ管拡張症 など

これらのなかには日本人ではほとんど見られないものも含まれます。脂肪便の原因としてさまざまな病気が考えられますので、病院では各種検査を行って原因を見極めていきます。

まとめ

脂肪便は、食事から摂取した脂肪がうまく消化・吸収できない場合に起こります。原因となる病気には慢性膵炎や肝硬変、セリアック病などさまざまなものがあり、それぞれの原因に応じた治療が必要となります。例えばセリアック病ではグルテンを除く特別な食事制限などを行います。

もしかして脂肪便かもしれないと思ったら、消化器科や内科を受診しましょう。

参考文献

  1. [1]“脂肪便” 南山堂医学大辞典 第20版. 南山堂 2015
  2. [2]“脂肪性下痢” 南山堂医学大辞典 第19版. 南山堂 2006
  3. [3]Maxine A. Papadakis et al. CURRENT Medical Diagnosis and Treatment. 57th ed. McGraw-Hill Education 2018
  4. [4]デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2016; 1984-1988

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