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スポーツ心臓とは

更新日:2017/04/27 公開日:2017/04/27

不整脈の基礎知識

スポーツ心臓について、ドクター監修の記事で解説します。スポーツ心臓は、長い期間にわたり激しい運動を続けてきたスポーツ選手にみられます。病的なものとはされませんが、スポーツ心臓と似た症状を示す疾患もあるため注意が必要です。

スポーツ心臓について、分類やスポーツ心臓とよく似た所見を示す疾患、また、日常生活で気をつけることなど見てみましょう。

スポーツ心臓とは

スポーツ心臓は、アスリート心臓とも呼ばれ、強度の高い運動を長い期間に渡って続けてきたスポーツ選手の心臓に起こる器質的な変化と、それによって示されるさまざまな特徴を指していいます。

スポーツ心臓の特徴は、心臓が大きくなる現象と不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられることがあげられます。トレーニングによって筋肉が鍛えられて強く太くなっていくのと同様に、心臓も激しいトレーニングに適応して大きくなっていきます。

心臓自体の大きさが大きくなっていくのとともに、脈拍にも変化が現れます。一般的な人の場合、安静時の心拍数は1分間に60~100が正常とされています。しかし、安静時の心拍数が50以下になると、徐脈性の不整脈である疑いが指摘されます。しかし、スポーツ心臓が出現するようなトップアスリートでは、安静時の心拍数が40を下回ることが少なくなく、なかには30以下という例もあるようです。なお、脈は徐脈の傾向を示しますが、血圧に関しては、一般の人の血圧とトップアスリートの血圧とには、数値にそれほど大きな違いはみられないとされています。

また、スポーツ心臓では、心電図においてしばしば異常がみられることも明らかになってきました。心拍数の低下に加え、徐脈性の不整脈や房室ブロックなどの心電図所見が起こることがわかっています。一般の人では異常とされる所見も、スポーツ心臓の場合には激しい運動によって心臓に構造的、機能的な変化が生じたもので、病気によるものではなく生理的な適応現象だと考えられています。この変化は可逆的なのが特徴で、トレーニングを中止するとスポーツ心臓にみられる特徴の多くはみられなくなります。

スポーツ心臓になる人の特徴

スポーツ心臓はいずれの競技種目の選手にもみられるものではなく、種目によって出現しやすさが変わるようです。比較的多くみられるのは、長距離走や水泳競技などの持久力が必要とされる競技種目の選手です。

スポーツ心臓の特徴を示すに至るにはスポーツ歴の長さです。しかもかなりハードなトレーニングを長い期間に渡って続けることが必要になります。ある調査で、1日に10kmほどのジョギングの習慣があり、フルマラソンやトライアスロンのレースにも出場するような「市民ランナー」を対象に心臓の所見を調べたところ、スポーツ心臓の場合と同様に徐脈の傾向はみられたものの、その中にはスポーツ心臓との所見がみられる例はなかったといいます。

このことからも、スポーツ心臓自体はかなりハードで高度なトレーニングを何年にも渡って続けてきた選手にのみ出現するものだと考えられています。

スポーツ心臓の分類

スポーツ心臓には種目の特性やトレーニングの強度などにより、いくつかの種類に分類されます。

心肥大型

瞬発力を要するような競技の選手に多くみられる型です。代表的な種目に、ウエイトリフティングやレスリング、柔道などがあります。筋力トレーニングのように、筋肉を急激に縮めるような運動を行うことで心臓にはその圧力の負荷がかかります。そのため、次第に心臓の壁が厚くなっていきます。特に、左心室の壁に筋肉が増えることによる肥厚が顕著となります。また、それにともなって心臓の重さも増します。

心拡張型

持久力を要するような競技の選手に多くみられる型です。代表的な種目としては、マラソンなどの長距離走や水泳などがあげられます。持久性トレーニングのような運動により、運動をしているときには血圧が上昇し、心拍数も増加します。また、それとともに、1回に心臓から送り出される血液量も増加します。そのため、一度に送り出す血液の容量を増やすという負荷が心臓に加わります。その結果、次第に心臓は容積を増やすように拡張して大きくなります。とりわけ、左心室の内腔に容積の拡大が顕著にみられるという特徴があります。

複合型

心肥大型と心拡張型との両方が起こった状態です。

徐脈で考えられる病気

先述の通り、スポーツ心臓では徐脈の傾向がみられます。しかし、スポーツ心臓以外にも徐脈を生じさせることがあるため、注意が必要です。

徐脈性不整脈

脈拍が遅くなることによる不整脈を言い、主に2つの起こり方がみられます。1つは、ふだんは正常に脈を打っているものの、突然脈が遅くなって数秒間心停止を起こすパターンです。そしてもう1つは、ふだんの脈自体が遅くなるものです。

徐脈性不整脈の原因

徐脈性不整脈の原因として考えられているものに、洞不全(どうふぜん)症候群と房室ブロックとの2つの疾患があげられます。洞不全症候群は、心臓を規則正しく動かすためのカギとなる洞結節に異常が生じるものです。また、房室ブロックは動脈硬化などの理由により、心臓への刺激を伝達する機能に異常が生じるものです。いずれの疾患も心拍数の急激な低下につながり、それによってめまいや失神発作を引き起こすもととなります。場合によっては生命にもかかわることもあります。

日常生活で気をつけること

スポーツ心臓で心電図にしばしば異常がみられることは上述したとおりです。所見としてみられるもののなかに、徐脈性不整脈の状態や房室ブロックなどがみられます。一般の人の場合には異常とされる場合でも、スポーツ心臓と診断される場合には病的なものとはされません。しかし、たとえばスポーツ中に突然死する原因のひとつとされる肥大型心筋症のように、スポーツ心臓と類似した所見を示す疾患が、スポーツ心臓と誤診される可能性がないわけではありません。定期的に検診やメディカルチェックを受けるようにして、必要な場合にはきちんと治療を受けておくようにすることが大切です。

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