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鉄欠乏性貧血とは

更新日:2017/03/22 公開日:2017/03/22

貧血の基礎知識

鉄欠乏性貧血とは、さまざまな原因により引き起こされる貧血のうち、鉄分不足によるものを指します。本記事では、鉄欠乏性貧血の症状や原因、治療、予防法についてドクター監修のもと詳しく解説します。

貧血とは、さまざまな原因により赤血球や赤血球中のヘモグロビンが不足し、全身に酸素を届ける力が低下して起こるものとされます。その原因のうち、鉄分不足によるものが鉄欠乏性貧血と呼ばれます。鉄欠乏性貧血について詳しく見ていきましょう。

鉄欠乏性貧血とは

冒頭でも述べたように、鉄分不足によって引き起こされる貧血のことを鉄欠乏性貧血と呼びます。貧血のうち8割がこの疾患で、女性に多いといわれます。月経の出血によって鉄分を失うからです。日本人女性では1割が貧血ともいわれており、若い世代、出産後では特にその傾向があるとされます。

ところで、「朝礼中に貧血で倒れた」などという話を聞きますが、これは起立性低血圧といい、貧血ではないことが多いと言えます。起立性低血圧とは、急に立ち上がったり長時間立ち続けたりすると、脳への血流が足りなくなるためにふらつきなどが起こる一過性のもので、血液成分が不足する貧血とは異なります。

鉄欠乏性貧血の症状

貧血の状態では、頭痛やめまい、耳鳴りの他に動悸や息切れといった心疾患のような症状を呈することがあります。また、身体が重くてだるい感じ、疲れやすい、むくむなどといった全身の不調をきたすともいわれます。非常にバリエーションに富んだ症状が起こり得るうえに、他の疾患と似た症状であることが多いのも特徴です。鉄欠乏性貧血だと思っていたら、他の重篤な疾患が潜んでいたという場合もありますので、単なる鉄分不足と考えるのは危険かもしれません。

組織の鉄が不足した時点で様々な症状が出ます。赤血球の鉄は最後まで守れますので、ヘモグロビンが低下して貧血まで至った際には症状もさらに増悪していることが考えられます。鉄欠乏症のほとんどの方は貧血はありませんが、様々な症状を呈しています。貧血に至る前に、鉄欠乏の状態に対処すべきです。

鉄欠乏性貧血を起こす原因

赤血球中のヘモグロビンは鉄分とタンパク質が結合したもので、ヘモグロビンに含まれる鉄分が血液中の酸素と結びついて全身に運ばれることによって酸素を運搬します。鉄分が不足するとヘモグロビンが合成されず、赤血球の数も減ります。

そもそも体内には鉄分が3,000mgから5,000mgほど貯蓄されていて、そのうち1,000mg程度がさまざまな用途で鉄分を必要としたときに利用できる形で肝臓に蓄えられています。この形態をフェリチンといい、貯蔵鉄とも呼ばれます。貯蔵鉄が利用されるときは、トランスフェリンという血液中の物質と結合し、血液の流れに乗って各臓器へと運ばれます。鉄分は、ヘモグロビンをつくる以外にもたくさんの目的で利用され、1日1mgを消費するといわれます。なお、1回の月経では少なくとも15mgの鉄分を失うとされています。使われた分を補充しなければ、いずれ貯蓄された鉄分を使い果たして鉄欠乏性貧血に陥るというわけです。

鉄欠乏性貧血の治療法

医療機関を受診することで、鉄欠乏性貧血かどうかに加え、どのくらい深刻な状態かを確かめることができます。治療は主に肉魚などの動物性タンパク質を中心とした食事療法が行われます。鉄剤(硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、コハク酸第一鉄、還元鉄)の投薬治療も行われることがありますが、鉄欠乏が重度なほど粘膜の代謝障害も大きいので、胃のむかつきなどで鉄剤が飲めないでしょう。

肉や魚には鉄分が豊富に含まれます。鉄分は、吸収されやすいヘム鉄とそうでない非ヘム鉄に分けられ、ヘム鉄は肉やレバー、赤身の魚などに多いとされます。また、鉄分はタンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収しやすくなるといわれます。

鉄欠乏性貧血の予防法

有経女性は鉄分が不足しています。動物性タンパク質を中心とした食生活を心がけることが鉄欠乏性貧血の予防における第一歩と言ってよいでしょう。特に10から20代の女性では、無理なダイエットなどによる欠食のために必要な栄養素を十分に摂取できず貧血にまで至ってしまうケースが多く見られます。

1日の食事に含まれる鉄分は20から30mgといわれますが、実際に吸収されるのはこの15%程度といわれます。糖質過多などが原因で腸管や肝臓に微細な炎症があれば、吸収率はさらに低下することが予想されます。その一方で、1日に必要な鉄分量は男性で7.5mg、月経のある女性で11mgとされています。月経のない女性でも6.5mg程度が推奨され、鉄欠乏性貧血の人では1日20から30mgもの鉄補充が必要となることがあります。食材の組み合わせなどによって吸収率は多少変化しますが、積極的に鉄分を摂ることが求められます。

米国などでは、小麦粉やシリアルなど主食となる穀物に鉄分を添加して販売するよう義務づけられています。その効果か、鉄欠乏性貧血の人数は減少傾向にあるといわれています。日本ではそのような義務づけは現在のところありませんが、国内でも行うべきとの声もあるようです。いずれにせよ、鉄分が不足しがちな食生活を振り返り改善に努めることで、症状を緩和させることは不可能ではないと言えます。鉄分不足が疑われる場合は、医療機関を受診して、鉄欠乏症に伴う諸症状なのか?鉄欠乏性貧血まで至っているのかなどを確かめたうえで、改善に取り組むとよいでしょう。