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脱水症状で点滴を行う目的とは

更新日:2017/04/25 公開日:2017/03/31

脱水症状の治療法

点滴は、脱水症状の治療法の1つです。脱水症状を起こさないためには、水分をこまめに補給することが大切です。ここでは、脱水症状で点滴を行う目的と点滴の種類、注意点などについてドクター監修の記事で解説します。

脱水症状を起こした場合、状態によっては早急に点滴を行う必要があります。処置が遅れると死亡するおそれもあるため注意が必要です。

脱水症状における点滴の役割とは

脱水症状が現れた際には、早急に水分を補給する必要があります。しかし、体重の約3~6%以上失われた状態であったり、水分の経口摂取が難しかったりする場合には、輸液療法を行います。輸液は、点滴静注で投与します。これを一般的に「点滴」と呼びます。

点滴の種類

点滴には、次のような種類があります。

・生理食塩水

細胞外液の補充に適した輸液です。

・乳酸リンゲル駅

生理食塩水を大量に投与すると代謝性アシドーシスを起こすおそれがありますが、こちらにはそれを防ぐための乳酸イオンが含まれています。

・5%ブドウ糖液

すみやかに代謝される特徴を持つブドウ糖は、細胞内外に2:1の割合で存在しています。ブドウ糖が不足しているときに使用します。

・1号液

生理食塩水に5%のブドウ糖液を混ぜて約60%に希釈して作られます。

・2号液

1号液と同じように作られますが、こちらは約70%に希釈されます。

・3号液

1号液と同じように作られる輸液で、約30%に希釈されます。

・4号液

1号液と同じように作られる輸液で、約20%に希釈されます。

点滴の使い分け

そのときに体内から失われた成分を補える点滴を選びます。主に、ナトリウム濃度と酸塩基平衡、カリウム濃度、カルシウム濃度を考慮します。たとえば、高カルシウム血症の場合は生理食塩水を使用します。

1~4号液は、数字が大きくなるほどにナトリウムが下がります。

脱水の重症度や種類に合わせて使い分ける

脱水症状の種類によって体内から失われる成分が異なるため、それに合わせて適切な輸液を点滴する必要があります。脱水症状の種類とそれぞれの治療法をみていきましょう。

水欠乏型脱水

高張性脱水とも呼ばれ、大量の汗や尿が排出されることで起こる脱水症状です。電解質の濃度が高まり、細胞外液の浸透圧が高まります。浸透圧とは、半透膜を隔てて異なる濃度の液体が存在している場合に、濃度が薄い方から濃い方へ移動する作用です。この場合、水分が浸透圧によって細胞外に移動して、細胞内液が減少してしまいます。

水分を経口摂取する必要がありますが、難しい場合は生理食塩水や5%ブドウ糖液などを点滴します。急速な輸液は血漿浸透圧の低下による水中毒や脳浮腫を引き起こすおそれがあるため、適切な輸液速度をキープする必要があります。

ナトリウム欠乏型脱水

低張性脱水ともいい、ナトリウム(塩分)が多量に排出される脱水症状です。原因として、嘔吐や下痢、出血などがあげられます。細胞外液の浸透圧が低下して、細胞内へと水分が移動します。中枢神経症状が現れている場合には、高張食塩水という血漿(けっしょう)よりも浸透圧が高い輸液をゆっくりと点滴していきます。意識レベルが改善した場合は、状態を見つつ乳酸リンゲル液や生理食塩水に切り替えていくことがあります。

混合型脱水

等張性脱水ともいい、同量の水分と塩分が失われることで起こる脱水症状です。主な原因は、嘔吐や下痢、出血などによる水分と塩分の排出、さらに炎症による水分と塩分の消費です。点滴の方法を誤ると、ナトリウム欠乏型脱水を引き起こすおそれがあります。

細胞外液が減少して循環不全を起こした場合には、血漿と同じ浸透圧の乳酸リンゲル液を使用します。改善した場合には、状態に合わせて適切と思われる輸液を点滴します。

脱水症状で受ける点滴の注意点と安全性

輸液療法は、失われた水分や塩分をすみやかに補給できる治療法ですが、血管内に輸液を直接投与すると電解質のバランスが崩れやすくなります。そのため、心臓や腎臓に持病を持つ人に点滴する際には、細心の注意が必要です。これらの持病を持つ人は、普段から脱水しないようこまめに水分補給しましょう。

また、輸液が難しい次のような患者に点滴する場合は注意が必要です。

・高齢者

ナトリウムの排泄能力や再吸収能力、尿を濃縮する能力などが低下しているため、輸液療法による問題が発生しやすいといわれています。また、経口摂取で十分に水分などを補給することも困難です。対策として、電解質を多めに点滴して、こまめに電解質投与量を調整します。

・腎不全患者

尿の量が少ないため、高カリウム血症になりやすいといわれています。維持輸液量を尿量よりも500ml程度多くすることが基本です。

・心不全や肝硬変などの患者

低ナトリウム血漿になりやすいといわれています。維持輸液量を尿量よりも500ml程度多くするのが無難とされています。低ナトリウム血漿を起こしている場合は、等張液を少なめに点滴します。