手術が必要な痔とは?
更新日:2017/12/12 公開日:2017/04/07
痔の検査・治療
痔を治療するときには、手術が必要となる場合があります。痔の種類によって必要な治療や手術方法が異なるので、事前に確認する必要があります。この記事では、痔の手術について、ドクター監修の記事で解説します。
痔は、大きく分けて「イボ痔(痔核:じかく)」、「切れ痔(裂肛:れっこう)」、「あな痔(痔瘻:じろう)」の3つに分類されます。それぞれ必要な治療法や手術方法が異なるため、勝手な判断で放置したりせず、早めに医療機関で受診するようにしましょう。
イボ痔(痔核)
手術が必要な状態
イボ痔は重症度で、以下の4つに状態がわけられます。重症度に合わせて手術法を選ぶという考え方が取られています。
- I度:排便時に少量の出血がみられる。
- II度:イボが肛門から脱出する脱肛が排便時にみられるが、自然に戻る状態。
- III度:指で押し込まないと脱肛が戻らない。痛みもみられる。
- IV度:完全に脱肛した状態。出血や痛みが強くなる。
治療法
イボ痔の手術では、主に結紮(けっさつ)切除術という方法が行われます。これは、イボの部分を結紮(縛る)してから、イボと周辺の皮膚を切除する手術です。イボ痔はできる場所によって、内痔核と外痔核に分かれますが、どちらにも対応できます。しかし、肛門の歯状線という場所から外側にできる外痔核の場合には、知覚神経が通っているため、手術後に痛みをともなうこともあります。一般的に日帰りで手術を行うことができ、術後は痛み止めを服用します。このほか特殊な円形のステープラーで、痔核の切除と縫合を一度に済ませる方法もあります。
切れ痔(裂肛)
手術が必要な状態
切れ痔の場合、基本的に薬物療法による治療を優先的に行います。しかし、無効な場合には手術を行う場合もあります。ポリープや皮膚のたるみがある場合にも手術を行うケースはあります。
治療法
切れ痔の手術には、LSIS(側方内括約筋切開術)とSSG(皮膚弁移植術)などの方法があります。切れ痔では、肛門部の傷口の影響で、肛門が徐々に狭くなるという特徴があります。LSISは軽度の切れ痔の場合に行われ、側方内括約筋を切開して肛門を広げていきます。一方、重度の切れ痔に対しては、肛門が硬くなっているため、切れ痔そのものを切除して、そこに周辺の皮膚をスライドさせます。
あな痔(痔瘻、じろう)
手術が必要な状態
痔瘻の場合は、自然に治ることがほとんどないため基本的には手術を行います。
治療
痔瘻では、痔瘻の瘻管(ろうかん)と呼ばれるうみがたまった状態のところを開放する「瘻管切開開放術」、瘻管ごと取ってしまう「瘻管切除術」のほか、瘻管にひもをとおして徐々に瘻管をきりっていく「痔瘻結紮療法(シートン法)」などがあります。シートン法では、まず瘻管から濃をとりだし、シートンというゴムを挿入して瘻管を縛ります。これは、手術後に肛門括約筋がゆるむことを防ぐ効果があります。シートン法は、痛みはなく手術自体はすぐに終わります。しかし、完全に治すために、術後数週間の治療が必要になってきます。
参考文献
- [1] 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2014年版. 日本大腸肛門病学会. 2014.
この病気・症状の初診に向いている科 肛門外科
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