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切れ痔とはどのような病気?

更新日:2018/05/22 公開日:2017/04/09

痔核の治療・手術法

「切れ痔」とは、「イボ痔」「痔ろう」とならぶ肛門の三大疾患のうちの一つです。肛門付近の肛門上皮(こうもんじょうひ)という皮膚が切れ、痛みや出血をともなう痔です。ドクター監修のもと、切れ痔について詳しく解説します。

切れ痔は裂肛(れっこう)とも呼ばれ、肛門部に痛みや出血があるため、自分で気づきやすい痔です。切れ痔の原因と症状について、また、治療法や予防にいたるまで、順を追って解説します。

切れ痔とは

切れ痔は、便秘や下痢によって肛門上皮という皮膚が切れた状態になる痔です。その特徴は、痛覚の多い場所に発生し、便秘気味の女性に多い病気です。また、出血があることも特徴的な症状です。出血量としては、便やトイレットペーパーに少し血が付く程度で多くはありません。

切れ痔そのものは、皮膚の裂傷なので重い病気ではありません。しかし、切れたり治ったりをくりかえすうちに症状が悪化することもあります。

切れ痔の症状について

切れ痔はその状態によって、「急性裂肛(きゅうせいれっこう)」と「慢性裂肛(まんせいれっこう)」に分類されています。以下にそれぞれの症状を説明します。

急性裂肛

切れ痔とは肛門が傷ついた状態なのですが、硬い便が出たときや下痢をしたとき、肛門にヒリヒリとするような痛みが起こることがあります。それが「急性裂肛」です。排便時には痛みがあり出血もしますが、その傷は浅く、擦り傷のようなもので、たいてい数日で治ります。そのために、痛みもすぐに忘れてしまいます。

慢性裂肛

擦り傷のような急性裂肛はすぐに治りますが、次にまた便の状態が悪くなると再び切れてしまいます。それを何度もくりかえすことで、浅い傷も次第に深くなり、治りも悪くなります。そして、治りきらないうちに再び裂肛ができ、傷は慢性化してしまいます。この状態が「慢性裂肛」です。また、傷口が深くなることで潰瘍(かいよう)になることもあります。こうなると、強い痛みが排便後も続きます。

さらに悪化した場合には、手術が必要になってしまうことがあります。しかし、実際には、手術が必要になるまで進むケースは少なく、適切な治療をすればほとんどは治ります。

切れ痔の原因について

切れ痔は、肛門から硬い便が出るときに肛門上皮が切れて裂けてしまう痔です。激しい痛みがあったり出血したりします。しかし、硬い便以外の原因でも切れ痔になってしまうことがあります。では、どのようなことが原因で切れ痔になってしまうのでしょうか。次にそれを解説します。

排便時の強いいきみ

そもそも肛門上皮というところは、弾力性がない皮膚組織のために、ちょっとした刺激によってすぐに切れたり炎症を起こしたりします。便秘は切れ痔の最たる原因といわれています。便秘になると便が硬くなるので、排便が困難になります。強く腹圧をかけて無理に押し出そうとすることによって、硬い便は無理やり肛門を通ります。これに肛門上皮が耐えられず、裂けてしまうのです。その瞬間には鋭い痛みを感じます。

出産の際にも強い腹圧をかけるために切れ痔になることがあります。便秘や出産のときに強く腹圧をかけることが要因となっているので、どちらかというと女性に多く見られます。

慢性の下痢

硬い便だけではなく下痢便も切れ痔を引き起こします。下痢便は水分が多いため、肛門粘膜に浸透してしまいます。その浸透が原因で炎症が起こり、粘膜が弱くなるのです。特に、下痢が慢性化している場合には、水分の多い便が常に肛門上皮に触れ続けます。つまり、粘膜は休む間がなくその影響を受けて弱り続けてしまうのです。そうなると、便が肛門を通るときに少しこすれただけでも、すぐに切れてしまいます。

内肛門括約筋の緊張

肛門管の内側と背中側では、背中側にできることが多いのが切れ痔です。便は直腸からおりてくるときに背中側に擦れるために、そちらの方が傷つきやすくなります。また、内側と比較すると背中側には血流が少ないという特徴があり、そのために炎症を引き起こしやすくなるのです。

肛門管の長さは約3cmで、内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)と外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)の2つの筋肉で囲まれた構造をしています。普段、肛門が閉じているのは内肛門括約筋の働きで肛門を締めているからです。この筋肉は自分の意志ではコントロールできません。

それとは異なり、外肛門括約筋の方は便を出すときには緩めるように、自分でコントロールできる筋肉なのです。

切れ痔の患者には、この内肛門括約筋の緊張が見られ、そのために肛門の内圧が高くなっています。排便の際に、切れたときの痛みや再発への恐怖から緊張を引き起こす場合もあります。内肛門括約筋の緊張は血管を締め付け、肛門上皮周辺の血流を悪くしてしまいます。その結果、肛門の粘膜には血行障害が起こり、以前なら切れなかった硬さの便でも切れ痔になるのです。

切れ痔の治療について

切れ痔の治療は、薬剤の投与と生活習慣の改善を並行して行う保存的療法がほとんどです。手術にまで至る確率は非常に低くなります。そのポイントは、便秘や下痢の改善とすでに起こっている炎症の抑制です。

薬物療法

炎症を抑えるために投薬を行いますが、それと同時に、長く下痢が続いているのであれば内科を受診し、その原因を見つけて治療する必要があります。また、便秘がもとで切れ痔になっている場合は、下剤や軟便剤を使用して改善を試みます。

炎症を抑えるためには、消炎剤の投与がなされます。消炎剤には、経口薬、座薬、軟膏がありますが、いずれの場合も十分な効果を得るには、医師の指示どおり正しく使用することが大切です。

生活習慣の改善

切れ痔の原因の大半を占めているのは、便秘と下痢です。したがって、よい便さえ出ればほとんどの切れ痔は治ります。そのために食生活に十分気をつけることが必要になります。食物繊維やビフィズス菌の摂取や、肉類の摂取を控えることによって便秘にならないように努力します。また、水分を十分補給して便が硬くならないようにします。

そして、肛門は常に清潔に保つように心がけ、入浴は毎日します。同じ姿勢を長時間続けないことも大切です。立ちっぱなしや座りっぱなしは、肛門の筋肉の緊張を招いたり血流を悪くしたりします。湯船につかって温まることが、肛門の血流をよくするには有効です。

切れ痔の予防

切れ痔の予防とは、いわば便秘や下痢の予防です。そのためには、食物繊維の摂取と十分な水分補給を心がけ、アルコールや刺激物を控えます。もし、便秘が数日間続いたときには、消化器内科を受診するのもひとつです。便秘改善のための指導を受けることが可能です。また、身体を冷やさないことも重要です。冷えると血液の循環が悪くなってしまいます。そして、便意を感じたら我慢をしないということも大切なことです。また、排便の際にはあまり強くいきまないようにします。

自らの習慣や生活スタイルを見直すことが切れ痔の予防につながります。意識をして実践すれば、それはさほど難しいことではありません。しかし、切れ痔がすでに悪化している疑いがあるのなら、早めに専門医を受診することが大切です。

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