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ヘイリー・ヘイリー病(家族性良性慢性天疱瘡)とは

更新日:2017.04.14
公開日:2017.03.31
ドクター画像
この記事の監修者
いなばクリニック 院長 稲葉岳也

ヘイリー・ヘイリー病は、わきの下や股間など蒸れやすい部分の皮膚に水ぶくれのような発疹ができ、かゆみをともないます。再発しやすい特徴があります。原因や治療、予防についてドクター監修の記事でご紹介します。

ヘイリー・ヘイリー病(家族性良性慢性天疱瘡)は、遺伝子の変異によって皮膚がただれたようになってしまう病気です。再発をくりかえしやすく治りにくいことが知られていますが、完治が難しくとも病気とうまく付き合っていけるよう、治療や予防について理解を深めましょう。

ヘイリー・ヘイリー病とは

ヘイリー・ヘイリー病とは、「家族性良性慢性天疱瘡」とも呼ばれる皮膚の病気で、多くは中高年の年代の人にみられます。水ぶくれのような皮膚の異常が、わきの下や肛門のまわり、股間などに発症しやすく、治ったように思われても完治しておらず再発することが多いのが特徴です。同じ部位で再発が見られ、何度も繰り返しやすい完全には治りにくい病気とされています。

ヘイリー・ヘイリー病の原因

皮膚の炎症の原因は、さまざまな要因が合わさっている場合が多く見られます。

一般的な皮膚炎の原因

皮膚の表面に炎症が発生することを総称して皮膚炎、湿疹と呼びますので、ヘイリー・ヘイリー病もそのひとつということができます。皮膚炎の原因には、化学物質や摩擦、細菌などの外的要因と、アレルギー体質や乾燥肌などの内的要因があります。どちらかだけが原因というわけではなく、たとえば乾燥肌に化粧品の刺激が加わって皮膚炎が起こるなど、いくつかの要因が関連して発生するのが一般的な皮膚炎です。ヘイリー・ヘイリー病も例外ではありません。

ヘイリー・ヘイリー病の原因

ヘイリー・ヘイリー病の原因は、遺伝子の異変が原因で起こります。ATP2C1という遺伝子が変異すると、表皮細胞が正常につくられなくなり、そこへ摩擦などの外からの刺激が与えられると、水ぶくれが形成されてしまいます。

ヘイリー・ヘイリー病の症状

皮膚に水ぶくれ状の発疹ができるのが、ヘイリー・ヘイリー病の症状です。その後は一般的な皮膚炎と同じように、初めは水分の多いジクジクとした発疹ですが、徐々に色素が沈着し、膿が出ててかさぶたに変化していきます。その頃には強いかゆみを感じるようになります。

だんだんとかさぶたは消えていき、跡も残らないといわれているのですが、色素沈着によって起きた皮膚の変色は残ることがあります。また、湿った状態のときには、他の部位への二次感染が起きる可能性があります。

摩擦によって症状が出やすいので、鼠径部(そけいぶ)や肛門のまわり、わきの下がただれたようになることがよく見られます。再発をくりかえすケースが多く、摩擦や感染、紫外線などの皮膚への刺激と、夏などに皮膚が乾燥していない・温かいという条件を満たすことで、治った場所に再び同じ症状が出てしまうことがあります。

ヘイリー・ヘイリー病の診断

ヘイリー・ヘイリー病の診断は病理組織検査によって確定することが多いでしょう。小さくわずかな皮膚を切りとり、皮膚組織の異常を顕微鏡で調べます。また、遺伝子の変異によって起こる病気であるため、遺伝子診断が行われることもあります。

ヘイリー・ヘイリー病の治療

治療の方法と、再発の予防について解説します。

治療方法

症状が重篤でなく、軽度または中度の場合、治療は主にステロイド系抗炎症薬の外用薬を患部に塗ることになります。重症の場合は、ステロイド系の内服薬も服用をすすめられることがあります。ジアフェニルスルホンなどの合成抗菌剤や免疫抑制剤も効果が期待できるとされています。

早期の受診が大切

一般的な皮膚炎の中には、症状が軽ければ医療機関を受診せずとも自然治癒したり、薬局で購入できる市販薬で対応することで治るような場合もあります。ヘイリー・ヘイリー病は、症状が現れやすいのが股間など人に見せることに抵抗のある部分が多いことから、そのようにしばらく様子を見たり、自分で薬を塗って治せないか試みる人が少なくないと考えられます。

しかし、2日ほど経っても症状が改善しないのであれば、早い段階でドクターに相談することはとても大切です。湿疹・皮膚炎は、慢性化や重症化してしまうと治りにくくなります。軽度のうちに症状に合った治療をして、慢性化や重症化させないようにしましょう。

再発の予防

ヘイリー・ヘイリー病は、同じ場所に再発をくりかえしやすい病気なので、完治が難しいことが知られています。できる限り再発を防ぐために、自分で気をつけて日常生活の中でできることがあります。

まず、皮膚が高温多湿になることを避け、清潔を保つことが大切で、暑いときや汗をかきやすいときに特に注意が必要です。汗をかいたらすぐに拭く、着替えるなどを心がけるとよいでしょう。また、着衣を工夫するなどして、肌に摩擦が起きないようにすることも有効と考えられます。刺激の少ない素材や、蒸れにくい風通しのよいデザインを選ぶとよいでしょう。

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