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アレルギーを発症するハウスダストとは

更新日:2017.11.16
公開日:2017.11.16
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この記事の監修者
おおり医院 院長 大利昌久

ハウスダストとは、室内に生じるちりやほこりなどをいいます。ハウスダストは、アレルゲンとなってアレルギー性の疾患を引き起こすことがあります。ここでは、アレルギーを発症するハウスダストについて、ドクター監修のもと解説します。

どれだけ念入りに掃除をしていても、生活をしていく中で、室内にはちりやほこりなどのハウスダストが溜まります。このハウスダストは、アレルギー性の疾患を引き起こすアレルゲンとなり、身体に影響をおよぼす場合があります。ここでは、ハウスダストで起こるアレルギーの症状や治療法などについて見てみましょう。

ハウスダストとは

ハウスダストとは、室内に溜まるちりやほこりなどのことです。ひと口に、ちりやほこりと称しても、その内容物にはさまざまなものが含まれています。その多くは、

  • 人やペットの毛やフケ
  • ダニの死骸
  • 衣類の繊維
  • プラスチック製品の微量な物質

などがハウスダストの中にみられます。

ハウスダストを構成するさまざまな成分の、どの成分がアレルギー反応を引き起こすアレルゲンとなっているのかは、厳密にはわかっていませんが、ハウスダストの構成成分について科学的な分析が進められ、アレルギーを引き起こす原因やメカニズムが解明されることが期待されています。

ハウスダストによるアレルギーの原因

ハウスダストアレルギーは、ハウスダストの特定の成分に対して、それを体外に排出すべき異物(抗原)とみなして、体内に抗体を作ることが原因で起こると考えられています。免疫システムが、それぞれの抗原に対する抗体を体内に生成し、次にその抗原が体内に侵入したときにアレルギー反応を引き起こして、それがさまざまな症状の発現につながります。

ハウスダストは、アレルギーの原因となることがありますが、アレルギー症状がすでに発現しているところに、室内にハウスダストが蓄積するのを放置してしまうと、症状のさらなる悪化を招きかねません。

体外から侵入した抗原に対して抗体を産生しているのは、リンパ球の一種であるB細胞ですが、そのB細胞に抗体を作るよう指令を発しているのが、ヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞は、Th1とTh2という2種類の細胞から構成されています。両者のバランスが非常に重要だとされており、Th1細胞が過度に優位になると炎症性疾患を起こしやすくなり、Th2細胞が過度に優位になるとアレルギー性疾患を起こしやすくなるといわれています。新生児や乳児期の子供は、Th2細胞が優位な状態になっており、感染症などによって刺激を受けてTh1細胞が増加していきます。

Th1細胞とTh2細胞とのバランスは、およそ3歳までに決まるといわれていますが、それまでの時期を過度に衛生的過ぎる環境で長くすごすと、Th2細胞が優位なまま成長してしまい、アレルギー疾患にかかりやすくなってしまうと考えられています。

ハウスダストによるアレルギーの症状

ハウスダストによって引き起こされることがあるアレルギー性の疾患や症状には、次のようなものがあります。

気管支喘息

呼吸をするときに空気の通り道となる気道に慢性の炎症が生じ、

  • 気道狭窄(きょうさく)
  • 喘鳴(ぜんめい)
  • 呼吸困難

などが生じます。気道の慢性炎症によって、リンパ球や好酸球、マスト細胞などの白血球が、気道上皮細胞や平滑筋細胞などの気道を構成している細胞と関わって、ハウスダストに過敏に反応するようになり、気管支喘息の症状を起こすと考えられています。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、鼻から入ってきた抗原(ハウスダスト)に対してアレルギー反応が生じます。

  • くしゃみや水様性の鼻水(鼻汁)
  • 鼻づまり(鼻閉)

が突然生じ、症状がくりかえし発現します。ハウスダストによるアレルギー性鼻炎では、一年を通して症状が起こります。

アレルギー性結膜疾患

結膜と呼ばれる、眼球の表面からまぶたの裏を覆う粘膜に、アレルギー反応によって炎症を起こします。主に

  • 眼のかゆみ
  • 白目の充血
  • 目の違和感
  • 目やにが出る

などの症状があります。

ハウスダストによるアレルギーの検査

アレルギーの検査では、主に血液検査が行われます。血液検査には、主に次の2種類のものがあります。

IgEの量を調べるもの

血液検査で血液中のIgEの量を調べ、アレルギーの有無やアレルギーの程度を数値化します。アレルギーの症状がハウスダストによるものと疑われる場合には、ハウスダストに対するIgEを調べ、その値が高ければ「ハウスダストに対してアレルギーがある」とされます。

IgE検査には、上記のような、ある特異的なアレルゲンに対するIgEの値を個別に調べる検査(特異的IgE検査、RAST)と、IgEは特定せずにIgEの合計の値を調べる検査(非特異的IgE検査、RIST)とがあります。

ヒスタミンの量を調べるもの

血液検査で、ヒスタミンを通じてアレルゲンに対する反応性を調べる検査で、アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)と呼ばれます。検査では、採取した血液の中から好塩基球という細胞を分離し、その好塩基球にアレルゲンの添加を行います。アレルゲンを添加したときに放出されたヒスタミンの量を測定することで、アレルゲンへの反応性を調べます。

ハウスダストによるアレルギーの治療

アレルギー性疾患の治療では、抗原となっている物質の除去や回避を行うことが重要とされます。ハウスダストによるアレルギーに対しては、こまめに掃除機をかけたり、布団干しをしたりすることで、ほこりやカビ、ダニなど抗原となっているハウスダストを除去するようにしましょう。

症状にあわせて以下のように薬物療法が併用される場合もあります。

  • ハウスダストによる気管支喘息:吸入ステロイド薬
  • アレルギー性鼻炎:抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬
  • アレルギー性結膜疾患:抗アレルギー点眼薬

近年注目を集めているのは、舌下免疫療法と呼ばれる治療法です。免疫療法は以前から行われていましたが、定期的にアレルゲンを皮下注射する方法が取られるために、毎回注射の痛みがあること、治療に3~5年を要することなどが欠点として指摘されていました。このような皮下注射による免疫療法の欠点を改善した新しい治療法が、舌下免疫療法で、2015年に保険適用となりました。

舌下免疫療法

舌下免疫療法では、治療薬の錠剤を舌下に置いて1~2分間そのままにしておき、その後飲み込むという方法がとられます。1日に1回行いますが、自宅で自身によって行えるのが利点とされています。2週間ごとに通院して受診し、治療の経過や副反応などのチェックをし、状態が安定した後は1か月ごとに受診をします。

保険適用ではありますが、現在ではまだ舌下免疫療法を行える医師、医療機関は限られているため、ダニの舌下免疫療法を希望する場合には、受診をする前に、あらかじめその旨を医療機関に問い合わせることをおすすめします。

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