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インフルエンザA型の症状の経過は?B型との違いは?

更新日:2018/10/03 公開日:2015/03/05

インフルエンザの症状

インフルエンザウイルスにはA型とB型があることが知られています。A型のインフルエンザではどのような症状がどのくらいの期間、どのような経過で起こるのでしょうか。ここではインフルエンザA型の症状についてドクター監修のもと詳しく解説します。

◎短くポイントをまとめると
感染してから症状が出始めるまでは18~72時間かかる
A型では全身症状(発熱、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感)が強く現れる
発熱は1週間以内でおさまり、代わりに呼吸器症状(鼻水、のどの痛み、咳)が出てくる
合併症が起こらなければ、発症から約1週間~10日で完治することが多い

インフルエンザA型とB型の違い

インフルエンザA型とB型の違いを一言で表すなら「病原性の強さ」です。症状が比較的重く、大流行を起こすのがA型で、B型も流行はしますが症状は軽いことが多いです。この病原性の違いはウイルスを形作るタンパク質によるものです。

インフルエンザウイルスの構造

上のイラストは、インフルエンザウイルスの構造を示しています。脂質でできている球形の膜に糖タンパク(ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ)が刺さっており、内側にウイルスを複製するための遺伝子情報が書き込まれているRNAがぐるぐる巻きで収納されています。

インフルエンザウイルスが人間の細胞に感染するときや、感染した細胞を乗っ取ってウイルス粒子を複製させてから外に出ていくときに、この刺さっている糖タンパクが重要な役割を果たします。この糖タンパクは毎年のようにマイナーチェンジ(変異)をしているため、人間の免疫システムで発見しにくいために、冬になると毎年のように流行を起こしてしまうのです。

A型は特に変異を起こしやすく、ときに死者を大量に出すような歴史的な大流行をすることがあります。非常にさまざまな種類がいますので、発見された地名や年などを付けて区別して呼んでいます。「香港型」「スペイン型」「ソ連型」という名前はここから来ています。

B型も変異を起こし、山形系統やビクトリア系統と呼ばれますが、A型よりバリエーションが少ないです。これなら人間の免疫システムも見つけやすいので、A型ほど爆発的に流行することはありませんし、症状も軽めで済むというわけです。

A型とB型の検出状況(2016/2017/2018シーズン)

国立感染症研究所は、全国の地方衛生研究所や保健所から報告されたインフルエンザウイルスの検出状況をまとめて公開しています。下のグラフを見ると、2016年冬から2017年春にかけての季節性インフルエンザの流行ではA型が多く、B型が少なかったことがわかります。

2016/2017シーズンのインフルエンザウイルス検出状況

一方、2017年冬から今年(2018年)の春にかけての季節性インフルエンザの流行は、最初はA型が多かったのですが、B型に抜かれるような推移になっていました。とはいえ、A型の検出数が少ないわけではないので、「A型とB型の両方が流行した」と捉えるのが妥当なようです。

2017/2018シーズンのインフルエンザウイルス検出状況

ちなみに、C型のインフルエンザウイルスもありますが、人間に感染することはほとんどありません。ただ、血液を調べるとC型に対する抗体ができている人が多いので、感染しても症状がないか、非常に軽いために気が付かないだけのようです[1]。

インフルエンザA型の症状の経過

では、症状が比較的重くなりがちで、流行しやすいインフルエンザA型ではどのような症状が起こるのでしょうか。以下、症状の経過を時系列でまとめていきますが、これは合併症がない場合の典型的なパターンであり、個人差があり得ます[1]。

感染から発症まで(潜伏期間)

インフルエンザウイルスは、患者の咳やくしゃみによる飛沫(しぶき)に乗って、他の人の喉や気道に付着し、粘膜の上皮細胞に感染します。ウイルスが細胞に感染すると、強制的にRNA(遺伝情報)に書いてある通りにタンパク質を作らせ、4~6時間以内には複製されたウイルスが大量に複製され、細胞から出ていきます(その細胞は死んでしまいます)。そして感染がどんどん広がっていきます。

感染が広がって症状が出始めるまでは18~72時間かかるといわれています。最初に付着したウイルスの量が多いほど発症までの時間(潜伏期間)が短くなるようです。

発症後から数日(全身症状がメイン)

インフルエンザは突然に発症することが特徴です。特にA型の場合は全身症状が強く現れるため、身体の消耗が激しく、つらく感じます。インフルエンザの全身症状には以下のようなものがあります。

  • 急な38度以上の発熱
  • 悪寒(寒気)
  • 頭痛
  • 関節痛
  • 筋肉痛(特に足腰)
  • 倦怠感(だるさ)

熱は症状が出た1日目に急に上がり、2~3日くらいで少しずつ下がってくるのが一般的ですが、人によっては1週間ほど続くこともあります。

ウイルスは気道に感染しているのに、頭痛や筋肉痛が起こるのが不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。これは頭や足の筋肉までウイルスが広がっているのではなく、身体の免疫システムがウイルスと戦うために作りだしている物質(サイトカインなど)が血液に乗って運ばれ、離れたところで痛みとして感じるのではないかと考えられています。

なお、高齢者ではA型に感染しても発熱などの症状が出にくく、食欲不振や脱力、ふらつきとして見られることがあります。とはいえ、後述する合併症を起こしやすいので注意が必要です。

発症数日から約1週間(呼吸器症状がメイン)

数日間で発熱がおさまってくると、全身症状も軽くなってきます。代わりに目立ってくるのが呼吸器症状で、下記のようなものがあります。これらも1週間程度が経過するとおさまってくることが多いです。

  • 鼻水
  • のどの痛み
  • 後鼻漏(こうびろう)

全身症状の後になぜ呼吸器症状が出てくる理由は、ウイルスに感染した細胞が死んで脱落し、粘膜が荒れてしまっているからです。ウイルス自体は発症後2~5日以内に検出されなくなりますが、傷ついた粘膜や消耗した体力が回復するまでにはもう少し時間がかかります

発熱や頭痛などの全身症状がおさまれば「治りかけ」の状態になったと判断して、健康なときのように仕事や学業をしようとする人もいますが、この段階での無理は禁物です。身体はまだ本調子ではないので、できるだけ安静にし、他の人にうつさないように配慮しましょう。

下記で紹介するような合併症が起こらなければ、発症から約1週間~10日で完治します。

インフルエンザA型の合併症

インフルエンザは通常、これまでに述べたような経過をたどることが多いのですが、人によっては下記のような合併症が起こることが知られています。

  • 肺炎(症状が良くならず、発熱が続き、呼吸困難が起こる)
  • 二次性の細菌感染(咳、黄色の粘り気の強い痰が出る)
  • 喘息やCOPDの悪化
  • 急性筋炎(足の筋肉が非常に痛くなる)

また、小児に多い合併症も知られています。

  • 中耳炎(耳の痛み、発熱、耳だれ)
  • クループ(ゼーゼーと呼吸が苦しくなる、ケンケンと犬の吠えるような咳、声がれ)
  • インフルエンザ脳炎(頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん;インフルエンザ脳症ともいう)
  • ライ(Reye)症候群(吐き気、嘔吐、意識障害、けいれん;アスピリン使用と関連)

このような症状が現れたら、なるべく早く病院を受診してください。

インフルエンザの一番の予防法はワクチン!

もともと健康な成人がインフルエンザで合併症まで起こすのはまれで、多くは1週間ほど安静にしていれば自然に治るものです。ただし、高齢者や妊婦、乳幼児、2歳未満の子供、持病をお持ちの人、免疫を抑制するような治療をしている人は要注意です。インフルエンザは予防接種(ワクチン)で予防することができますので、流行シーズン前に打つようにしましょう。

ワクチンは次シーズンに流行することが予測されるA型とB型の両方が含まれています。ちなみに、2018/2019冬シーズンで使用される予定のワクチンに入っているウイルスの種類は下記です[2]。

  • A型:シンガポールで2015年に分離されたもの(H1N1)pdm09 ※2009年に大流行した新型
  • A型:シンガポールで2016年に分離されたもの(H3N2)
  • B型:プーケットで2013に分離されたもの(山形系統)
  • B型:メリーランドで2016に分離されたもの(ビクトリア系統)

参考文献

  1. [1]デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2016; 153, 1252-1258
  2. [2]国立感染症研究所. 2018/19シーズン インフルエンザワクチン株
  3. https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/2066-idsc/related/584-atpcs002.html (参照2018-05-22)
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