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髄膜炎とは

更新日:2018/05/15 公開日:2016/07/26

髄膜炎の基礎知識

髄膜炎とはどのような病気なのか、ドクター監修のもと、こちらの記事で解説しています。特徴的な症状の他、原因や検査方法についての情報をまとめています。重症化すると深刻な後遺症が残ることもあるため、髄膜炎は早期の治療が重要です。

髄膜炎とは、普段から触れたり吸い込んだりする細菌やウイルスなどが、ふとした拍子に髄膜で炎症を引き起こした状態を言います。珍しくない病気なのですが、原因によっては特効薬と呼べるものが存在しないこともあり、治療が困難になることも少なくありません。

髄膜炎についての基礎情報

脳や脊椎を覆っている保護膜のことを総じて、髄膜と呼びます。この髄膜で急性の炎症を起こす病気が、髄膜炎です。その原因は複数あり、ウイルスや細菌、真菌などがあげられるのですが、中にはほとんどの人がすでに体のどこかに持っている菌も含まれています。

そのため、老若男女問わず誰でも発症しうる病気です。とくに体が弱っているとき、抵抗力や免疫力が低下している状態で発症します。臓器移植など免疫抑制剤を使用して免疫力が下げられている人などは、合併症として発症することもあり、注意が必要です。

経験したことのないようなひどい頭痛をはじめ、倦怠感や発熱などまるで風邪のような症状から始まります。初期のうちは風邪と勘違いされることも多く、そのまま放置すると意識障害が発症するほど重症化するケースもあります。

髄膜炎の原因

髄膜炎を引き起こすのは、ウイルスや細菌、真菌(カビ)などです。細菌によるものを細菌性(化膿性)髄膜炎と呼び、ウイルスによるものは無菌性(ウイルス性)髄膜炎と呼びます。どちらも似たような症状となりますが、細菌性の場合、原因となる主な菌は年齢ごとに異なるのが特徴的です。

たとえば、新生児では大腸菌などが原因となるケースが多いのに対し、生後数か月経った乳幼児以降では、肺炎球菌などが主な原因となります。

髄膜炎の種類

前述の「髄膜炎の原因」でも少し触れましたが、原因などによって細菌性髄膜炎や真菌性髄膜炎などと呼ばれます。他にも流行性脳脊髄膜炎、結核性髄膜炎など、特定の細菌名やウイルス名が含まれた名称もあります。

細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)

細菌性髄膜炎は、細菌による髄膜炎で、中耳炎など別の病気を引き起こしている細菌が原因となることもあります。

乳幼児に起こる細菌性髄膜炎で多いものは、インフルエンザ菌(Hib(ヒブ)菌)が原因の髄膜炎です。5歳未満の子供だけでも、毎年600人ほどがHib菌による細菌性髄膜炎を発症しています。症状が一般的な風邪に似ているため発覚が遅れることもあり、抗生剤を投与する頃には髄膜炎が進行していたというケースも珍しくありません。

現在は、定期接種としてヒブワクチンの予防接種が受けられるようになっています。乳幼児のパパやママは、忘れずに予防接種を受けさせるようにしましょう。

流行性脳脊髄膜炎

流行性脳脊髄膜炎は、髄膜炎菌が原因で起こる、急速に発症する細菌性の髄膜炎のことです。症状の進行の早さから、死亡リスクも高い深刻な髄膜炎です。

結核性髄膜炎

結核菌による病気で、死亡率が高いのが特徴です。治療には結核治療で用いる薬剤が必要不可欠となります。

真菌性髄膜炎

クリプトコッカス・ネオフォルマンスという真菌が原因のものが多いです。クリプトコッカスは鳩など身近な鳥の糞に含まれており、免疫力や抵抗力が低い人は発症しやすいです。

真菌性髄膜炎は真菌(カビ)による髄膜炎で、がん、白血病、エイズなどで免疫力が低下している人に感染することが多い病気です。もともと体力がない人以外にも、別の病気の治療のために免疫力抑制剤を使用している人は感染リスクが上がります。肺炎の原因となるマイコプラズマも、原因のひとつです。肺炎だけではなく真菌性髄膜炎をも引き起こします。

無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)

髄膜炎の中でもっとも多く、細菌性髄膜炎よりも症状が軽く済む特徴があります。細菌が原因ではないことから、無菌性髄膜炎とも呼びます。

原因となるウイルスは多々あり、老若男女問わず発症の可能性があります。ただし、おたふく風邪の原因でもあるムンプスウイルスによる髄膜炎は、子供よりも大人に多く見られるのが特徴です。

エンテロウイルスが元での髄膜炎は、患者全体の約85%を占めるといわれています。エンテロウイルスは夏風邪の他、手足口病の原因にもなるウイルスです。乳幼児の感染率が高く、0歳児の髄膜炎の原因は44%程度がエンテロウイルスによるものという報告があります。

また、注意したいのがヘルペスウイルスによるもので、症状が比較的軽いといわれるウイルス性でありながら、後遺症の危険があります。

髄膜炎は、感染や発症自体は多くの人に可能性があります。原因となる菌によっては後遺症の危険が高くなるため、早期の適切な治療が重要です。

髄膜炎の症状

髄膜が炎症を起こすと、全身の倦怠感、激しい頭痛、悪寒、高熱、吐き気、嘔吐といった風邪に似た症状が起こります。とくに頭痛は特徴的で、かつてないほど強烈な痛みに苦しむ人も多く、子供の場合は泣き叫んでしまうほど。首筋の硬直も起こるため、下を向くなどの動作が難しくなります。

中にはウイルス性のように症状が軽く済む髄膜炎もありますが、進行するにしたがって、けいれんや意識障害も引き起こす場合も珍しくなく、原因に合った適切な処置が必要です。

けいれんや意識障害が出た場合、脳炎も併発している可能性があり、ダメージを負った脳は髄膜炎が完治した後もなんらかの後遺症を残します。

細菌性髄膜炎の症状

細菌性髄膜炎も、その他の髄膜炎と初期症状は大差あり発熱の他、経験したことのない激しい頭痛が継続的にあり、吐き気や嘔吐などが起こります。首の硬直が起こり下を向きにくくなるうえ、ケルニッヒ徴候なども見られます。ケルニッヒ徴候とは、股関節と膝関節を直角に曲げた状態からひざを伸ばそうとすると、一定以上伸びない状態のことを言います。

細菌性髄膜炎が重症化すると、けいれん、意識障害にまで発展し、この状態にまでなると後遺症が残りやすくなります。そのため、早期の発見と治療が重要です。

子供の場合は、普段の風邪と違ってぐったりとしているのが特徴です。診察を受ける際も、風邪と間違われないよう「普段と違ってぐったりしている」など、こまかい部分もきちんと医師に伝えてください。

無菌性髄膜炎の症状

ウイルスに感染しても不顕性感染(症状がない)状態の人も多く、発症したとしても夏風邪のような症状(発熱や頭痛、筋肉痛、発疹、嘔吐など)で髄膜炎だと気付かない人もいます。

気づかないまま病状を進行させ、まれに心筋炎や脳炎にまで発展し麻痺を残すこともあるので、注意が必要です。けいれんや意識障害(もうろうとする)があるときは、病状が進行して脳炎となっている可能性が考えられます。

髄膜炎を予防するには

細菌性髄膜炎の予防接種について

子供の細菌性髄膜炎の予防接種は、主要な原因菌であるインフルエンザ菌b型(ヒブ)と肺炎球菌に対するワクチンの2種類があります。

重症化すると後遺症が残ったり死に至るケースもあるため、予防接種を行うことや日頃の様子を観察するなどして重症化を防ぎましょう。

診察、治療は脳神経外科や脳神経内科、感染症科で受けることができます。施設によっては頭痛外来が設けられている病院もあります。頭痛が気になり心配な方は、頭痛外来に相談するとよいでしょう。乳幼児の場合は、小児科で診察できます。

無菌性髄膜炎の予防について

特定のウイルスだけが原因ではないため予防が難しい病気ですが、ムンプスウイルスに関してはおたふく風邪の予防接種が効果的です。

髄膜炎の検査

髄膜炎の検査では、ウイルスなのか菌によるものなのかは髄液を採取して検査します。採取した髄液を一定期間培養した結果を見て判断し、細菌が検出されなかった場合は無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)などを疑います。他にも採取した髄液からは細胞数、たんぱく量の増加具合や糖の減少具合も異常がないか見ます。ただし、ウイルス性の場合は糖の減少はみられません。

髄膜炎の治療

髄膜炎は細菌やウイルスなど、原因となる物質から異なっています。原因や症状ごとに合った治療薬を用いる必要があります。

細菌性の場合

原因となっている細菌を特定し、もっとも効果的な抗生物質を6時間ごとに点滴もしくは経口投与しなくてはなりません。

最近は抗生物質の効かないインフルエンザ菌(Hib菌)も増えているため、治療が困難となることも珍しくありません。そのような困難な治療を避けるためにも、予防接種を受けて発症リスク自体を減らしておくことが大切です。

無菌性の場合

細菌性の髄膜炎と違い、ウイルス性の髄膜炎は治療薬がないに等しい病気です。そのため、発症した場合は症状を和らげる対症療法を行うことになります。

対症療法は解熱のための解熱剤、頭痛のための鎮痛剤を用い、嘔吐が激しい場合は点滴を行います。特定のウイルスだけが原因ではないため予防が難しい病気ですが、ムンプスウイルスに関してはおたふく風邪の予防接種が効果的です。

結核性の場合

結核菌によるものは、死亡例や難聴などの後遺症が多いため、早期かつ適切な治療が重要です。イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラミナミドといった抗結核薬を一定期間使用し続けます。

真菌性の場合

クリプトコッカスによるものが多く、治療にはアムホテリシンBを点滴、経口投与します。

ウイルス性の場合

単純ヘルペスの抗体価上昇がみられるときはアシクロビルかビダラビンを点滴します。

髄膜炎の後遺症について

成人の場合

細菌性髄膜炎の致死率は20%前後とされていて、もっとも多い肺炎球菌が原因のものの致死率は20~37%で、全体よりやや高めになっています。さらに、後遺症も問題で、生存者の約3割の人に、神経性の難聴である感音性(かんおんせい)難聴や脳神経麻痺、髄液が増える水頭症などの後遺症があります。

細菌性髄膜炎は、回復後に認知機能低下が高頻度に出るという報告があり、肺炎球菌を起炎菌とするものでは、回復した人の27%に認知機能低下が見られたという報告もあります。細菌性髄膜炎は、迅速に治療すれば多くの場合回復しますので、迅速な対応が大切になります。

小児の場合

小児の細菌性髄膜炎は、進行すると意識障害から命に関わってくる重症な症状を引き起こしたり、後遺症が残ったりします。新生児から生後3か月までの乳児の場合、細菌性髄膜炎の主な起因菌はB群レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌などが多くなっています。

後遺症については、出現する確率が15%前後で、感音性難聴、てんかん発作、髄液が増える水頭症、脳梗塞や脳萎縮などがみられ、知的障害が残ることもあります。小児の場合は、一見後遺症がないよう見えていた子供でも、年長になってからだんだんと知能障害がはっきりしてくることもあるので注意が必要です。

また、細菌性髄膜炎は、高い割合で重症化し、熱が出て1日で死亡するケースがあり、最善の治療を施しても死に至る場合もあることから、予防がとても大切です。

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