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腸内フローラとは

更新日:2017/08/23 公開日:2016/08/10

腸内環境・腸内フローラを学ぶ

腸内フローラの状態は健康状態に密接に関わっています。腸内フローラの状態が人体にどのような影響を与えるのか、腸内フローラを整えるためにはどのような方法があるのかなどをドクター監修の記事で解説します。

腸内フローラを整えることは便秘、下痢、お腹の調子といったものだけではなく、肌荒れや倦怠感、疲労感にも大きく影響します。日常気になる不調を改善するポイントは腸内フローラにあるかもしれません。

腸内フローラってなに?

腸内フローラとは腸内細菌叢(さいきんそう)のことを指します。人間の腸内には約1000種、約100兆匹の菌が生息しています。これらの細菌が生息する様子が、まるでさまざまな植物が群生する花畑(英語でflora:フローラ)のように見えることから腸内フローラと呼ばれます[1]。

なぜ腸内フローラが注目されているのか

近年、美容・健康雑誌で腸内フローラが注目されています。研究が進み、腸の役割は栄養素や水分の吸収だけではなく、免疫や美肌、精神へのよい影響などさまざまな働きが判明したためです[2]。腸そのものの働きだけではなく、腸に生息する腸内細菌も人体にとって非常に重要な働きをします。

腸内細菌が人体に及ぼす影響には、必須な栄養素であるビタミンの生成をはじめ、病原菌が作り出す不要な物質の生産の抑制、便を作る、などがあげられます。

腸内フローラを「整える」とは?

腸内フローラを整えるとは、腸内細菌の理想的なバランスにすることです。

例えば、次のようなアプローチは考えらえるでしょう。

・腸内の善玉菌を増やす

・腸内の悪玉菌が増殖しづらい環境を作る

腸内フローラが整うことでどのような効果がある?

腸内細菌のバランスが整うことによって善玉菌の働きが促進され、主に下記のような美容・健康効果が期待されます。

美容面

・美肌効果

善玉菌が美肌に効果的なビタミンB群を生産するため[3]

・肥満対策

腸内細菌が生産する脂肪酸がエネルギー代謝に関わる受容体を刺激するため[4]

・便秘を解消してポッコリとしたお腹を元に戻す

善玉菌の生産する有機酸が腸を刺激して便通をよくするため[5]

健康面

・疲労を軽減する

疲労回復に効果的なビタミンB群を善玉菌が生産するため[3]

・食物の消化吸収を助ける

腸の中で善玉菌自体も食品を分解しているため[6]

・悪玉菌の増殖を抑制して、不要な物質の生産を防ぐ[6]

・免疫を高めて病気にかかりづらくする[7]

腸内フローラを整える方法

腸内フローラを整える方法には以下のようなものがあります。

プロバイオティクス

乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌そのものを意識して食べるようにするとよいでしょう。善玉菌を含む食品は、ヨーグルトやキムチ、ぬか漬け、ピクルスなどの発酵食品があげられます。

プレバイオティクス

善玉菌を増やす作用のある食品を意識して食べるようにするとよいでしょう。善玉菌を増やす作用のある食品は、オリゴ糖や、玉ねぎ、はちみつ、牛乳などです。

食物繊維を多く含む食品を食べる

食物繊維を多く含む食品を食べて排便を促し、腸内の掃除を心がけるようにしましょう。食物繊維を多く含む食品はゴボウやキャベツ、食物繊維入りの飲料などです。

ストレスをなくす

休日に軽い運動をしたり、睡眠時間を十分にとったりしてストレスを発散するとよいでしょう。

『腸内フローラ』のバランスが崩れると…

肥満の原因になっている!?腸内フローラとは

肥満の人と標準体型の人では「腸内フローラ」に大きな違いが見られることが研究によってわかっています。

腸内フローラと肥満の関係

成人の腸内細菌は、「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」の2種類が優勢となっています。バクテロイデス門が食べ物を分解する際、短鎖脂肪酸が排出されますが、この短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みがストップし、肥満の予防につながるとされています[8]。

一方で、もうひとつのフィルミクテス門の菌は、食物繊維などからエネルギー源を取り出すのが得意であるために、肥満に結びつきやすくなるといわれています。

肥満の人は、フィルミクテス門の細菌が多く、バクテロイデス門の細菌が少ないことが研究で分かっています。

腸内フローラを整えることで日々の不調が解消されるかもしれません。まずは発酵食品を食べる、肉を控える、軽い散歩をするなどの簡単にできる生活習慣、食習慣を身につけましょう。

まとめ:腸内フローラの特徴

最近の研究により、腸内フローラはがんや糖尿病、アレルギー、神経系の病気、肥満などと深く関わっていることがわかってきました。脳への影響やうつ病との関係を指摘する声もあります[9]。

腸内フローラをよい状態に保つ鍵は、食事にあるとされています。米ハーバード大学の2014年にネイチャー誌に報告された研究報告では、動物実験において「動物性食品」から「植物性食品」へと変えて調べたところ、わずか1、2日で腸内フローラの内容が変化すると分かりました[10]。

腸内フローラをよい状態に保つには、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品で善玉菌を補充すること、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をたくさん摂ることが重要です。

腸内フローラの正常化は、心身の健康につながります。よい状態を保てるよう、常に食生活や生活習慣を見直しましょう。

参考文献

  1. [1]福田真嗣. もう一つの臓器―腸内細菌叢の機能に迫る, 化と生 2014; 52(9): 565-567
  2. [2]Neill CA, et al. The gut-skin axis in health and disease: A paradigm with therapeutic implications. Bioessays. 2016; 38(11): 1167-1176.
  3. [3]Presti I, et al. Evaluation of the probiotic properties of new Lactobacillus and Bifidobacterium strains and their in vitro effect.Appl Microbiol Biotechnol, 2015; 99(13): 5613-5626
  4. [4]Shin JH, et al. Amelioration of obesity-related characteristics by a probiotic formulation in a high-fat diet-induced obese rat model, Eur J Nutr 2017; Jun 12. doi: 10.1007/s00394-017-1481-4 [Epub ahead of print]
  5. [5]Matsumoto K, et al. Effects of a probiotic fermented milk beverage containing Lactobacillus casei strain Shirota on defecation frequency, intestinal microbiota, and the intestinal environment of healthy individuals with soft stools, J Biosci Bioeng. 2010; 110(5): 547-552
  6. [6]デニス・L・カスパーほか編 福井次矢ほか監修. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017
  7. [7]清水純. “腸内細菌と健康” e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html(参照2017-05-31_)
  8. [8]Turnbaugh PJ, et al. An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest, Nature 2006; 444(7122): 1027-1031
  9. [9]Ochoa-Repáraz J et al. The Second Brain: Is the Gut Microbiota a Link Between Obesity and Central Nervous System Disorders?, Curr Obes Rep 2016; 5(1): 51-64
  10. [10]David LA, et al. Diet rapidly and reproducibly alters the human gut microbiome, Nature 2014; 505(7484): 559-563