トラネキサム酸はもともと医療用医薬品として使われていた成分です。内服薬は抗炎症剤として白血病や蕁麻疹などの治療に使われていました。一方、30~40代に多いシミの一種である肝斑への効果があるという報告も多くあり、美容皮膚科の分野では保険適応外ではあるものの、長い間肝斑治療に使われてきました。また、薬用化粧品においては、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ成分としてスキンケアのアイテムにも配合されています。
この記事では、内服薬としてのトラネキサム酸と、美白成分としてのトラネキサム酸について解説していきます。また、美容家の森田玲子さんがシミ対策におすすめの化粧品もご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
トラネキサム酸による肝斑への効果
肝斑(かんぱん)は、30~40代頃に顔の頬骨に沿って出ることが多いシミの一種です。特に女性を悩ませる美容トラブルの一つで、「肝斑にはトラネキサム酸がよい」といった話を耳にすることもあるのではないでしょうか。ここではトラネキサム酸による肝斑への効果についてみていきます。
肝斑に対するトラネキサム酸の働き
肝斑の原因のひとつに、メラノサイトの活性化があるといわれています。このメラノサイトの活性化の原因の一つに、タンパク質分解酵素で炎症をもたらす「プラスミン」という成分があります。トラネキサム酸は、抗プラスミン作用があるため、炎症をもたらすプラスミンの働きが抑制されることで、メラニンが作られる前段階でメラノサイトの活性化がブロックされ、肝斑の発症が抑えられるといわれています。
トラネキサム酸の内服薬はどこで買える?
美容皮膚科で行われる治療で処方されます。また、肝斑の改善を目的とした市販の一般用医薬品もあります。
- 美容医療における肝斑治療で処方される
- 肝斑治療のひとつとしてトラネキサム酸の内服薬を処方する場合があります。また、その他の内服薬やレーザー治療を併用していきます。しかし、美容を目的とした治療になるため保険適用外となります。
- 市販の一般用医薬品として購入する
- ドラッグストアなどで薬剤師による説明を受けて購入することができます。肝斑への効能効果が認められた市販薬ですが、上記の美容医療で医師によって処方されるものと比べて含有量が違うなど、同じものではりません。
トラネキサム酸の副作用
内服薬(飲み薬)におけるトラネキサム酸は比較的副作用が少ないと言われる薬ですが、食欲不振や吐き気、胸やけ、発疹などの副作用が報告されています。また、医療用医薬品の場合は止血剤(トロンビン)を飲んでいる人は使用できません。心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症のある人や、血栓症を起こすおそれのある人、腎機能が低下している人も必ず医師に相談しましょう。一般用医薬品は医療用医薬品よりも含有量が少ないため、こういった副作用は医療用医薬品より出にくいとされています。しかし、医師や歯科医師による治療を受けている人や血栓症を過去起こしたことがある人、あるいはそのおそれのある人、閉経を迎えた女性などは購入前に必ず薬剤師に相談するようにしましょう。副作用と思われる症状が出た場合は、すみやかに受診することも大切です。
薬用化粧品にも使われるトラネキサム酸
トラネキサム酸は、医薬品だけでなく薬用化粧品でも見かけます。これまで解説した肝斑治療や改善で使われる「トラネキサム酸」と同一の成分ですが、美白成分としてはメラノサイトの「m」を頭に入れた「m-トラネキサム酸」という成分名で記載されています。「m-トラネキサム酸」を有効成分とした薬用化粧品は、シミの一種である肝斑に対する効果ではなく、メラニンの生成を抑制する働きが期待されており、シミやそばかすの予防を目的として使われています。
薬用化粧品におけるトラネキサム酸の効果
トラネキサム酸に限ったことではなく、他の美白成分も同様ですが、予防には効果があると考えられます。しかし、薬用化粧品といっても効果を実感できる度合いには個人差があり、効果が感じられないケースもあります。
また、シミ対策の基本は、美白成分を含む化粧品を使うだけでは叶いません。普段から日焼け対策を徹底することはもちろん、肌をこすらないこと、保湿をしっかりしてターンオーバーを促すことが美肌への道につながります。
その他の治療目的で医療用医薬品としても使われるトラネキサム酸
もともとトラネキサム酸は内服薬として医療用医薬品にも使用されてきた成分です。主に次のような作用があり、治療に役立てられています。
抗炎症作用
先ほどご紹介した「プラスミン」という炎症を引き起こす酵素の働きを抑制する抗プラスミン作用があることから、抗プラスミン薬として使われています。
痛みを鎮める作用(鎮痛作用)
このトラネキサム酸の抗炎症作用により、痛みをしずめる働きが期待できることがわかっています。トラネキサム酸によってプラスミンが発生するのが抑制されることで、炎症のほか、痛みまでも抑制されるためです。
出血を抑える作用(止血作用)
プラスミンには血流を遮断する血栓を壊す働きである血栓溶解作用があります。この血栓溶解作用が活性化する病気には白血病があり、さらに肺出血や鼻出血などの病気も関係しています。トラネキサム酸は、抗プラスミン作用により出血を抑える止血薬の役割を果たします。
皮膚のアレルギー疾患の治療にも
トラネキサム酸は、皮膚のアレルギー疾患である、湿疹やじんましんなどで起こる赤く腫れた状態やかゆみなどの症状の治療に使用されています。
シミ対策におすすめの化粧品
ここではトラネキサム酸配合の有無にかかわらず、美容家の森田玲子さんが肌の保湿におすすめする化粧品をご紹介します。
メラノフォーカスV(HAKU)
販売価格(編集部調べ):10,800円(税込)
内容量:45g
医薬部外品
- おすすめの理由
- 美白化粧品の人気シリーズがリニューアル!シミやそばかすを防ぐ資生堂独自の美白有効成分だけでなく、紫外線を浴びたことによって起こる乾燥を防ぐ保湿成分も配合。さらなる進化を遂げたHAKUに、毎日使い続ける度に期待感が込み上げます!
- 使ってみた感想
- 実はリニューアル前から大ファンだったHAKU。美白化粧品は、使い続けることで効果が実感できる地道なアイテムですよね。だからこそ、肌につけたときに心地よいHAKUは、長く愛用し続けたくなります。リキッドファンデーションを使う方も、ベタつきが少ないので快適にメイクができます。
ケイカクテルVローション(ドクターケイ)
販売価格(編集部調べ):7,560円(税込)
内容量:150ml
- おすすめの理由
- 12種類ものビタミンをたっぷりと配合したすっきりとした化粧水です。保湿効果、成分から日やけによる肌トラブルのケアに適しているといえます。美容液かのように贅沢な成分と、ブースターとしての役割も担う、1つで3役活躍してくれる化粧水です。
- 使ってみた感想
- ケイカクテルローションを浸したコットンでのパックは、格別に気持ちがいいです。さわやかな香りや、パック後の肌の感触もパーフェクトでした!前、私がひどい肌荒れがあったときに助けてくれたのもこちらの化粧水でした。それ以降ずっと信頼しています。
ホワイトプラス ブライトアクアローション(CLARINS)
販売価格(編集部調べ):6,264円(税込)
内容量:100ml
医薬部外品
- おすすめの理由
- くすみのないクリアな肌へ導き、シミやそばかすを防ぐ美白化粧水です。香りの強いスキンケア製品が苦手な方でも使える、やわらかなグリーンフローラルの香り。美白化粧水はさっぱりしすぎて保湿効果に不安なものもありますが、こちらの場合はどちらの面でも優秀です。
- 使ってみた感想
- 肌が化粧水を飲んでいると感じるくらいにぐんぐん角層に浸透していきます。この浸透力のよさに惚れてしまって、美白効果のみならず、保湿効果に大いに期待しながら使用しています。ほんのり香るいい匂いが、夜のスキンケアタイムに癒しを与えてくれますよ。
トランシーノ薬用ホワイトニングクリアミルク(トランシーノ)
販売価格(編集部調べ):3,888円(税込)
内容量:120ml
医薬部外品
- おすすめの理由
- 乳液なのにすぐに浸透する、驚きのつけ心地。超微粒子技術によって、通常の乳液よりもベタつき感がなく、肌の角層浸透しやすくなっています。美白有効成分であるトラネキサム酸を配合。美白化粧品にしては手頃な価格帯である点も魅力です。
- 使ってみた感想
- この乳液をたっぷりと塗った翌朝。目覚めてすぐに肌を触るとしっとりしていました。保湿製品が大好きな私は、美容液、乳液の後にクリームを塗って…などという風に、どんどん重ねたくなってしまうのですが、こちらは色々と塗らなくても満足がいきました。
まとめ
肝斑治療における内服薬や美白成分として活用されるトラネキサム酸の多彩な作用について、メカニズムや効果をご紹介してきました。また、シミ対策におすすめの化粧品も合わせてチェックしておくといいでしょう。しかし、シミは何よりも予防と悪化防止を中心とした日ごろのケアが大切ということをよく理解したうえでシミの改善を目指し、正しく化粧品を使用するようにしましょう。
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