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脱保湿や脱ステロイドはあり?皮膚科医に聞くアトピー治療&日々のケア対策

更新日:2019/12/20 公開日:2019/12/20

山田美奈先生

四谷三丁目皮膚科
院長
山田美奈 先生

 

アトピー性皮膚炎の治療や症状緩和について、さまざまな方法がネットに出回っています。治療方法や化粧品選び、日常生活の過ごし方など、「本当のところどうなの?」と思ってしまう情報も多いですよね。

そこで、アトピー性皮膚炎の患者さんの悩みやよく聞かれる質問、ネットで出回る情報の真偽について、四谷三丁目皮膚科で院長を務める山田美奈先生に、皮膚科視点でお話しを伺いました。

話題になっている治療法の真相やスキンケア、脱毛などはできる?

アトピー性皮膚炎で受診される患者様から、特に受けることが多い相談は何でしょうか?

山田先生:

やはり「かゆみ」の相談が多いですね。アトピーの症状でとにかくツライのが、かゆみによる日常生活への支障です。夜もろくに眠れないほどの強いかゆみが出るので、日常生活を送る大きな妨げとなります。そしてもうひとつは、炎症を起こした肌を人に見られたくないという相談です。人前に出たくないという思いから家にひきこもってしまうケースもあります。

その他には、使う化粧品が合わない、掻いた後に血が出ると洋服に付いてしまうので淡い色味の服が着られない、思春期の患者さんなどではニキビが重なって出てくるなど…人によってさまざまです。

編集部:

最近では大人になってからアトピー症状が再発する方も多いと聞きます。

山田先生:

そうですね。すべての方がそうではないのですが、一般的にはアトピーは成人へ向かうほど症状も落ち着いていく傾向があります。ただ、落ち着いていたアトピー症状がいきなり再発する成人の方もいます。原因の多くはストレスや生活環境による影響が関係していると考えています。

「脱ステロイド」という治療法を聞くのですが、これは正しいものなのでしょうか?

脱ステロイドをする女性

山田先生:

アトピー性皮膚炎の標準治療としてステロイドは必要なものです。炎症を抑える効果があるステロイドですが、副作用や間違った使用方法による影響などが極端に注目され、危険視される風潮があった時期がありました。一時はステロイドを使わない治療を推奨する医師もいたようですが、現在は多くの皮膚科医がステロイド治療を推奨しています。

「ステロイドを使うと皮膚が赤黒くなりませんか?」と聞かれることがありますが、あれはステロイドによるものではなく、炎症によって起こる色素沈着です。むしろ炎症を起こしている場合は、早めにステロイドを使う方が色素沈着を防ぐことができます。

編集部:

ステロイドを断つことがアトピーの完治に必要という話があるようですが、標準治療ではないんですね。

山田先生:

もちろん、ただステロイドを使えば良いというわけではなく、”症状に応じた強さ“のステロイドを”適切に”使うことが重要ですね。

最近では保湿ケアを避ける「脱保湿治療」というのをネットでも目にするのですが、肌が保湿剤に依存するというのは本当でしょうか?

保湿 テクスチャー

山田先生:

脱保湿は…ちょっと考えられないですね。保湿はスキンケアの基本。アトピーであろうとなかろうと必要なケアです。肌が環境に順応して慣れてくるということは考えられるので、皮膚科学的に全くないとは言い切れないかもしれませんが、アトピー患者さんは遺伝子的に肌バリアが弱い特徴を持っているので、保湿ケアを断つだけで簡単に変えられるものではありません。

アレルギー反応による炎症だけでなく、肌が乾燥することも炎症につながります。そのため、日常的な保湿ケアをすることがアトピー症状の悪いサイクルを抑えることになるので、化粧品を使ったケアは欠かせません。

患者さんから化粧品選びについて聞かれることがあるとのことですが、「オーガニックコスメ」を選ぶ方も多いのでしょうか?

オーガニックコスメ

山田先生:

使う化粧品の相談でオーガニックコスメを持ってこられる方もいますね。オーガニックコスメは肌にやさしい化粧品というイメージを持つ方は多いですが、必ずしもそうであるとは言えません。植物に触れたり食べたりしてアレルギー反応がよく起こるように、植物成分や天然成分だからといって安全であるとは言えません。オーガニックコスメはたくさんの植物や天然成分を使っていることがあるので、肌に合わないケースも多いと思います。

一方で、化学的に作られたケミカルな成分は、一定の安全性試験などをクリアしているものが使われているので、安全性は高い方と言えますね。ただ、どちらにしても肌に合わない化粧品に当たる可能性はあるので、試し塗りやパッチテストをしてから使うようにしたいですね。

編集部:

製品を見るのはもちろんですが、アトピー性皮膚炎に特化している、あるいは化粧品を作る「メーカー」のこだわりやポリシーという面もひとつの目安になると思います。

山田先生:

そうですね、高い研究技術や施設を持っているメーカーもあるので、そういったところは安全性や信頼性の部分にもつながると思います。

編集部:

アトピー患者向けに皮膚科学の観点から、根拠を持って真剣に化粧品開発を追求しているメーカーもあるので、化粧品選びの参考にしてほしいですね。

アトピー患者は日焼け止めを使うべきでしょうか?

日焼け止めを使用する女性

山田先生:

紫外線による肌への負担やダメージは症状を悪化させてしまう原因になるので、アトピー患者さんも対策したいところです。日焼け止めがかえって肌に負担をかけるという話もありましたが、近年は日焼け止めの品質も向上しているので、肌に塗って問題なければ日焼け止めを活用した紫外線対策も良いと思います。

編集部:

日焼け止め防止成分にある「散乱剤」や「吸収剤」は注意して見るべきでしょうか?

山田先生:

ここもあまり気にしなくて良くなってきましたね。以前は紫外線散乱剤の方が肌に負担が少ないと言われてきましたが、日本の日焼け止めの製品の品質が高いので、かぶれなどの問題がなければ紫外線吸収剤の使用もおすすめです。また最近の散乱剤はベタつきや白っぽくなりにくいので、かなり使いやすくなっています。肌の様子をみながら、日焼けをしっかり防げる製品を探してみていただければと思います。

アトピー患者さんでも「脱毛」は可能でしょうか?

セルフ行う脱毛ケアを行う女性

山田先生:

うちのクリニックでは、アトピー患者さんでも脱毛施術は可能です。レーザーは赤い色に反応しないので、ごく軽度の炎症を起こしている程度であれば、レーザーを使うことも可能なケースがほとんどです。ただ、皮膚に強い炎症後の色素沈着がある場合は、レーザーに反応してしまう可能性があるので様子をみることもあります。エステサロンなどは、何かあったときに適切な処置ができないなど考えられるので、断られることも多いと思いますが、皮膚科に相談してみると良いと思います。

編集部:

セルフ行う脱毛ケアについてはいかがでしょうか?

山田先生:

家庭用の脱毛器やカミソリ、粘着テープではがす等いろいろありますが、やはり肌に痛みやダメージを与えてしまう方法は避けたいですね。アトピー患者さんは、自分でやる前にかかりつけの医師に相談するのが良いです。

かわいい服や下着をつけたい!という声もあるようですが、衣類を選ぶポイントを聞かせてください

正しい下着の選び方

山田先生:

まず、汗による刺激がよくないので、一般的には汗が溜まりにくい吸汗性や吸湿性、速乾性のあるものがおすすめです。繊維については、綿だけにこだわらなくても良いです。吸汗・速乾に優れた化学繊維でも肌に合う場合があるので、ぜひ試してみてください。

肌に密着する下着や肌着を選ぶときは、レースやフリルなどの装飾、縫い目やタグの部分が肌とこすれてかゆくなる場合もあるので、見た目だけで選ぶのではなく、着心地にも注目してください。

洗濯をするときは洗剤・柔軟剤は使わないほうがいい?

洗剤

山田先生:

衣類がやわらかいと着心地が良いという面があるので、一概に否定することはできませんが、洗剤や柔軟剤による肌への影響については耳にしたことがあります。ただ、実際の患者さんで洗剤や柔軟剤による影響で症状が悪化したという方は今のところほとんどいらっしゃいません。洗剤や柔軟剤による影響が考えられないわけではありませんが、気になる場合は中止して様子をみても良いかもしれませんね。

編集部:

アトピー性皮膚炎の治療は薬を使った標準治療、そして毎日のスキンケアや過ごし方の積み重ねが症状緩和に大きく寄与するものですね。正しい知識を持って化粧品を選ぶことやアトピーだから無理だろう…と諦めてしまいがちな脱毛ケアなど、皮膚科医に相談してみたら問題ないケースもあるのは発見でしたね。自分で調べていろいろ試す前に、かかりつけの医師に相談して正しい選択をしてくださいね。

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