スキンケア大学 ヘルスケア大学 メンズスキンケア大学

「習慣性敏感肌」とはどういう意味? 皮膚バリア成分で保湿してかゆみや赤みのない肌に

更新日:2018/11/01

習慣性敏感肌は「肌の調子がいつも悪く、ときにかゆみや赤みを伴うこともある乾燥肌」を指す言葉です。耳にしたことがある人もいるかもしれません。この習慣性敏感肌は、普通の肌と何が違うのでしょうか。また、どのようにケアすればいいのでしょうか。皮膚科専門医で美容医療クリニックの院長である慶田朋子先生(銀座ケイスキンクリニック)にインタビューしました。

習慣性敏感肌とは?

銀座ケイスキンクリニック慶田朋子先生のインタビュー風景

最近よく「習慣性敏感肌」という言葉を耳にします。

慶田先生:

「習慣性敏感肌」というのは、正式な医学用語ではありません。化粧品や化学物質などから刺激を受けやすい敏感肌の状態が毎日のようにつづいて習慣化してしまった肌のことを、わかりやすく示すためにつくられた言葉です。

「肌の調子がいつも悪く、ときにかゆみや赤みを伴うこともある乾燥肌」をイメージしていただければいいでしょう。

実は「敏感肌」という言葉も医学用語ではありませんが、病院にくるほどではない程度の肌の悩みやちょっとした肌の変化を表すのに便利な表現ですよね。

皮膚のバリアが壊れることで普段は大丈夫なはずの物理的・化学的な刺激、アレルゲンなどの刺激を受けやすいことを「敏感」と表すのは感覚的にわかりやすいです。正しいスキンケアを広く啓発するのにはよい言葉だと思います。

軽い肌の違和感でも対策は必要

習慣性敏感肌だと、日常でどのような問題が起こるのでしょうか?

慶田先生:

一般的なスキンケアをしていても、肌の調子があまり良くないと感じるのではないでしょうか。

敏感肌なので、普通の人では刺激を感じないようなもの(髪が触れる刺激や服のちょっとした擦れなど)にも反応してしまい、かゆみや赤みが出ることもあるかもしれません。

自分の肌に合う化粧品が見つからなくて次から次へと変えているような人や、最高に肌の調子がいいと思えるときがほとんどなくて、いつもどこかカサッとしていて、かゆかったり、粉をふいたりしている人は、習慣性敏感肌の可能性があります。

また、秋になると湿度が60%以下になって爽やかな気候になりますが、普通の人よりも早く肌の乾燥やツッパリ感を感じる人も要注意ですね。

春を迎えると、スギやヒノキの花粉の刺激で顔が赤くなったりかゆくなったりする人もいます。

花粉症をお持ちの方でも、バリア機能が正常に機能していれば、皮膚に花粉が付いただけなら問題にならないのですが、バリア機能が損なわれている状態では、アレルギー反応をきっかけに炎症を起こしてしまいます(花粉皮膚炎)。

皮膚に赤みがあるなど、肉眼で見て分かるような炎症ではなく、ごく軽微な炎症(微小炎症;顕微鏡で見るとわかる程度)は、普通の肌の人でもよくあることです。

そんなわずかな炎症でも、繰り返せば繰り返すほど、肌の老化も進行しやすくなるのがわかっています。ですから、軽い肌の違和感でも放置しないほうがいいでしょう。

習慣性敏感肌は皮膚のバリアが弱い

習慣性敏感肌では、皮膚のバリア機能が損なわれているということでしょうか。

慶田先生:

そうです。習慣性敏感肌は皮膚バリア機能の低下がずっと続いている状態なので、外界からの刺激に対して弱くなってしまっているのです。

皮膚は人体の表面を覆い、外界と接しています。外界からは細菌などの病原体、紫外線、花粉や化学物質など様々な刺激がありますので、皮膚にはそれらから体内を守るバリア機能が備わっています。

健康な肌であれば、この皮膚バリア機能が正常に働いて、外界の刺激から守ることができます。

例えば、健康な肌のときは問題なく使える化粧品でも、少し肌の調子が悪いときに使うと肌荒れしてしまうことがあります。

肌のバリア機能が弱っているときは、本来は皮膚の中にないはずのものが入ってくるので、化粧品どころか自分の汗でも刺激となって炎症が起こってしまいます。こういう状態を「刺激性皮膚炎」といいます。

逆に、特定の物質にアレルギー反応を起こすようになって(感作して)炎症が起きた場合は「接触性皮膚炎」(かぶれ)といいます。一度感作してしまうと、皮膚のバリア機能は正常であっても炎症が起きてしまいます。

問題は、皮膚のバリアが壊れた状態のまま外部からの刺激を受け続けると、様々なものに感作されやすくなるということです。

ですから、肌が赤かったりかゆかったりする状態というのは放置せず、皮膚のバリアをなるべく早く正常に戻すようなケアをしてあげることが大事です。

皮膚のバリア機能とは?

銀座ケイスキンクリニック慶田朋子先生のインタビュー風景

皮膚のバリア機能というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

慶田先生:

皮膚は大きく表皮と真皮、皮下組織(脂肪層)に分けられます。

私たちが日常的に見ているのは外側にある表皮で、約0.2mmと非常に薄い組織です。表皮は外側から角層、顆粒層、有棘層、基底層に分けられます。一番外側の角層が皮膚のバリア機能の最前線です。

角層は0.02mmと食品用ラップ1枚程度の薄さですが、異物が体内に入り込んでくるのを防いだり、紫外線を散乱させたり、体内から水分が蒸発しないようにする役割を担っています。

肌の模式図

慶田先生:

このバリア機能を維持するためには、表皮の中でも最も外側に位置している「角層」に含まれる下記の成分が重要であることが知られています。

①細胞間脂質(セラミド、コレステロール、脂肪酸など)
②角層細胞の中身を満たす代謝産物(ケラチンやフィラグリンなど)
③角層内で水分を抱え込む天然保湿因子(アミノ酸、尿素、塩基類など)
④角層細胞を裏打ちして支えるタンパク質(周辺帯と呼ばれる)

実際にアトピー性皮膚炎の患者さんでは、これらの成分が不足していることによって皮膚バリア機能が低下し、外界からの様々な刺激を防ぎきれず、炎症が起こりやすくなると考えられています[1]。

ということは、アトピー性皮膚炎のある方は習慣性敏感肌である、ということもできますか?

慶田先生:

アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能がうまく働いていないことが原因で起こる病気の代表格で、いわば皮膚の「バリア病」です。

アトピー性皮膚炎の患者さんは、ちょっとした刺激で皮膚が炎症を起こし、日常的に赤みやかゆみに悩まされています。

そういう意味では、アトピー性皮膚炎の患者さんは習慣性敏感肌の概念に当てはまると言ってもいいでしょう。

習慣戦敏感肌はどう改善すればいい?

銀座ケイスキンクリニック慶田朋子先生のインタビュー風景

低下した皮膚のバリア機能を回復すれば、習慣性敏感肌は改善するのですか?

慶田先生:

はい。皮膚のバリア機能が回復すれば、外界の刺激から肌を守ることができますので、習慣性敏感肌による肌の調子の悪さや乾燥、かゆみや赤みなどが改善すると考えられます。

実際にアトピー性皮膚炎の治療でも、皮膚に炎症が起きてかゆく、赤くなっている部分に対しては、ステロイド外用薬で炎症そのものを鎮めるとともに、保湿剤も塗る(外用する)ことが広く行われています。

保湿剤の外用が皮膚を潤し、バリア機能を改善することは、多くの研究によって証明されています[1]。

さらに、このような治療で炎症がおさまった後も、保湿剤を使い続けることが勧められています。

アトピー性皮膚炎の患者さんは体質的に肌が乾燥しやすく、習慣性敏感肌の状態になりやすいですから、症状が出ていないときでも常に保湿剤を外用することで、皮膚のバリア機能を保つケアが望まれます。

きちんと保湿ケアをすれば、皮膚炎の再発を予防し、かゆみも軽減した状態を保つことができます。

習慣性敏感肌の保湿ケア

では、習慣性敏感肌の保湿ケアはどうすればいいのでしょうか?

慶田先生:

皮膚バリア機能を担う表皮内の角層は、角質細胞という細胞によってつくられています。この細胞の隙間はセラミドやコレステロール、糖脂質などの脂質で埋められています。

これらは細胞同士をくっつけるだけでなく、間に水分を層状に挟み込んで、水分を抱え込み角層をしなやかに保ちながら、内部の水分を逃さない保湿機能として役立っています。

同時に外部からのアレルゲンをはじき返すバリアとしてはたらいており、「細胞間脂質」と呼ばれています。

細胞間脂質は、角層のなかで規則性をもって並んで、特徴的な「ラメラ構造」を作り出します。このラメラ構造が安定していると、角層の水分量が減ったり増えたりしても、角層内に必要な量の水分を保持できるのです[2]。

さらに、皮脂腺から分泌された天然の皮脂が角層の表面を覆い、水分の蒸発を防いでいます。

水分の蒸発を防ぐ、すなわち保湿をするには、角質に細胞間脂質や皮脂の代わりになる成分を補充してあげればよいということになります。

保湿クリームなどは非常に多くの種類がありますが、どれを選んだらよいでしょうか?

慶田先生:

習慣性敏感肌では、皮膚のバリア機能が低下していて刺激を受けやすい状態になっています。

健康な肌ならば、界面活性剤や香料、防腐剤などが配合されていてもバリア機能がはたらいてくれますが、習慣性敏感肌では刺激を受けてしまい、肌トラブルにつながる可能性があります。

ですから、必要な成分だけをシンプルに配合したスキンケア製品を選ぶとよいのではないでしょうか。

先ほどお話しした通り、体内で保湿成分としてつくられている細胞間脂質(コレステロールやセラミドなど)や皮脂(トリグリセリドやスクワランなど)によく似ている成分を配合したり、皮膚に刺激を起こしにくいpHに調整したりした製品もありますので、そういったものを試してみてもよいでしょう。

ただし、かゆみや赤みが強く、熱を持っているような場合は強い炎症が起きている可能性があるので、まずは皮膚科で診てもらってください。

そのうえで、習慣性敏感肌に適した保湿ケアの方法を医師と相談して選ぶのがベターだと思います。

習慣性敏感肌のスキンケア

習慣性敏感肌への対応として、保湿ケア以外にも気をつけるべき点はありますか?

慶田先生:

スキンケアには、保湿だけでなく洗浄と光対策も重要です。この3つを合わせて「スキンケアの3要素」と呼んでいます。

外部から付着した汚れや化粧品はもちろん、身体から出た皮脂や汗、唾液、おりもの、尿なども刺激になり得ますので、これらを洗浄するのはスキンケアのファーストステップです。

理想的な洗浄剤は、汚れだけを優しく包み込んで、洗浄成分が角層に残らないものです。保湿剤を含んだものもおすすめです。

よく泡立ててかさを増すと、汚れを包み込むミセルがしっかり作られて洗浄力を高めつつ、使う量が少しで済むので、肌への刺激が減らせます。

光対策については、紫外線だけでなくブルーライトや近赤外線の一部もカットできる日焼け止めが出てきています。これに加え、衣類や日傘、帽子などで皮膚を覆って物理的に守ることも大事です。

また、保湿・洗浄・光対策のスキンケアをしっかりしていても、生活習慣の5本柱(食事、排泄、睡眠、運動習慣、ストレスコントロール)がくずれているようでは肌の調子は保てませんので、生活の見直しもぜひ行ってみてください。

習慣性敏感肌の化粧品選び

最後に、習慣性敏感肌の方の化粧品選びについてアドバイスをお願いします。

慶田先生:

習慣性敏感肌のような「取り扱い注意の肌」をもっている方は、「攻めではなく守り」の観点から化粧品を選ぶようにしてほしいですね。なるべく肌に炎症を起こさせないように、守る、予防する、ということが一番大事です。

つい、美白やハリなどへの効果のある化粧品を試してみたくなりがちですが、このような攻めの化粧品は、肌の調子が良くなってから、1品ずつ試していくべきものです。

例えば、秋の気候変化で調子がゆらいでいる肌に対して、夏にできたシミ対策として新たな美白化粧品を投入するのは、リスクが高い行為です。

もしこの化粧品が刺激になって肌に炎症が起きてしまったら、その方がよほどシミ(炎症後色素沈着)になってしまいかねません。肌の調子があまり良くないのであれば、肌に合う保証がないものは使わないほうが良いのです。

どんな化粧品も、合うかどうかは人それぞれなので、使ってみないと分かりません。使ってみて肌の調子が悪くならないものを見つけて、まずは守りのスキンケアをしましょう。そして、早く「習慣性敏感肌」の状態から脱却すべきです。

体質的に敏感肌になりやすい人でも、守りのスキンケアによって皮膚のバリア機能を回復させ、肌の調子を悪くない状態にもっていければ、肌トラブルや老化の原因となる炎症を起きにくくすることができます。

よく分かりました。慶田先生、ありがとうございました。

編集部まとめ
習慣性敏感肌とは、皮膚のバリア機能が低下して乾燥しやすく、また外部の刺激に弱いためにいつも調子が悪く、かゆみや赤みがおきやすい肌ということ。これを改善するためには、刺激や負担を与えにくいスキンケア製品でしっかり保湿ケアをし、皮膚のバリア機能を回復させればよい。

参考文献

  1. [1]加藤則人ほか(日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会). アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版. 日皮会誌 2016;126(2): 121-155
  2. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf
  3. [2]八田一郎ほか. 皮膚角層中の細胞間脂質集合体の構造と相転移. Netsu Sokutei 2007; 34(4): 159-166
  4. http://www.netsu.org/JSCTANetsuSokutei/pdfs/34/34-4-159.pdf

振り返りやまとめ読みに便利。クリップで記事を保存!

クリップ機能を使用するには、会員登録(無料)が必要になります。

会員サービスで利用できる便利な機能

無料登録してこの記事をクリップ

登録済みの方はログイン

あなたのページを今すぐチェック

マイページ

Facebook

いいね!して気になる情報をチェック!

公式ツイート

カテゴリー