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髙本眞一 先生

社会福祉法人三井記念病院 院長

社会福祉法人三井記念病院 髙本眞一 院長先生

髙本眞一

患者と医療者が「ともに生きる」ために大切なこと

三井記念病院は、地域医療支援病院として、地域医療を支えるとともに、地域の皆さんに支えられている病院です。また、総合病院として30の診療科を設置し、救急から地域医療連携まで幅広く行っています。

地域医療連携では、「地域医療支援委員会」を年に2回開催しており、近隣の医師会の会長や行政の担当者、自治会などの住民代表など、多くの医療関係者が集い、積極的な情報交換や「顔の見える連携」を行っています。

また、当院主催の市民公開講座や住民向け講演会なども行っており、日ごろから地域住民との交流を行っています。

私は住民向けの講演会でお話をする機会があるのですが、当院のミッションである、患者と医療者が「ともに生きる」についてお話をすることがあります。

医師も患者さんも「同じ人間」であり、患者さんの命が最も大切で尊いものであります。

尊い患者さんの命があるからこそ、医療が存在し、医学の進歩が生まれています。しかし、残念ながら医学は万能ではなく、何でも治せるというものではりません。

また、患者さん側も医師に丸投げではいけません。患者さんには自分の命への責任があります。そして医師は、患者さんの命を救うために支援(サポート)をするのです。

「ともに生きる」ためには、医師と患者さんの信頼関係が欠かせません。医師は患者さんに対して卑屈になることなく、上から目線でおごることなく、患者さんと同じ目線に立つことが大切です。

患者さん側も、医師の指示をしっかり守らなくてはなりません。お薬を忘れたり、止められているものを食べたり。そうすると、せっかく少しずつ積み上げてきた治療が、また振り出しに戻ってしまいます。

しかし、医師も患者さんも人間です。感情的にもなりますし、患者さんも薬の飲み忘れなどもあるでしょう。そういうことも全部含めて「人と人とが一緒に歩む」。互いに対等に、同じ目的に向かって一緒にやろうと思えば、言葉も自然に変わります。

「やりなさい」ではなく「一緒にやろう」。

気持ちが変われば自然と言葉も変わり、態度も変わる。信頼関係を少しずつ積み上げていけば、「ともに生きる」ことが、もっとスムーズにできると思います。

医師が大切にしなければならない「本分」とは

医師は患者さんの気持ちをくみ取る努力を常にしなければなりません。

患者さんからすれば、非日常の空間で病院、初めて会う医師、どんな先生でこれから何をされるんだろうと、不安や恐れがあるでしょう。

そんな状況では、患者さんからいろいろと聞くことはできないし、患者さんも話にくいでしょう。医師は問診から病態を絞り込んでいきますから、患者さんが話しにくい状況を改善することも、医師の大切なポイントです。

患者さんがリラックスできる空間を生み出し、間違っても「何か言ったら怒られるのではないか?」と思わせてはいけません。

お互いにいろいろなことを話せる関係の中で、治療に必要なことが出てくるかもしれない。しっかりもっと聞けば、より良い治療方針につながるかもしれません。

医療は患者さんのためのものです。患者さんのためになることを考えるのが医療人です。治療には様々な方法があって、医師は間違っても、自分の得意分野だけを提案したり推薦したりするのは間違いです。患者さんにとって、ベストな方法を考え続けることが医師の本分であると思います。

地域医療支援病院としての三井記念病院の役割

当院は、三井家の総代三井八郎右衛門が私財を投じて「三井慈善病院」を1909年に開院したことがはじまりです。長い歴史の中で1970年には「三井記念病院」として新たなスタートをきりました。「三井慈善病院」として、地域住民を支えるという開院当初の基本理念は、社会福祉法人となった今でも継承されています。

現在の三井記念病院の特徴のひとつに、循環器があります。

「心臓大動脈センター」を設置し、循環器の治療は国内でもトップクラスで、先端の治療法である「TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)」は2013年に導入しています。

これは、大動脈弁狭窄症の患者さんの硬くなった心臓の弁を人工弁に取り替えるための治療法で、カテーテルを活用し開胸せずに人工弁に置き換える方法です。

処置は1時間足らずで終わること、入院期間も4日程と短く、患者さんとご家族の負担も少なく、近年、処置数が増えています。

また、当院は「東京都CCUネットワーク」に加盟しています。このネットワークは、大動脈解離や心筋梗塞など、命に関わる急性大動脈疾患の患者さんを、速やかに救急搬送するための組織です。

急性大動脈疾患の治療は一刻を争いますから、救急車から直接CCUネットワークの本部に連絡が入り、登録している病院にすぐに運び込める体制を整えていて、当院では、24時間体制で受け入れを行っています。

地域医療支援病院としての役割として、地域の診療所の先生方と連携して患者さんを診ることが大切です。救急や手術が必要な患者さんは当院で診ますが、症状が安定し、自宅や施設に帰った後は、地域のかかりつけの先生に診てもらう「病診連携」を推進しています。

また、診療所のかかりつけ医が重大な病気の治療や検査が必要であれば、当院へ紹介いただき、治療や手術、検査を行います。

地域の医療機関で役割分担をすることで、よりスムーズに治療に取り組むための仕組みですので、患者さんにもご理解いただき、ご協力をお願いします。

当院は「地域医療支援病院」として、地域医療の質向上に取り組んでまいります。地域の医療機関との連携を強化し、患者さんと「ともに生きる」ために、努力を重ねていきます。