調理法で変化するタマネギの栄養効果
この記事の監修者
野菜ソムリエ上級プロ・栄養士・アスリートフードマイスター立原瑞穂 先生
タマネギの栄養については、実にさまざまな研究がされています。
今回は、タマネギの調理法によって栄養や効果に変化が起こる、ちょっと面白い話をご紹介します。
タマネギに含まれる成分
タマネギに含まれる有効成分は、皮の部分や可食部分に含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」と、タマネギのにおい成分である「プロピルアリルジスルフィド」、「サイクロアイリン」などの硫黄化合物の2種類に大別されます。
これらの成分には、血糖や血圧を下げたり、血液の流れをよくする働きなどが分かっており、研究が進められています。
加熱することで効能が変わる?
タマネギに含まれる硫化プロピルという成分は、生のままタマネギを食べることによって、血液中に含まれる糖の代謝を促進し、血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。
しかし、時間の経過と共にタマネギが酸化したり、加熱調理された場合には、硫化プロピルはトリスルフィドという物質へと変化していきます。
トリスルフィドは、肥満や生活習慣病の原因にもなるコレステロールや中性脂肪値を低下させる作用があり、さらに長時間の加熱調理をすることで、セパエンという物質に変わります。
セパエンは、基本的にはトリスルフィドと同じ効果ですが、長時間の加熱によって成分が凝縮されているため、効率的な摂取が可能となります。
トリスルフィド、セパエンのいずれも血液をサラサラにする働きもあります。
加熱調理で味と匂いの変化も
また、タマネギの匂い成分である硫化アリルは、ビタミンB1の吸収率をアップしたり、肉や魚などの臭みを消す働きがありますが、加熱するとその働きが失われてしまいやすいという特徴があります。
硫化アリルの成分をより多く摂取したい場合は、生のままで食べると効率的です。逆に、加熱することによってタマネギに含まれている糖分が凝縮され、プロピルメルカプタンという成分に変化し、甘味が強くなります。
さらにうま味成分のグルタミン酸も出てきますので、味の追求をしたい方は、あえて加熱調理をするのもオススメです。
このようにタマネギは、自分が取り入れたい効能に合わせた調理法ができる優秀食材なのです。