季節問わず料理に欠かせない食材「きのこ」。きのこには様々な種類があり、風味や触感などを活かしたメニューも多く見られます。美味しさもさることながら、優れた栄養価をもつきのこは、みなさんの健康のサポートにもうってつけ。
この記事では、しいたけ・しめじ・舞茸・エリンギといった食用きのこに着目し、知っておきたい栄養について解説していきます。
水分を多く含有し、脂質の低いきのこは、カロリーの低い健康食として知られています。一般的に、栄養を摂ろうとするとそれに準じてカロリーも増えがちですが、きのこならカロリーを抑えながら栄養を摂ることができそうです。
きのこには、野菜を上回る豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維といえば、便通を良くするといった整腸作用があるだけでなく、血糖値上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を下げたりする効果も。
食物繊維は生活習慣病の予防につながるにもかかわらず、多くの日本人に不足しがちな成分であるため、積極的に摂取するようにしましょう。
きのこには、食物繊維の一種であるβグルカンも豊富に含まれています。βグルカンは免疫力の強化にも効果があり、体内で発生したがん細胞や、外から入った細菌、ウイルスからからだを守るためにも欠かせません。
成長期の子どもや、アクティブシニアにとって、カルシウムは欠かすことができません。しかし、カルシウムはからだになかなか吸収されにくく、意識的に取り入れても効果が現れにくいと言われています。そんな時に、きのこに豊富に含まれるビタミンDが役に立つでしょう。
カルシウムと一緒にビタミンDを摂ることで、腸からカルシウムを吸収しやすくなります。ビタミンDは特に舞茸やキクラゲに多く含まれているので、用途に応じて選ぶのもおすすめです。
きのこにはビタミンB群もたくさん。たとえばビタミンB1は糖質の代謝を促進。ダイエットの際にも欠かせない栄養素と言えるかもしれません。
また、ビタミンB2は脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜を正常に保ちます。ターンオーバーが乱れて肌がくすみがちな人や、肌荒れが多い人はぜひ注目を。
さらに、きのこに含まれるビタミンB6は、タンパク質を筋肉につくりかえるために必要とされる栄養素。肉や魚ときのこを組み合わせた料理は、筋肉をつくる上で効果的と言えます。
ビタミンB群の一種である葉酸は、核酸やタンパク質の合成を促し、細胞の生産や再生を助けます。胎児の成長に大切な栄養素であることから、妊娠を望む方や妊婦さんは積極的に摂取するとよいでしょう。多くのきのこに葉酸は含まれていますが、より効率的に摂り入れるなら、えのきやなめこを選んでみてくださいね。
なお、葉酸は赤血球の生成にもかかわり、「造血のビタミン」と呼ばれることも。赤血球は体内の隅々まで酸素を運ぶ役割をもつため、老若男女問わず葉酸の摂取は必要でしょう。
皮膚や内臓、血管、筋肉の元となるタンパク質は、アミノ酸で構成されています。つまり、呼吸したり、歩いたり、食べたり、消化したりといった生命活動ができているは、アミノ酸のおかげと言っても過言ではありません。そんな元気の源ともいえるアミノ酸は、椎茸やエリンギ、ヒラタケなどに多く含まれています。
きのこの豊富な栄養素をしっかりと摂るために、調理方法にもひと工夫をしてみましょう。
食物繊維を効率よく摂るなら、あまり細かく刻みすぎず、大きめに、きのこの繊維にそって割いていくのがベスト。
また、先ほど挙げたビタミンDは、脂に溶けやすい栄養素であるため、炒め物の料理などにすれば効率よく吸収することができます。
一方のビタミンB群は水に溶けやすい性質のため、蒸し焼きやホイル焼きにした際は、流れ出た水分も一緒にいただくようにするとよいでしょう。
じつはきのこは、乾燥させると栄養成分が変化することで知られています。シイタケを乾燥させるとビタミンDがアップ。また舞茸はミネラルがアップします。きのこが重ならないようにざるに並べ、天気のいい日に干してみましょう。電子レンジを併用することで、単時間で乾燥させることが可能です。
このように、きのこは味や食感、風味もいろいろ楽しめるだけでなく、低カロリーかつ栄養価が高い万能食材。他の食材との組み合わせや調理の工夫で、その栄養を効率よく摂取できますので、ぜひ試してみてくださいね。