インタビュー香川県
抗肥満効果が認められたレアシュガー
(スキンケア大学) 近頃、飲料やスイーツなどで希少糖を使った製品をよく見かけるようになりましたが、希少糖とはどのようなものかお伺いしてもよろしいでしょうか。
(佐々原) まず希少糖は、「天然にその存在が極めて希である単糖(糖の最小単位)とその誘導体」と国際希少糖学会で定義されています。
糖の種類は、単糖が2個つながると二糖(代表的なものでは砂糖(ブドウ糖と果糖)、乳糖(D-ガラクトースとブドウ糖)など)、3~10数個つながるとオリゴ糖、さらに長くつながると多糖と呼ばれるものがあり、多糖にはブドウ糖からできているデンプンや、植物の組織をつくるセルロースなどがあります。
天然に存在する単糖(天然型単糖)の多くは形を変え、多糖として天然に存在しています。生きていくためのエネルギーとなるデンプンも、植物の組織を作る上で必要なセルロースも、ブドウ糖が元となっており、天然にもっとも存在量が多い単糖と言えます。勿論、ブドウ糖や果糖は果物やハチミツなどの中に単糖の形でも存在します。
このような天然型単糖に対して、極めて存在量の少ないものを「希少糖」と呼んでいます。希少糖の種類が50種類以上も存在するのに対して、ブドウ糖や果糖などの天然型単糖は、数種類存在しているにすぎません。
例えば、キシリトールやエリスリトールはガムやキャンディーなどに使用されているのでご存じかと思いますが、これらは天然にはほとんど存在しないため、希少糖に分類されています。
(スキンケア大学) 希少糖は「レアシュガー」とも呼ばれ、太らない砂糖のようにも言われていますが、実際にはどのような効能があるのでしょうか。
(佐々原) 現在、市販されている商品は希少糖含有シロップ(商品名:レアシュガースウィート)です。
希少糖含有シロップは、トウモロコシデンプンが原料となっています。これを糖化してブドウ糖にし、まずは酵素によって半分くらいを果糖へと変えます。これは「果糖・ブドウ糖溶糖(異性化糖)」と呼ばれ、清涼飲料水や氷菓に広く利用されています。
そしてこの「果糖・ブドウ糖液糖」を原料とし、アルカリ異性化することによって、果糖の一部を希少糖に変化させたものが「希少糖含有シロップ」になります。希少糖含有シロップには、D-プシコース6%(※1)、D-アロース1%(※2)、その他の希少糖を含め15%程度の希少糖を含んでいます。
ただし、希少糖を15%程度含んでいるものの、主な成分はブドウ糖・果糖となるためカロリーがあります。ところがこのシロップには抗肥満効果が認められています。
このシロップを糖質として30g(シロップとして40g)を一日一回、朝食にゼリー飲料の形て摂取した試験では、被験者の体重の減少、体脂肪率の減少が確認されています。
「食後の血糖値上昇を抑制する」という機能性について、特定保健用食品の表示許可申請を行いました。その作用機序(メカニズム)も解明されています。
また、内臓脂肪の蓄積を抑える効果も確認され、その作用機序の解明も進展していますので、いずれWトクホの甘味料として世にでることでしょう。
それと同時に、D-プシコースの体内での動きや臓器への蓄積についても研究されています。最終的には体外へ大半が排出されることも分かり、カロリーはほぼゼロになると言ってもよいでしょう。
香川の産学官連携による高い技術
(スキンケア大学) 香川県としてなぜ取り組むことになったのでしょうか。
(佐々原) もともと希少糖は、「落ちこぼれ」とも言える存在でした。
ブドウ糖のような天然に多量に存在する糖は、その昔に研究がなされ、微生物やヒトにおける代謝経路などの詳細が分かっています。一方で希少糖は存在量が極めて少ないことから、研究しようにもできませんでした。
何より、単糖のような単純な構造の化合物が生理機能を有することなど、世界中の研究者の誰もが想像できなかったことも事実なのです。
しかし、その見向きもされない希少糖の生産について香川大学の何森(いずもり)先生が研究を続けていました。その研究のなかで新たに酵素を発見したことによって、天然で多量に存在する果糖(D-フルクトース)から希少糖のひとつであるD-プシコースが大量生産されました。そしてこの酵素の発見こそ、希少糖生産戦略図「IZUMORING(※3)」の構築につながったのです。
香川県では、香川大学を中心に産学官連携のもと、大量生産された希少糖D-プシコースやD-アロースの機能性が検討され、様々な機能性を有していることを実証して参りました。そして、希少糖含有シロップが開発され、同シロップを製造する松谷化学工業(株)番の州工場も県内に竣工しました。
こうして香川発の「希少糖」を核とし、県産業の永続的な成長を促すためにも、香川県として「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトを推進しております。
身近な商品への広がり
(スキンケア大学) 様々な可能性が期待される中、今後はどのような分野での開発が予定されていますか?
(佐々原) まずは食品、医薬品、農薬などでの研究開発が進んでおります。
食品では現在、希少糖含有シロップを用いた商品が多数、販売されています。ローソン、サークルKサンクス、ミニストップなど、コンビニのスイーツへ利用されていますので、一度はご試食されたかも知れません。
今後は、D-プシコースにトクホの表示許可がされ次第、販売予定の商品もありますし、健康食品、トクホ商品の開発がさらに広がることを願っています。
次に医療品の開発として注目したいのが、強い抗酸化作用をもつD-アロースの大量生産が可能になったことです。抗酸化作用によって、高血圧や動脈硬化の予防、臓器の虚血からの保護作用(移植用輸液への利用など)、アルツハイマー病などの神経性疾患の進行抑制、老化防止(寿命の延長)などの効果が認められています。また抗がん作用や骨粗鬆症の改善効果も認められています。
最後にD-タガトースやD-プシコースには、植物に対する生育抑制効果や病虫害耐性の増強効果なども明確となっていますので、農薬等への利用研究も進展している分野となります。
(スキンケア大学) 希少糖に食品以外での活用も期待されているとは知りませんでした。今後も注目していきたいと思います。最後に、女性のみなさまへメッセージをお願いします。
(佐々原) 現在、商品化されている希少糖含有シロップには抗肥満効果が確認されています。D-プシコースはトクホ商品としての申請もしています。D-プシコースのトクホ表示許可がなされれば、「食後血糖値の上昇を穏やかにする」という、機能性表示も可能となります。
しかしながら希少糖はあくまで食品です。医薬品ではないことを認識ください。
希少糖は、肥満や糖尿病など生活習慣病の予防には効果が期待できるかもしれません。それは、今後の香川県における糖尿病受療率に注目していただければ、自ずとわかることでしょう。
希少糖含有シロップや希少糖D-プシコース、D-アロースを砂糖や味醂の代わりに使用したり、また今後も希少糖を用いた商品が皆さんの生活の中に広く浸透することは、糖尿病をはじめとする生活習慣病の克服、そして健康でいつまでも若々しく元気に生活できる社会を実現することにつながります。
それが希少糖の生まれた香川県の願いです。
【※1 D-プシコース】
トウモロコシデンプンを糖化してブドウ糖にしてから、異性化酵素(グルコースイソメラーゼ)によって半分くらいを果糖へ変えます。この中の果糖を更にD-プシコース3-エピメラーゼという酵素によりD-プシコースへ変化させます。
【※2 D-アロース】
D-アロースは、D-プシコースからL-ラムノースイソメラーゼの作用により生産されます。
【※3 IZUMORING】
希少糖を分子構造で分類し、ある糖から別の糖にするための酵素反応の経路を図式化したもの。
香川県 企業情報
多くの人々の夢や希望をのせて進む、香川の希少糖プロジェクト。食品、医療、農業など、様々な分野で、無限の可能性が広がっています。これまで進めてきた産学官連携による成果を活かして、研究開発から生産、販売に至るまでの総合的な取組みを推進することにより、県内に「希少糖クラスター」を形成するとともに、世界に通じる「香川の希少糖」ブランドを確立し、本県における希少糖産業を「希少糖といえば香川、香川といえば希少糖」と呼ばれる一大産業へと成長させます。
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