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アトピーがかゆい原因とかゆみ止め対策
アトピー性皮膚炎の方にとって一番つらいのは、なんといっても皮膚の「かゆみ」です。そもそも、なぜアトピー性皮膚炎ではかゆみが出るのでしょうか。また、どのように対策をすればよいのでしょうか。ドクター監修のもと解説します。
「アトピー」と略されることもあるアトピー性皮膚炎。アトピーにかかっている方にとって一番つらいのは、なんといっても皮膚の「かゆみ」です。アトピーの症状がなかなか改善されないのは、かゆみに耐えられず皮膚をかきむしってしまい、肌あれ状態が続いてしまうことが大きな原因なのです。
なぜ、アトピーは強烈なかゆみを引き起こしてしまうのでしょうか。
アトピーのかゆみの原因
アトピー性皮膚炎ではない方からすれば「かゆみはガマンできないのか?」と思うかもしれません。しかし、アトピーのかゆみは眠れないほどの強烈なもので、無意識にかいてしまうことも多々あります。また、かゆさが気になって勉強や仕事に集中できなくなったり、睡眠も浅くなってしまったりとさまざまなストレスを引き起こします。では、このかゆみは何が原因となっているのでしょうか。
そもそも、私たち人間の体は「かゆみ」を感じるようにできています。これは、生きていくうえで必要な感覚のひとつで、肌に異物が付着したときに、はらいのけようとする反応であるといわれています。また、鼻に異物が入ったときにくしゃみが出てしまうのも同じ反応です。アトピーの場合、そのような反応が過剰に出てしまっている状態と考えることができます。
かゆみが増すときとは?
アトピーのかゆみが増すときとして、以下のことがあげられます。
- 肌が乾燥しているとき
- 身体が温まっているとき
- 日焼けしたとき
- アトピーの治療を急にやめたとき
- 体力が落ちているとき
- 強いストレスを感じたとき
- アレルゲンに接触したとき
上記で特に起こりやすい1.~4.について解説します。
乾燥がかゆみを増幅させる
アトピー性皮膚炎をケアに必要なのは、肌にしっかり水分を与えることです。角質層と呼ばれる皮膚の一番上にあたる部分が乾燥してしまうと、かゆみの原因が増幅してしまいます。これは、かゆみを知覚するC線維と呼ばれる神経線維の影響によるものです。
神経線維の終末は、健常な皮膚では表皮と真皮の境界部にあるのですが、角質層の乾燥により、神経線維が真皮層から角質層のある表皮へ侵入し、ちょっとした刺激でかゆみを感じやすくなってしまうのです。
この神経線維は、角質層に十分なうるおいを与えることで真皮層内に戻っていくので、角質層への保水を意識したスキンケアを、継続して行うことが大切です。
身体が温まっているとかゆみが出やすい
アトピーの治療では、皮膚を清潔に保つことが基本です。そのため、入浴やシャワーは重要です。しかし、入浴やシャワーで身体が温まると、かゆみが出やすくなります。そのため、入浴は身体が温まりすぎないよう短時間で済ませるのがよいでしょう。
日焼けするとかゆみが出やすい
アトピー患者の肌は、バリア機能が弱くなり外部からの刺激に敏感です。紫外線なども肌に直接当たるとよくないとされています。日焼け止め自体が肌の負担になるとも考えられるため、かゆみのあるときは肌に合った刺激の少ない日焼け止めを選びましょう。
アトピーの治療を急にやめるとかゆみが増す
アトピーの治療を急にやめたときにもかゆみが出やすいため、注意が必要です。通常、アトピーの治療ではステロイドの塗り薬を使用して炎症の改善を図ります。炎症が治まってきたからといってすぐにステロイドの塗り薬をやめると、かゆみがぶり返すことがあるのです。そのため、皮膚科専門医の診療のもと、通常はより弱いステロイド剤に変更したり、塗る回数を減らしたりというように治療を進めることが大切です。自己判断による治療の中止は控えましょう。
かくほどにかゆみを増すアトピー
かゆみを感じる部分を手でかくのは、痛みを与えることでかゆみを抑えようとする行為です。しかし、アトピーの場合はかくことで与えた刺激や痛みがかゆみに変わってしまい、余計にかゆみを増幅させてしまうのです。
蕁麻疹(じんましん)などが引き起こすかゆみは、抗ヒスタミン剤をはじめとするかゆみ止めが効果的ですが、アトピーには効果がない場合があります。最近わかってきた原因としては、かゆみを引き起こす物質であるヒスタミン以外の物質が関係しているということです。
まだまだわからないことが多いアトピー性皮膚炎。強烈なかゆみで、思わずかいてしまうのもアトピー性皮膚炎の特徴ですが、かかないようにすることがアトピー改善のポイントになります。しっかりと病院で治療を受けつつ、どうしてもかゆいときにどうすればよいか、かかりつけ医にアドバイスをもらうのもよいでしょう。
アトピーのかゆみを止める薬
アトピーの治療は以下の3つが柱となりますが、中でも薬物療法が特に重要です。
- 薬物療法
- スキンケア
- 悪化要因を探して対策すること
ここでは、薬物療法で使用される塗り薬と飲み薬について解説します。
塗り薬
アトピーの治療で使用される塗り薬は、主に3種類です。
- ステロイド外用薬
- カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)
- 非ステロイド系消炎外用薬
いずれも炎症やかゆみをおさえるための塗り薬です。ステロイド外用薬による治療が基本となりますが、ステロイドの副作用が出やすい顔にはタクロリムス軟膏が使用されることがあります。非ステロイド系の塗り薬も選択肢としてはありますが、単独では使用期間が長期にわたり、かぶれやすい傾向にあります。
アトピーの炎症は確実かつ素早く落ち着かせるのが大切になってきます。そのため、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を使用することが多くなります。
飲み薬
アトピーの飲み薬として使用されるのは、かゆみを抑える作用のある抗ヒスタミン薬です。
アトピー治療において一番重要なのは塗り薬で皮膚の炎症やかゆみを鎮静化することですが、その助けとして抗ヒスタミン薬の内服が行われます。ただし、すべてのアトピー患者に抗ヒスタミン薬が効果を発揮するわけではありません。
保湿剤
アトピーの治療においてはスキンケアも大切と述べましたが、そのスキンケアで大切な役割を果たすのが保湿剤です。アトピー肌の場合、使用する保湿剤は大きく2つのタイプに分かれます。
- 肌の水分を保持する保湿剤
- アトピー患者の肌は水分を保持する力が弱く、水分量も低下しています。そのため、水分を保持する役割を持った保湿剤で保湿します。
- 肌の表面をコーティングする保湿剤
- バリア機能の低下した肌の表面に留まり、肌を保護する役割のある保湿剤です。主にワセリンがこのタイプの保湿剤になります。
アトピーのかゆみ止め対策
アトピーは薬を用いた治療や保湿によるスキンケアが中心になります。しかし、どうしてもかゆいとき、治療とあわせて行えるセルフケアのポイントが3つあります。
皮膚を清潔に保つスキンケア
皮膚を保湿するとともに清潔に保つことは、皮膚への刺激を少なくし、かゆみを少なくするために必要なケアです。以下のことに注意してみてください。
- 汗や汚れはすぐ洗い流す
- 爪を短く切る
- 皮膚を刺激しにくく肌触りのよい服を選ぶ
- 毎日入浴し、皮膚への刺激が少ない石けんで洗う
- 入浴後には保湿ケアを行う
なお、入浴時に体が温まりすぎるとかゆみが増すこともあります。そのため、熱いお湯で温まりすぎないよう長時間の入浴は避けたほうがよいでしょう。
ストレスをためないこと
アトピー患者はスキンケアや悪化要因への対策など気を配ることが多く、それがストレスになる場合もあります。集中できる趣味を見つけたり、自分がストレス解消できる方法を見つけるのもアトピーのかゆみ対策にはおすすめです。
バランスのよい食事
皮膚の材料となるタンパク質や、正常な新陳代謝を支えるビタミンやミネラルといった物質をバランスよく摂取する食事を心がけましょう。また、ヨーグルトや納豆、キムチといった発酵食品や食物繊維を積極的にとり、腸内環境を改善することもアトピー改善によいといわれています。
反対に、アルコールや刺激物、砂糖、脂質のとりすぎには注意が必要です。お菓子や清涼飲料水、ファストフードを多く食べたときにかゆみが出るといった経験のある方は、特に量を控えめにすることをおすすめします。
まとめ
アトピー性皮膚炎のつらいかゆみは、肌の乾燥や日焼けなど、さまざまな要因で増すことがあります。ついつい我慢できず掻いてしまうことも多いかと思いますが、できれば我慢してほしいところです。
かかりつけ医と相談しながら治療を行いつつ、日常生活でも気をつけられるポイントはおさえてみてください。
- 爪を短く切っておく
- 毎日お風呂に入る
- 保湿ケアを行う
- ストレスを発散する
- 食事のバランスを整える
塗り薬などによる治療とスキンケア、アトピーの症状が悪化する要因を避けることなどとあわせて、上記のようなポイントに気をつけてアトピーと付き合いましょう。
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