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便秘に伴う吐き気症状の原因|病気の危険と対策方法

更新日:2017.11.17
公開日:2017.01.19
ドクター画像
この記事の監修者
ただともひろ胃腸科肛門科 院長 多田智裕

便秘と吐き気は無関係ではありません。自律神経の乱れによる併発もよくありますが、命に関わる重大な病気の場合もあるので注意が必要です。吐き気をともなう便秘への対処法について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

自律神経の乱れや、心因性の便秘で吐き気をともなう症状はそれほど珍しくありません。しかし、便秘と吐き気の症状が長く続く場合や、嘔吐(おうと)の症状が激しい場合は重大な病気の可能性があるので、ただちに病院で検査を受けましょう。

便秘症状が原因で起こる吐き気

排泄時には直接的な医学的根拠は見受けられないものの、自律神経が関与していると考えられています。便秘が起こることで腸の動きが弱まったり、ストレスが原因で自律神経の乱れが起こったりすることで、吐き気の症状が現れると考えられています。

器質性便秘による吐き気

吐き気をともなう便秘でもっとも注意しなければならないのは、器質性便秘が疑われる場合です。器質性便秘は重大な内臓の病気によって便通が妨げられている便秘です。具体的には腸閉塞を起こして腸がつまっていたり、腸捻転で腸がねじれていたりすることもあります。この場合、ただちに診察を受けなければなりません。

器質性便秘では、便秘にともなう吐き気以外にも、激しい腹痛、発熱などの症状が現れることもあり、その場合は特に注意が必要です。大腸がん、腹部手術後の腸管癒着、子宮筋腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)など婦人科の病気も、器質性便秘の原因になることがあるとされています。

痙攣性便秘、過敏性腸症候群による吐き気

数日間ずつ下痢と便秘をくり返した経緯があり、吐き気や腹部の張りなどの症状が見られる場合は、痙攣性便秘、あるいは過敏性腸症候群の便秘型である可能性があります。痙攣性便秘や過敏性腸症候群は、自律神経の乱れが原因で交感神経と副交感神経のバランスがとれなくなる病気です。自律神経が乱れると、以下のような症状が全身に現れる可能性があります。

・頭痛、不眠、倦怠感、めまい、微熱・発汗、嘔吐、息切れ・咳・呼吸困難など

・肩こり、動悸、左胸の痛み・不整脈、背中の痛み、腰痛、月経不順・月経痛

・下痢・便秘、手足の冷え・しびれなど

その他、突然起こる便秘と吐き気

風邪(かぜ)のウイルスによって吐き気が生じており、その結果、自律神経の乱れを起こして便秘を併発している場合が考えられます。まずは風邪の治療が必要なので、早めに診察を受ける必要があります。また、なんらかの環境変化によるストレスから便秘と吐き気が併発している場合も考えられます。女性の月経前症候群における、便秘と吐き気の症状が現れているという場合もあるでしょう。

ホルモンにも影響する抗がん剤による便秘

抗がん剤は、自律神経や末梢神経、ホルモンにも影響するので、腸が正常な運動を妨げられて便秘を起こすことがあります。また、抗がん剤の治療による副作用や、がんそのものの症状である吐き気を抑える薬によって便秘を起こすこともあります。化学療法によって起こる便秘は一時的なもので、治療後は解消されることが多いとされています。

便秘の解消・対処法

排便を促す対処としては、以下の方法があります。

・医師からの飲水制限がない限り、1日にコップ7~8杯ほど水分補給を行う

・起床時など空腹時に、冷水や牛乳を飲む

・腹部を温める、または入浴

・規則的な排便習慣を作る

・便意を我慢しない

・食物繊維の豊富な野菜や果物をとる

上記を試みたにもかかわらず排便が改善されず、便秘で苦しいようであれば、内科または胃腸科を受診しましょう。また、受診までの間に市販の便秘薬を飲む場合には、薬局で薬剤師に相談してから飲むようにしてください。

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