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肌の保湿とは?乾燥肌におすすめの化粧品成分とスキンケア対策|正しい保湿の仕方

更新日:2018.02.02
公開日:2013.02.20
ドクター画像
この記事の監修者
銀座ケイスキンクリニック 院長 慶田朋子

美しい肌の条件に「うるおい」は欠かせませんが、やみくもに高価なクリームや美容液を使っても効果は上げられません。正しいスキンケアを行うには、肌の保湿の仕組みを知ることも大切です。肌の保湿について、ドクター監修のもと解説します。

美肌の条件として必ずと言っていいほどあげられるのが、肌にうるおいがあることです。では、うるおいのある保湿された肌をキープするには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。また、うるおいのある肌をキープするために適切なスキンケアは、どのようなものなのでしょうか。

まずは肌の保湿の仕組みを知り、そこから適切なスキンケアアイテムの選び方や保湿方法をご紹介します。

肌の保湿とは?保湿の本当の意味について

十分に保湿された肌とは、以下の条件を満たした肌のことと考えられます。

  • 保湿成分によって十分な量の水分が肌の中にたくわえられている
  • 適切な量の油分で水分の蒸発が防がれている

理想的な肌とは、化粧水やクリームといったスキンケアアイテムを使わずとも、このような保湿された肌の条件を満たしている肌と考えられます。肌は本来、このような保湿能力を持っています。しかし、それは年齢や肌質、健康状態、ストレスや栄養バランスなどさまざまな要因の上に成り立っており、崩れやすいものでもあります。

では、肌のうるおいはどのような仕組みで守られているのでしょうか。次は、肌のうるおいを守る角質層のしくみを見てみましょう。

肌の潤いは角質層で守られている

角質層はわずか約0.02mm(食品包装用透明ラップと同程度)の厚さのなかで、角質細胞がブロックのように10~20層積み重なり、外部からの水分の侵入を防ぎ、同時に内部の水分の蒸発を防ぐという役割を担っています。手のひらや足の裏などでは角層がとても厚く物理的な刺激に強くなっています。

肌はバリア機能によって異物などをはじいている

たとえば、お風呂に入ったときに、水が肌の中に入っていかないのはなぜでしょう。肌には外部からの異物の侵入をはばむバリア機能が備わっており、細胞同士を強固に密着させることで、水や異物が肌の中に入り込むのを防いでいます。ですから、肌の外側から化粧水などで水分のみを補給しても、角質層深部に入り込むことはなくそのままにしておくと蒸発してしまいます。この時、角質層に含まれる水分を奪っていくので過乾燥となることもあります。

肌はバリア機能で水や異物をはじいています

図1 肌はバリア機能で水や異物をはじいています

肌を保湿するメカニズム

硬いケラチンタンパク質でできている角質細胞ですが、人の肌を触ると柔らかく感じるのは、角質層に約30%の水分が含まれているからです。このように十分な水分を含んでこそ、肌のハリ、なめらかさ、柔らかさを維持することができます。

皮膚の潤いを維持する3つの保湿因子

一般に、皮膚のうるおい(水分量)は皮脂膜(ひしまく)、天然保湿因子(てんねんほしついんし)、角質細胞間脂質(かくしつさいぼうかんししつ)という3つの物質によって一定に保たれています。角質層に保持されている水分のうち2~3%を皮脂膜が、17~18%を天然保湿因子、残りの約80%は、セラミドという角質細胞間脂質によって保たれています。

加齢やお風呂の入り方、暖房などが乾燥の原因に

ところが、これら3つの保湿因子が加齢や誤ったスキンケアなどの原因で減ってしまうと、角質層の水分も減少し、皮膚がひどく乾燥した皮脂欠乏症になってしまいます。

また、熱い湯に長くつかる、脱脂力の強いボディソープで体を洗う、ごしごしこするなどの行為は、皮脂と角質細胞間脂質が流れ出してしまうため、肌は乾燥します。さらに、外気や室内の乾燥も影響します。

たとえば空気中の湿度が50%以下になると、角質層の水分が急激に蒸発しやすくなります。肌のつっぱりを感じた時には、すでに肌の水分量が10%以下になっていることもあり、肌は外部の環境に非常に影響されやすいという特徴があります。こういった生活習慣や暖房の入れすぎなども皮脂欠乏症になってしまう原因の1つと考えられています。

保湿因子の肌への働き

保湿因子の重要性を上記で述べましたが、次はそれぞれの保湿因子を詳しく見てみましょう。

皮脂膜は水分を維持する大切なフタ

汗と皮脂(皮脂腺から分泌される脂)が混ざり合ったもので、天然のクリームともいわれます。天然の油膜として肌の表面を覆うことで、水分の蒸発を防ぐとともに、摩擦抵抗を減らし、表面をなめらかにしています。また、皮脂膜に含まれる脂肪酸によって弱酸性を保ち、細菌の繁殖を防いでいます。

皮脂と汗などが混ざりあい皮膚膜となります

図2 皮脂と汗などが混ざりあい皮膚膜となります

皮脂の量と経皮水分蒸散量(TEWL)は、逆相関関係にあるために皮脂の量は多すぎても少なすぎてもいけません。皮脂の分泌が少ないと肌にザラつきやカサつきが出てバリアも弱まります。反対に皮脂の分泌が多すぎると肌が脂っぽくベタつきます。皮脂が刺激物質に変化することで、肌の炎症を招きニキビの要因にもなります。このように、皮脂膜が重要な機能を果たすためには、適度な皮脂の分泌が必要です。

水分を蓄えて保持する天然保湿因子(NMF)

天然保湿因子は、【Natural Moisturizing Factor】といい、頭文字をとってNMFと略されます。ケラチノサイト(角化細胞)が角化する過程でタンパク質から作り出されます。水分と結合する性質があり、アミノ酸、尿素、乳酸、塩基類などで構成されています。水分を吸着する性質が強く、角質細胞内で水分を抱え込み、柔軟性と弾力性のある角質層の性質を保つ役割を担っています。

天然保湿因子

図3 天然保湿因子

肌バリアとなる角質細胞間脂質

角質細胞と角質細胞間脂質の構造は、レンガとセメントに例えられます。角質細胞(レンガ)同士を角質細胞間脂質(セメント)が結びつき、その間に水の層をサンドイッチ状に挟み込むことで、内部の水分蒸発を抑え、外部の刺激から守るという役割があります。

角質細胞間脂質は水を抱える親水基と脂質としての性質を持つ親油基があります。水分層と脂質の層が交互に重なる形のため、脂質二重層状構造(ラメラ構造)となり、上の図のように水を挟み込んでいます。

水分層と脂質層が交互にあることで、まさに水も漏らさぬしなやかな防御壁になっているわけです。また比熱の高い水分層は、温冷刺激に対しても、優れた緩衝材となります。

この水と脂がきれいに並んだラメラ構造が崩れてしまうと、水分が抜けやすくなってしまいます。乾燥しやすい肌や敏感肌の方はラメラ構造を整えて保湿することがポイントです。

角質細胞間脂質はケラチノサイトの角化の過程で作られる脂質で、その成分はスフィンゴ脂質の仲間「セラミド類」が半分を占め、遊離脂肪酸、コレステロール、コレステロールエステルなど複数の脂質で組成されています。

セラミドには6つのタイプがあります。保湿に関係あるのはタイプ2とタイプ1で、タイプ2のセラミドは水分を保持する役割を担っています。角質層の特徴の1つバリアとしての働きをしていると考えられているタイプ1のセラミドは、必須脂肪酸のリノール酸が含まれています。リノール酸を除去した食事を与えられた動物実験では、リノール酸の代わりに非必須脂肪酸がセラミドに組み込まれることで、著しいバリア障害を引き起こすと報告されています。

ただ、コレステロールを増やさないことでも話題になったリノール酸(植物油・ゴマ・クルミ・高野豆腐などに多く含まれる)ですが、摂取しすぎると、善玉コレステロールを低下させ、動脈硬化を引き起こすことが最近報告されていますので、青魚に含まれるEPA、DHAなどのオメガ3の脂もバランスよく摂取する必要がありそうです。

オメガ3は健康だけでなく、美容にも大事な成分です

図4 オメガ3は健康だけでなく、美容にも大事な成分です

セラミドは、基底細胞のケラチノサイトのスフィンゴシンが素となっています。基底層(きていそう)から有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、角質層(かくしつそう)までの角化の過程でスフィンゴシンは代謝をくりかえし、角質層でセラミドとなります。これをセラミド代謝と言います。

アトピー性皮膚炎の方は、このセラミド代謝が正常に機能せず、正常の3分の1程度のセラミド量しかありません。この事が原因で角質層のバリア機能が低下することが、アトピー性皮膚炎発症の重要な因子となっていることが解っています。

このように、角質細胞内でNMFが水分と結合し、角質細胞間脂質がしっかりと水分を抱き込むことで角質の水分は保たれているのです。さらにその上にある皮脂膜が肌の表面を覆い、水分が蒸発するのを防ぐフタの役割をしています。この様な柔らかく、はかなげな成分で作られた構造に、肌の持つしなやかな強さと、美しさの秘密が隠されているのです。

ニキビ予防にも保湿が重要

ニキビもバリア障害が原因だということを、ご存知ですか?ニキビの始まりは「毛包漏斗部(毛穴の入り口)がつまること」ですが、ニキビの患者さんの肌を調べると、角層のセラミド量が低く、バリア機能が障害されていることが分かってきました。

毛穴がつまってしまうイメージ

図5 毛穴がつまってしまうイメージ

ニキビの原因はバリア機能がうまく働いていないこと

バリア機能が壊れると角質細胞からIL-αという情報を伝達する為のタンパク質であるサイトカインが放出され、それがきっかけとなりケラチノサイトを分裂させます。これは、角質層と表皮を厚くして体を守ろうとする代償反応です。毛包内に常在するアクネ桿菌は、皮脂成分のトリグリセリドを遊離脂肪(FFA)に変えます。

このFFAが角質細胞間脂質の合成過程に組み込まれると、オレイン酸を外用した時と同じように異常なラメラ構造ができ、セラミドなどの角質細胞間脂質の合成を抑制し、バリア障害を持続させます。さらに、角質細胞をはがれにくくするので毛穴がつまるのです。

毛穴がつまると、アクネ桿菌は好脂性(脂が大好き)のため、溜まった皮脂により数が増え、好中球と好中球由来活性酸素(ROS)を増やし、炎症をもったニキビとなるのです。このため好中球由来ROSを減らす抗生剤がニキビに有効なことが分かってきています。

ニキビ改善は、毛穴のつまりを解消し保湿を

毛穴のつまりを解消し、皮膚のターンオーバーを整えるのでケミカルピーリングはニキビに有効です。しかし、意味のないアクネ桿菌の殺菌・消毒や過剰な洗顔はバリア機能をさらに悪化させ、肌の過乾燥を悪化させます。乾燥すると刺激から守るためにますます角質が厚くなり(過角化)、毛穴の入り口がふさがれ面皰(コメド)となり悪循環になります。

ここまで、肌が保湿された状態や、肌が乾燥することで起こる肌トラブルについてご紹介してきました。では、肌の保湿力が落ちているときなどに肌を守るには、どのようなアイテムを選び、どのように使えばよいのでしょうか。

次は、肌を保湿するための化粧品について解説します。

肌を保湿するおすすめの化粧品成分

化粧品で肌を保湿する場合、保水力の高い保湿成分を配合したものを選ぶことが大切です。このような成分は、肌の表面や角質層で水分を保持し、保湿してくれます。化粧水や美容液、クリームなどに含まれることの多い保湿成分には、以下のようなものがあります。

  • セラミド
  • スフィンゴ脂質
  • レシチン
  • ヒアルロン酸
  • エラスチン
  • コラーゲン

なお、このような保湿成分が含まれた基礎化粧品でも、アルコールが配合されているものは避けたほうがよいでしょう。アルコールが蒸発するときに肌の水分も一緒に奪ってしまうため、かえって肌が乾燥することがあります。

乾燥肌にしないスキンケア対策

保湿成分が配合された基礎化粧品を選ぶほか、肌の保湿をするには正しく使うことも大切です。

肌を乾燥から守る化粧水・美容液・クリームをつける順番

基礎化粧品は、水分をつけてから油分をつけます。つまり、

  1. 化粧水
  2. 美容液
  3. 乳液
  4. クリーム

の順で使用するのが基本です。もちろんすべてのアイテムを使用する必要はありませんが、クリームをつけてから化粧水をつけるなど順番を間違うと、せっかくの美容成分が肌に浸透しなかったりする可能性があります。

ただし、製品によってはこの順番に合わない使い方をするものもあります。たとえば、美容液の中には化粧水より前に使うことで化粧水の浸透力をアップさせるものもあります。アイテムによっては使い方が異なるため、使用説明書をよく読んで使うようにしましょう。

肌に潤いをもたらす化粧品の正しいつけ方

化粧水をつけるときにパシパシと肌を叩く方もいますが、このようなつけ方は肌を無駄に刺激するため避けたほうがよいでしょう。化粧水は、手やコットンに取ってから人肌に温め、じんわりと浸透させるイメージで肌にプレスするのが正解です。乳液やクリームも、ゴシゴシとこすって肌にすり込むのではなく、やさしくハンドプレスするのがおすすめです。

保湿を維持する正しい洗顔方法

顔を乾燥させない洗い方

まず、基本の洗顔は、洗い過ぎに注意しましょう。汗とホコリは、ぬるま湯で十分に落とせます。また、脂分の多い部分は洗顔料をしっかり泡立てて汚れをやさしく包み込むように洗います。

お化粧をしたときは、自分の肌に合うクレンジング剤をたっぷり使い、こすらずゆっくりと乳化させ、水またはぬるま湯でやさしく洗い流しましょう。

洗顔後の保湿の仕方

次に、化粧水で肌を整えます。アルコールが含まれ、保湿に有効な成分を含まない化粧水を高頻度に使用すると、水分が蒸発する際にかえって過乾燥を引き起こすことがあります。

化粧水で保水した後は、クリームなどの油分を含む化粧品を塗ってフタをする必要があります。バリア修復に役立つ成分が含まれているとなおよいでしょう。とくに、角質細胞間脂質の1つであるセラミド、あるいはそれに類似した保湿成分が配合されたクリームを塗ることをおすすめします。なぜなら、外用した脂質は角質層を通過し、顆粒層内で角質細胞間脂質の合成過程に組み込まれることが分かっているからです。

しかし、脂質なら何でもよいというわけではありません。脂質の種類(オレイン酸などのある種の不飽和脂肪酸)によっては、異常なラメラ構造(でき損ないのバリア)が作られてバリア障害を生じ、

  • 面皰形成(ニキビ)
  • 過角化
  • 表皮肥厚
  • 落屑異常

につながることがあります。「ノンコメドジェニック」というのはこのようなニキビ(コメド)を増やしにくい成分で作られているということです。

ラメラ構造と同様の構造と機能を持った微粒子(ラメラ構造脂質)が工業的に作られるなど、近年では保湿成分の開発もめざましいものがあります。

正しいスキンケアでバリア機能を高める

乾燥すると大切な角質のバリア機能が低下し、アレルギー反応が出やすくなることも分かっています。反対に、バリア機能を高めるスキンケアをすれば、抗原が表皮まで侵入しなくなるのでアレルギー反応を生じにくくすることもできるのです。信頼できる皮膚科医に相談しながら、その時々で肌の状態を見極め、うるおいのある状態に保つスキンケアをご自分で模索してみてください。

まとめ

美肌を目指すうえでは、肌が適切に保湿されていることが大切です。本来、肌には乾燥から肌を守り、保湿する能力が備わっています。しかし、本来の保湿能力がなんらかの理由で弱まると肌の乾燥を招きます。

肌が乾燥した状態は、ニキビなどの思わぬ肌トラブルを招きます。そのため、肌トラブルを避け、美肌を保つには保湿が大切になるのです。

化粧水やクリームなどの基礎化粧品で肌を保湿する場合、化粧品に含まれる成分と、それぞれのアイテムの使い方が肝心です。

  • 保湿効果を期待できる成分を配合した化粧品を選ぶこと
  • 基礎化粧品をつける順番を守ること
  • 基礎化粧品をつけるときはハンドプレスでやさしくつけること
  • 洗顔はたっぷりの泡でやさしく行うこと
  • クレンジングはこすらずゆっくり行うこと

肌に不要な刺激を与えず、保湿に効果的な成分をしっかり届けることでスキンケアによる保湿の効果が現れやすくなるでしょう。毎日のスキンケアのポイントをおさえ、うるおいのある美肌を目指しましょう。

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