産後は便秘になりやすい時期
妊娠中は、運動不足やホルモンバランスの変化、子宮増大による腸管圧迫により便秘になりやすくなります。出産によって便秘が解決することもありますが、産後も便秘が続くことも多いため注意が必要です。
産後の便秘の原因と対策
原因1:母乳によって水分が失われる
母乳は、母体内の水分から作られています。その結果、母乳のために水分がとられてしまい、便が硬くなり便秘になりやすいため水分を十分に摂りましょう。また、便の滑りが悪くなるという影響もあるので、便秘の大きな要因とされています。また、便は腸内に滞留している間にどんどん水分を失っていくため、水分不足状態が続いていると便秘も悪化する一方です。
解消するためには、奪われた水分を補う必要があります。一般的に、母乳は1日750mLほど作られるといわれています。出産後は育児により運度量も増えるため1日あたり、ふだんよりも1Lほど多く水分を摂取するとよいでしょう。
原因2:慌ただしさによる生活習慣の変化
育児では、お母さんは非常に多忙になります。そのため、生活習慣が変わり生活のリズムが不規則になりがちです。夜中の授乳などで睡眠のリズムもくずれ、自律神経を乱すことにつながります。自律神経の乱れは、便秘の大きな原因のひとつになります。家族に育児の支援をしていただき、その間にリラックスするなどして、気分転換をするとよいでしょう。
原因3:知らず知らずのうちに運動不足に
生活習慣の変化という点では、運動不足もあげられるでしょう。お母さんは、産後しばらくは、赤ちゃんから目を離すことができません。必然的に行動範囲も狭くなり、知らず知らずのうちに運動不足となってしまいます。妊娠中は運動をしないことが多く、出産後も運動不足が続くと、筋力はますます低下します。運動不足が続くと便秘を招きやすくなります。
運動不足解消には運動がいちばんです。しかし、赤ちゃんから目が離せないため、部屋の中でできるヨガやストレッチをおすすめします。このとき、便秘に効くストレッチもとり入れると、より高い効果に期待できるでしょう。
※便秘解消に効果的なストレッチは『便秘に効くストレッチ』の記事をご参照ください。
出産してどのくらいで運動を始めればいいのか
お母さんの状態にもよりますが、悪露(おろ)が落ち着く1か月頃から少しずつエクササイズやストレッチなどの運動をしてもよいとされています。産後6か月頃までは、身体が元に戻ろうとする機能が働きやすくなっているので、積極的にヨガやストレッチなどのエクササイズを行うとよいでしょう。
また、産褥(さんじょく)体操であれば、出産後から行っても問題ありません。産褥体操では、妊娠・出産で緩んだ筋力や体力の回復を行い、産後のシェイプアップにも期待できます。さらに、産後の尿失禁や便秘、腰痛などを予防できる場合もあるので、産科の担当医の指導のもと、無理のない範囲で行うようにしましょう。
出産時にいきみすぎた後遺症
産後に「うまくいきめなくなる」という症状が現れることがあります。これは妊娠中の運動不足による筋力低下だけでなく、肛門括約筋に問題がある可能性もあり、産後の女性には多く起こるといわれています。
肛門括約筋は、肛門を開閉する重要な筋肉です。出産時に、それまでの人生にはなかったほど強くいきむため肛門括約筋が傷つき、肛門を締める外肛門括約筋が損傷して便が漏れやすくなってしまうこともあるようです。このような場合は、主治医に相談しましょう。
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