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マリオネットラインに効果的な治療とマッサージ法

更新日:2017.11.20
公開日:2014.10.15
ドクター画像
この記事の監修者
六本木境クリニック 院長 境隆博

口角からあごに伸びる2本の線「マリオネットライン」を消す・解消する治療にはヒアルロン酸注入などがありますが、効果はどれほどあるのでしょう。ドクター監修のもと、マリオネットラインの治療に適した施術やそのリスクを解説します。

口の両脇から顎(あご)に向かって伸びる「マリオネットライン」は、加齢など肌のハリ・弾力が失われるとともにあらわれるものですが、若い人にも見られることがあります。ここではクリニックにおけるマリオネットラインの治療法とその効果やリスクなどを中心にご紹介します。また、マリオネットラインを未然に防ぐセルフケアとしてのマッサージや美顔器の効果などについても確認していきます。

マリオネットラインとは

マリオネットラインは、唇の両脇からあごに伸びる2本の線です。腹話術師が使う人形(マリオネット)の口の部分に似ていることから、このように呼ばれるようになりました。

鼻から口元の両脇にかけて伸びるほうれい線と重なり、二重ほうれい線などと呼ばれることもあります。ほうれい線もマリオネットラインも、見た目年齢を上げてしまう大きな要因とされています。

マリオネットラインができる原因

マリオネットラインができる過程には、以下のようにいくつかの要因があります。

  • 頬の脂肪の下垂
  • 「広頸筋」(こうけいきん)のたるみ
  • 「口角下制筋」(こうかくかせいきん)が硬くなる・縮む
頬の脂肪の下垂
頬の皮膚の下には、皮下脂肪や表情を作る表情筋、筋膜などが存在しています。ところが、表情筋や筋膜が衰えてしまうと、皮膚や脂肪の重みを支えきれなくなり、皮膚のたるみや脂肪の下垂を生じてしまいます。
「広頸筋」(こうけいきん)のたるみ
「広頸筋」(こうけいきん)とは、口元から下あご、首にかけて大きく広がる薄い膜のような筋肉です。この広頸筋が緩むと、つながっている頬の皮膚や脂肪までも引き下げてしまいます。
「口角下制筋」(こうかくかせいきん)が硬くなる・縮む
「口角下制筋」(こうかくかせいきん)とは、口を「へ」の字にしたときに口角を引き下げる筋肉です。年齢とともにこの口角下制筋が柔軟性を失い、硬く縮まってしまうことで口角が下がったままになってしまいます。

これらの要因が重なり、上図のように頬の脂肪が口角下制筋にかぶさることでマリオネットラインが出現します。つまり、マリオネットラインは単なるシワではなく、たるんだ頬の脂肪によってできた「溝(みぞ)」なのです。

マリオネットライン予防にはリンパマッサージが効果的

顔に蓄えられた脂肪は、頬をたるませてしまいます。脂肪の蓄積を防ぐためには、顔のリンパマッサージが効果的です。余分な水分や老廃物が排出されることで顔のむくみも取れて、頬が引き締まります。

顔のリンパマッサージ

  1. マッサージ用のクリームをたっぷり手にとり、顔に広げる
  2. 目の周りや頬、口の周り、おでこをそれぞれ、中央から外側に流すように左右対称にマッサージ
  3. 耳の前から首筋を通り、鎖骨へと、水を流すイメージでマッサージ

ただし、顔をマッサージするときは強い力で行うとかえって肌や表情筋に負担をかけてしまいます。クリームをたっぷり塗って摩擦を減らし、やさしい力で行いましょう。

リンパマッサージの効果を高めたいときは、超音波美顔器をとり入れるのもよいでしょう。超音波美顔器は肌の深い部分に微細な振動を伝えることで、表情筋を刺激したり、代謝を活性化させるにも役立ちます。詳しくは、『超音波によるマッサージでイキイキした美肌になる方法』をご覧ください。

マリオネットラインは一度できてしまうと、消えることはありません。作らせないためには、スキンケアで保湿を十分に行い肌の乾燥を防ぐとともに、質の高い睡眠をとる、肌の老化を進ませるタバコをやめるなど、日常生活の見直しも大切です。また、食べ物を噛むときに片側の歯だけを使うクセのある人は、ほうれい線やマリオネットラインが片側だけ目立つことがありますので、注意が必要です。

マリオネットラインを消す・解消する治療法

すでにできてしまったマリオネットラインは、クリニックで治療するのが一番の近道です。以下では美容皮膚科や美容外科・美容整形クリニックにおける治療法を見ていきます。

ヒアルロン酸注入などのプチ整形

マリオネットラインを改善する治療法として、もっとも手軽なのがヒアルロン酸などを注入するプチ整形です。手術時間やダウンタイムも短い注入系治療は、ゴルゴラインなど他の部位にも用いられています。

ヒアルロン酸を注入する場合、クリニックでは患者のシワや肌の状態に合わせてさまざまな種類の薬剤を使い分けます。たとえば凹みの大きい部分には粒子の大きなヒアルロン酸を深い層に、浅いシワには粒子の細かいヒアルロン酸を浅い部分に注入するなどです。

しかし、口元(マリオネットラインやその周囲)へのヒアルロン酸注入は、施術する医師の技術によっては「注入部位がたるみ、四角い顔になってしまった」などのトラブルが発生するケースも報告されています。注入量が多すぎたり持続性の高い注入剤を入れると、この部位のふくらみが強くあらわれ、一見としてそれとわかる容貌になってしまうのです。

顏のボリュームはつながっているため、ヒアルロン酸を注入した箇所の重みにより、トコロテン式にそれより下の部分が影響を受けます。上図のように、ほうれい線にヒアルロン酸注入し、その影響でマリオネットラインやフェイスラインのたるみが目だったり、四角い特有の輪郭となったりすることが多いようです。

同様に、マリオネットラインに対する注入でも、フェイスラインなどそれより下の部位が膨らんで四角い顔になるようです。 このようなことはヒアルロン酸だけに言えることではなく、他の注入物でも同様の傾向にあります。

またヒアルロン酸注入については海外の例ですが、逆行性動脈塞栓(動脈がつまってしまう現象)によって脳梗塞や失明などが発生したという報告もあります。マリオネットラインは特に塞栓が多い印象はありませんが、血管の走行などの解剖を熟知した医師が丁寧かつ慎重な施術を心がけることも大切です。

再生医療によるマリオネットライン治療

近年は皮膚に幹細胞や培養細胞を移植したり、成長因子などを注射したり、レーザーや電磁波の物理的刺激で残っている肌細胞を活性化させる再生治療を提供できるクリニックも増えてきています。肌組織自体を若返らせるためハリや弾力がよみがえり、効果も長いもので2~3年ほど持続します。

しかし再生治療は仕上がりや結果を読むのが難しく、マリオネットラインの根本的な原因であるたるみを引き上げる効果があるかどうかは疑問です。また、成長因子製剤を注射した部分が不必要に大きく膨らんでしこりになるなどのトラブルも報告されています。幹細胞移植も吸収されて効果が感じられなかったり、そのことを見越して注入量が多すぎると、しこりになることがあります。

また、最初に話をした通り、マリオネットラインの根本的な原因は下垂した脂肪が口元に覆いかぶさることで溝ができることです。口元に成長因子などを注入しても、この下垂した脂肪が持ち上がることはありませんので、根本的な解決につながらないことを覚えておきましょう。

レーザー治療や糸によるリフトアップ治療

真皮層のコラーゲン線維を増生させ、たるみ治療やリフトアップを促すスキンタイトニングなどのレーザー治療や、金の糸、その他の「皮膚を若返らせる」といわれる糸によるリフトアップ治療も、施術による腫れで一時的に改善して見えますが、腫れが引くと元に戻ってしまい、効果が一時的な場合が多くみられます。

※糸の治療について詳しくは、『糸を使った切らないリフトアップ治療の種類と効果』をご覧ください。

糸を使って引き上げる治療のなかでも比較的おすすめできるのは、伸縮性のあるフランス製の糸「スプリングスレッド」を使った治療です。スプリングスレッドによる引き上げ治療であれば、物理的に下垂した部位のボリュームを持ち上げるので、確実に効果が見込めます。また、ヒアルロン酸注入などのように「本来は存在しないボリュームを付け足す」という不自然なことをしないため、重みで余計に顔がたるんだり、四角い輪郭になってしまうこともありません。

※スプリングスレッドを使ったリストアップ治療について詳しくは、『スプリングスレッドの効果とデメリット』をご覧ください。

切るリフトアップ治療

マリオネットラインができる大きな要因として、表情筋や筋膜が衰えてたるんでしまうことがあげられるため、そこに直接アプローチする「切るリフトアップ」手術という方法もあります。代表的なのはSMAS法と呼ばれるフェイスリフト手術で、顔の側面や耳の前などを切開し、皮膚と一緒に表在性筋膜(SMAS)を引き上げます。皮膚だけを切開して引き上げるフェイスリフト手術と比べて、効果を長時間持続させることができるのが特徴です。

この切るリフトアップは頬のたるみや口元のほうれい線改善などにも用いられています。ただし、顔の中央部分にまでは引き上げる効果が及ばないため、人によっては口元のたるみまで効果が出にくいこともあります。ダウンタイムも長いため、事前に医師と効果やリスクについてしっかり話し合い、納得したうえで治療を受けることをおすすめします。

マリオネットライン治療を受けるときの注意点

これまでマリオネットラインのさまざまな治療法を見てきましたが、どの治療法が適しているかは、その方のマリオネットラインの状態や、「どうなりたいか」というイメージによっても異なります。

ほうれい線やゴルゴラインも同様ですが、マリオネットラインを改善するうえで重要なのは、「下垂したボリューム(脂肪)を元の位置に戻す」ことです。マリオネットラインは頬などの上部のたるみの影響を受けますので、ほうれい線やゴルゴラインと合わせてボリュームを適切な位置まで引き上げることが必要です。

マリオネットラインだけをどうにかしようとしても、上部のたるみがそのままでは、根本的な解決に結びつかないことがあります。顔全体のバランスを考慮しない治療や、すぐに後戻りしてしまうような治療に、あせって飛びつかないことも大切です。

美容皮膚科や美容外科などで治療を受ける際は、当然のことながら治療によって期待できる効果と、術後に生じるリスクを確認したうえで、望んでいる効果がしっかり得られる方法を検討しましょう。

まとめ

口角からあごへと伸びるマリオネットラインの原因や予防法、クリニックにおける治療法について見てきました。治療法にはヒアルロン酸注入などのプチ整形やから再生医療、レーザーや糸を使ったリフトアップ、切るリフトアップなどさまざまな方法があり、どの治療法が適しているかはその方の状態によっても異なります。信頼できる施術医を選び、施術の効果やリスク、全体のバランスや持続性などをしっかり確認したうえで、ベストな方法を選ぶことが大切です。

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